第36話 進化
「何故、主はその情報を知りたいのだ?」
「僕は別の世界から来たからだよ。もしかしたら、俺の友人もこの世界に来ている可能性は充分にあると思うからだ」
「別の世界……賓客か」
「ほぅ、エニよ、我と同じ結論が出たか」
「白錦も凛城が賓客と知っていたか」
「会話するまでは知らなかった。別の世界から来たという時点で招かれたことは明白であろう。そして、エニよ、お前も主君に今後仕える身、もう既に臣下として体質が変化しておるのでは無いか?」
エニは不思議そうな表情をするが、瞬時に気付き動揺の反応を見せる。
「こ、これは。余が進化している?」
「神獣よりも上の個体種として、覚醒したであろうか。真なる龍種と同格だろう」
「バカな、この契約をしただけで、何の代償も払わずに進化など有り得るか」
「では、エニよ、その身に起きた進化をどう解釈するか?」
エニはしばらく沈黙し、熟考しているようだ。
「分からぬ。いよいよ、主の存在が出鱈目であることをより理解出来た。主よ、一体何者なのか?」
当然の質問だ。俺もルーや白錦が進化しているなんて、つい昨日今日で知ったばかりだ。強くなっているなぁ、とは感じてはいたがギルドカードを見たり昨晩の白錦との会話だったり、そして、今日、エニと会話したことで少し俺自身も理解が深まったというものだ。
俺からすると、その賓客というこの世界に招かれたか呼ばれたかで、この別世界へ来た存在が自身も含めて周囲へ影響を及ぼすということなんだろうと理解している。この世界が創られた創世期の初めからいる存在のエニが戸惑い、疑問を俺に投げかける時点で答えは明白だ。
「俺にも分からないよ。嘘は言っていないよ。本当に分からない。気が付いたら周りや俺も成長していたということだ。それも含めて世界の始まりや、今いるこの世界の常識について学んでいる最中なんだ」
「進化というモノは代償が必要なんだぞ」
「俺にはその代償が何なのかはわからない。俺が周囲へ影響を与えているんだったら、俺が何かしらの代償を払っているってことになるんだろ? それでいいじゃないか」
「いやいや、主自身も進化しているではないか!」
「そう言われても、困ったな。そうだ、俺も分からないからエニの知識を俺に教えてよ。そしたら何か手がかりが見つかるかも知れないじゃんか」
神妙な表情をしたが、エニの中で何か結論になったようだ。
「わかった。その都度、この世界について余の知る限りの情報を共有することにしようか」
「エニ、助かるよ。それにどこかで戦闘訓練を実践形式で稽古をして欲しい。皆で協力し合っているんだ」
「私もエニと戦ってみたい」
「我もお嬢と共に研鑽を積みたく」
「しかし、いや、お主らであれば今の余が進化したと同時にお主らも進化した様子。その力を研鑽する意気やよし。手加減はせぬぞ」
『望むところ!』




