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カタストロフ・ファンファーレ  作者: 竜蔵寺 佑


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第48話 訓練

 エニの言う通りだ。結局、あの時の俺は何も知らずに民家へ侵入して漁ったりしたけど、襲われることは無かった。けど、得体の知れない不気味さと視線は感じていた。あれらがもし敵意を剥き出しに襲ってきたらと思うと今の俺たちで対処出来るのだろうか。


「エニはその存在がいたとして今の俺たちでは地図の外側へは無謀だと思うかい?」


「いえ、余らはそう思いません。余も含め白錦、ルー、そして、主は最早、神格級の存在と成りました。遺跡にいた程度の忌み人程度であれば、相手から接触することすらしてこないでしょう。その証拠に皆、あの遺跡から五体満足で生還をしてきているのが証拠です。余も何度か支配地域にあった遺跡へ行ったことがありますが、襲われることもありませんでした」


「なるほど。ルーや白錦はどう思う?」


「私もエニ姉ちゃんと同じかな。彼奴ら程度であれば今は平気」


「うむ、我も同意である」


「そうか、それじゃ、問題はそれ以上の存在が現れた時だね」


「主、そうです」


「まずは情報収集か。幸いにこれから王都に行くのだから、王様から直接話してくれるかは別として地図の外側についての情報が貰えると嬉しいね。それと、これから地図の外側へ行ったときには現地でその都度情報収集だ」


「それが良いかと」


 エニは頭を垂れた。


 もしかしたら、躑躅森や艶島も地図の外側へいる可能性が高いかも知れない。だが、俺がいる時代にいるとは限らない。俺の推測だが、大厄災とあの現実世界で見た黒い球体とは関連があると思っている。あの日に俺の世界も一変したからだ。そして、俺はここにいる。王都ではこの世界においての現行の最新の地図が欲しいものだ。


 リベラ小都市では地図というものが簡易的なものしか見つからなかった。詳細な地図というのは機密扱いなのかも知れない。あの小都市で何冊か本を読んだが、詳細で具体的なことは書かれていない。文字の学習する上では役に立ったが、これからの旅に必要かと言われると無価値な物だ。


 それに、色々会話をするにつれて、必要な情報や道具を素材を集める重要性が更に増したな。未知へどの程度俺たちが通用するかを試すためにも訓練は必要だ。可能な限り、強い個体と戦闘して経験値を高める必要がある。


 この三日間で仲間たちと詳細な打ち合わせが出来たことで旅の見通しが立てたことはありがたかった。そして、王都ルディアへ到着したようで、兵士が扉越しから声が聞こえた。


「凛城様、王都ルディアへ到着いたしました。これから王城ルナスティスまで直行いたします」


「わかりました」


 景色が王都の街並みへと変わった。発展した大都市だ。景色を皆で眺めているとあっという間に到着した。扉が開き、兵士が案内してくれた。俺は兵士へお礼を言うと馬車の階段を降りて石畳へ足おを着けた。


「ここが王城ルナスティスか」


 巨大とはこのことだ。王城は権威を誇示するように荘厳かつ巨大とは相場が決まっているとエニが教えてくれた。皆にとって初めての人族の王都のしかも王城で王様と謁見することだ。俺とルーは少し緊張しているが、白錦とエニはさすがというべきか緊張の一筋のかけらもない。堂々とした振る舞いだ。俺も二人に見習い堂々と行動し、ルーも後に続いた。


 武装した兵士から別の兵士へと預かり、王がいるとされる謁見の間へ案内され、重厚な両開きの扉を広げた先には赤い絨毯の先の階段の上へ玉座というのが相応しい巨大かつ芸術的な彫刻で玉座と壁が一体になっているような錯覚さえ覚えた。


 王は白い長い髪と髭を蓄えており、重厚な王冠を被って、身なりも赤いローブと白い羽毛で誂えたであろう素人目でも格式高い王に相応しい服を纏っていた。俺たちは王の下へ片膝を突き、うつむいた。


「面を上げよ」


 王の声が広い空間へ響いた。これが、人が出す戦闘という面では感じたことが無い、ある種別の威圧だ。これを風格とかオーラとか言うのだろうと思う。その声に合わせて俺たちは王を見上げた。


「余はセオドリック・オーギュスト・ル・グラン・ソレイユである。この度は、余の命とはいえ、急ぎ来ていただき感謝する」


 この場合に発言しても良いものだろうか、思案したが答えが出ないので状況を身に任せるとした。


「発言をお許し出来ますでしょうか」


「許可する」


「私は凛城廻と申します。この度、王よりお招きいただきありがとうございます」


 やったぞ。どうだ。現代人の俺が脳を絞りに絞った渾身の一言だ。脳はきっと今はオーバーヒートしているに違い無い。いや、確実にしている。今にも逃げ出したい。だが、これも訓練だと思えば。

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