第46話 三日三晩
「今日はこんな感じかな」
「そうであるな」
「私お腹空いたよ」
「主よ、今日は私の衣類の買い物していただきありがとうございます」
「いや、いいんだ。仲間として当たり前のことをしたまでだよ」
俺たちはホテルへ戻り、フロントスタッフへ今後の事情の経緯の話をした。チェックアウトは可能とのことで、明日の朝には出ることを伝えた。ルームサービスでの飲食代は残りの宿泊代から差し引いてギルドカードへ返金するという形で話が付いた。
この白星というホテルは居心地が良かったのでもう少し滞在したかったがしょうがない。俺たちは部屋へ戻り、ルームサービスで食事を注文し、この街での最後の晩餐をした。窓の外から春のような温かい風が入り込んで来てとても気持ちよかった。
翌朝、早朝には既に全員が準備を整えた。俺もマントを羽織り、服装もワイシャツに黒のズボン。ジャケットを中に着用している。この服装は白錦から新たに譲り受けた服だ。一見、マントとスーツに見えるが、魔術や迫撃において完全耐性を有しており、状態異常にも完全耐性があるという。
ルーの服装も見直して白錦が見繕ってくれた。ルーは女性物の着物を着用している。見た目に反してとても動きやすいようだ。着物には花柄が入っており見た目はとても綺麗だ。戦闘用とは思えないくらい立派な着物だと思う。今回新しい着物は更に神格に相応しい絶品を用意したようで、その着物は白を基調としたもので、花柄の模様が動いているように見えた。
内側の着物には赤い生地で外側が白い着物となっている。エニは漆黒のコートとスーツ、光るワイシャツというもの。漆黒とはいえ、光沢があり、ドレスの生地で出来ているんじゃないかと思うと見間違えるような印象を受けるが、神話に出て来るような品のようだ。
「よし、準備は整ったな。エニの武器はどうするの?」
「主よ、心配せずとも余はこれを使うつもりだ」
空間から刃が光る巨大な斧を取り出した。名前はなく、形状は戦斧でというもので、名前は無いとのこと。この武器も神格級の武器に相当以上の代物ということらしい。今後は常にいつでも顕現出来るように空間へ収納することなく姿を消すとのこと。いちいち、戦闘が起きる度に武器を空間から出していたら隙を与えてしまうから瞬時に顕現出来るというのは便利な物だと思う。
実際に目の前で見せてくれた。まるで、魔法だ。エニの好きなタイミングでどのような体勢であれ、どのような戦闘状況で起きた際にも意識よりも早く顕現出来る様子を見せてくれた。俺やルーもこの顕現方法を教わる予定になっている。
「さて、行きますか」
『おう』
全員の元気な返事と共にホテルをチェックアウトし、待ち合わせの北門へ辿り着いた。そこには武装した兵士と立派な馬車が用意してあった。
「お待ちしておりました。凛城様の一行でお間違いないでしょうか」
「はい、間違いありません。俺が凛城と申します。こちらがギルドカードです」
武装した兵士がギルドカードを受け取り確認して、直ぐに返却された。
「ご協力ありがとうございます。では、馬車の中へどうぞ」
指示に従い馬車の中に入ると見た目に反して中はとても広かった。もちろん、馬車自体も大きく中もそれなりの広さだと思ったのだが、そういう次元じゃない。部屋なのだ。広い部屋。エニがこれは魔法を応用したものだと教えてくれた。魔法とは便利なもので、種類としては収納魔法に系統は近いという。その応用したものがこの馬車には永続的に施されているという話を聞き耳を疑った。
「永続的って、つまりこの馬車、高級ってことじゃんか」
「待遇は国賓と見て間違いないだろうね。理由はいくつか見えてくる」
「それは何?」
「私たち余らを取り込むもうという意思と敵対しないという意思表示と、願わくばこの王の命令で地図の果てへ行き成果を独占したいという意図ということかな」
「なるほど、俺たちを利用しようとしているということか」
「その意図は王の意思か、その取り巻きの入り知恵かは明白だな」
「うむ、これ程の一冒険者への待遇として警戒すべきであろうな」
「私もそう思う」
既に駆け引きが始まっているということか。面倒くさいな。だけど、突然、現れた冒険者が地図の外側へ言及したということを可能だと信じている証拠だ。もし、俺たちが無謀な挑戦だと判断されたのであれば、これ程の待遇はしないだろう。地図の外には何があるんだ? 何か知っている可能性が高いな。
「馬車で王都までどのくらいなんだろうか」
「うむ、兵士へ聞いてこよう」
白錦が確認しに行き、直ぐに戻ってきた。三日程で到着するとのことらしい。馬車は止まることなく移動するらしい。三日三晩移動するってかなり急ぎだな。
「急いで貰うことは嬉しいけれど、兵士の皆さんは大丈夫なのだろうか」
「何やら、魔道具で疲れを感じないように出来ているらしく、別の馬車で休憩も出来るから問題ないとのことらしいである」
「なるほどね。それは便利だ」




