第44話 疑いの目
俺たちはホテルを出て真っ直ぐに冒険者ギルドへと向かった。冒険者ギルドへ到着すると一人の男性職員が声を掛けて来た。
「凛城様、お待ちしておりました。丁度、ギルドカードへご連絡しようかと思ったとこでした」
「一体、どうされましたか」
「本日、急遽ギルド長がお会いしたいとのことで、到着次第面談することに先程なりまして」
「それじゃ、待たせるのは失礼になりますね。そしたら、ギルド長と面談が終わり次第、俺たちの仲間になったこちらの女性を冒険者登録をお願いします」
「承知いたしました。凛城様ありがとうございます。では、これからギルド長のところへご案内いたします」
最初にギルド長との面談があると言われていたので困惑は無かった。エニにはギルド長のことは初耳だと思うので、経緯を簡単に説明した。山暮らしで魔獣の素材が云々の買取についての話だと。
理解したようで、そのまま職員に従い冒険者ギルドの奥へと案内され、大きな扉の上にギルド長室と記載された標札を目にした。職員がノックをし、俺たちの事を告げ、中から男性の声で了承する声が聞こえ、職員が扉を掛けた。部屋の中には、大柄な男性がいた。
白錦と背丈は同じぐらいだろうか、年齢は壮年さを感じ、肉体は現役にも負けない程、鍛えられた筋肉が服から輪郭が覗いていた。気迫も凄い、これがギルド長かと思った。
「はじめまして、私はここのリベラ冒険者ギルドのギルド長をしている、オブライアンという。君が凛城で間違いないかね」
「はい、間違いありません。俺は凛城廻と申します」
ギルド長が手で促して向かい掛けのソファへ座るように指示され、俺たちはソファへ座り、ギルド長も向かいのソファへ腰掛けた。
「今日はご足労いただいて感謝する。さて、本題だ。先日の王獣の解体の件は既に完了したとのことを報告を受けた。残金は今日にでもギルドカードへ振り込むとしよう。それと、まだ王獣または魔獣が多く買取を希望しているということは本当か?」
「はい可能であればですが」
「わかった。だが、この小さなギルドの解体場では物理的に不可能だ。なので、王都ルディアの冒険者ギルドで解体を受けることでどうだ。陛下が凛城とその仲間にお会いしたいとの仰せつかっている」
「国王様ですか?!」
「ああ、陛下は南方の大山脈を越えて来た存在へ感心があるようだ。そして、私も興味がある」
「どのような興味でしょうか」
「それ程の力を有しておきながら今更冒険者ギルドに加入する理由だ。王獣はA級で討伐隊を集めてようやく討伐出来るという存在だ。しかも、たった三人でそれを成したということは異常だ。実力で言えばA級以上は間違い無いだろう。お前達は種族不明と出ているので、人では無いということだ。何者だ?」
「えーっと、俺たちもよく分かっていません。俺は見ての通り見た目は人族と変わりはありません。それに、白錦もそうです。ルーに関してはそちらに登録されている通り、鬼族となります」
「そして、その女性は凛城の新しい仲間か」
「そうです。こちらの女性は先日、魔獣より助けた女性となります。彼女も実力者でしたが、かの魔獣には及ばず、俺たちが救ったことで感銘を受け仲間になったという経緯があります」
「なるほど、私はギルド長として国王陛下へ謁見させる前に凛城たちの素性を調査するように言われておってな。ここ数日に色々調べさせて貰った。悪く思うなよ」
この国の王様と会うんだから、身分が怪しい奴だと調査されるのは仕方無いよな。
「でだ、分かったことがある。お前たちの記録が周辺諸国にも記録が無いということだ。お前達はどこから来た? 南方のどの辺からだ?」
そうだ。俺にとってはまだこの世界に来て数ヶ月だ。どこから来たって、言われてもなー。ルーと出会った場所は南東の方角だ。どこまで言うべきか。うーん。
「南の更に東の地から来ました。そこで生活をしており、そろそろ新しい場所へ旅をしたくなりここまで来ました」
オブライアンの表情が疑いの目をこちらへと向ける。
「南より更に東? あの忌み地であるピルグリミッジ・サイトを抜けて来たのか?」
忌み地ってどういう意味だ? なんか危ない意味か? 隣で白錦が忌み地とは触れてはいけない場所のことを指すという意味と教えてくれた。そうか、確かにあそこには誰も出入りしていなかったし、合点がいくな。
「そうです。その場所から来ました」
「馬鹿な人族があそこに踏み入れて戻ってきた試しなど無いのだぞ。お前らは亡霊か?」
「亡霊?」
「そうだ。あそこは巡礼地方と呼ぶ忌み地だ。しかも、得体の知れない存在がいるという」
「俺たちはその亡霊とかじゃありません。証拠に俺たちは実在しています」
「ふむ、では、どうして忌み地にいながら生きている?」
「わかりません。ただ、俺たちがいたその巡礼地方と呼ばれる場所や都市は危険な存在が多くいました。運が良かっただけということもあります」
「では、その時の生活はどのようにしていたのだ?」
「そうですね、魔獣を狩って調理したりしていました。それに巡礼地方には人が住めるところもあるんですよ」
「ほぅ」
疑いの目と好奇心の目の両方で俺の目を見つめて来る。




