第38話 警戒レベル
「よし、冒険者ギルドで依頼を達成しようか」
「うん」
ルーと一緒に城門の西門へと近づくと多くの兵士がいた。白錦とエニはまだ森で対応中だ。森の方向から出て来た俺たちへと兵士が警戒と注意の視線を向けるのを感じた。それはそうだ、エニの攻撃は派手だったからなと心の中でため息を吐く。
「おい、止まれ。お前、森から出て来たな」
「はい、冒険者をしております、凛城と申します。こちらギルドカードとなります」
「拝見する」
兵士が俺とルーのギルドカードを確認した。
「本物で間違いないな。森へ行った先遣隊と出会ったか?」
「はい。仲間が事情聴取に付き合っております。俺たちは冒険者ギルドで依頼を達成するために断ってこちらへ来ました」
「そうか。念のため、貴方たちにもあの森で何が起きたのか教えて欲しい」
「それがですね、俺たちも正直分からないでんす。魔獣は強く女性の人質を持っていたのをようやく開放出来て仲間にしたぐらいしか。詳細は仲間の白錦へ聞いてくれると助かります」
少し、怪訝な表情を兵士がしたが返答は問題無いとのことだった。これで一安心だ。後は白錦たちが上手く話すだろう。口裏を合わすのは合流してからでもいい。それにしても、神獣か。エニは強い。今の仲間で一番弱いのは俺だ。エニに勝てたのは運と偶然だけだ。この刀のおかげでもある。
どこかでしっかりと改めて訓練をする必要があるなと心に誓った。この世界のことは分からないことばかりだ。それに、俺たちはまだこの世界のほんの一部しか知らない。きっとこの世界は広大なんだろうと思う。
「よし、西門を無事に通過できたな。このまま冒険者ギルドへ行くぞ」
「お兄ちゃん、わかった」
ルーと一緒に冒険者ギルドへと向かった。街は動揺しているようで不安や少し恐怖も感じられた。ここまで影響があったのか。街への被害らしき被害が無いを見た限りで確認したので安心した。急いで向かい、到着した。中へ入ると冒険者が武装してピリピリと緊張感が張り詰めていた。
「あの依頼を達成したので、薬草の受取をお願いします」
「あ、はい。ギルドカードを提示頂けますか」
男性の職員が対応してくれた。
「こちらです」
「はい、薬草採取ですね。その薬草はどちらに?」
「こちらです」
俺は収納袋から束ねた薬草を取り出した。
「おお、これは大量ですね。クリムネア草の群生地を見つけたんですか?」
「そうです。ですが、もうその群生地は魔獣との戦闘で灰になってしまいました」
「凛城様たちはあの西の森へ行かれたということですか」
「そうです。先程、兵士の皆様とお話をして来たところです。他の仲間が事情聴取を受けている最中でしてこちらも戸惑っている状態です」
ギルド内がざわりと雰囲気自体変わった。
「そうでしたか、その魔獣は倒したのでしょうか」
「いえ、残念ながら俺らでは無理でした。ですが、囚われていた女性を助けることが出来て僕らの仲間にすることへなりました。改めて、冒険者ギルドでその方の登録をしたいと俺たちは考えています」
「承知いたしました。その際は何なりお申し付けください。凛城様たちがご無事で何よりです」
「ありがとうございます。それにしても、このギルド内の雰囲気がピリピリしているのはどうしたんですか?」
「西の森から凄まじい魔力の渦を探知し、現在、この小都市リベラとして兵士と冒険者ギルドが連携して実力者を集めているところです。今回、凛城様たちが遭遇されたという魔獣について追って聞き取りがあると思われます。あの魔力量はこの小都市を吹き飛ばすには充分の量でした。なので、周囲の警戒を最大限まで上げているということで、当ギルドで実力者としてBランク冒険者を筆頭にして、小都市の兵士たちと探索を開始する予定です」
「そうでしたか。わかりました。俺たちの仲間も兵士の皆様へ協力を惜しまないので出来ることがあれば俺たちができる範囲であれば対応しますので」
「ありがとうございます」
やはり、エニのあの攻撃は本気だったということか。こえぇーよ。少し足が震えているかも知れん。今は気を強く持つ時だ。本当に運が良かった。それに、あのエニの魔力でここまで街全体の警戒レベルが上がるとは。




