第33話 神外の存在
「お兄ちゃん、今日の依頼って薬草採取だよね? どんな薬草か教えて」
「ちょっと待ってね、クリムネア草の採取と記載があるね」
「お兄ちゃん、正解!」
「うむ、依頼書であれば最早、文字は読めるであるな」
「いやぁ、まだ自信無いけどね。勉強頑張るよ」
「して、そのクリムネア草とはどんな草木であるか。お嬢はご存じで?」
「うーんと、多分、あの森にあると思う」
「確かに依頼書には採取だけで場所の記載が西門の先周辺としか書かれていないな。漠然としていいるのは不親切じゃないか」
「それはね、きっと、簡単な依頼だから城門近くのは採取され尽くされたんだと思う。だから、森の方が危険は高くなるけれどもきっとそこにあるはずだよ」
「そうか、そういう見方も出来るのか、それはそうだね。それじゃ森へ行ってみようか」
俺たちは森へと入った。色々な気配を感じる。魔獣もいるようだ。草木を掻き分けて奥へと進んだ。ルーの案内で直ぐにクリムネア草を発見することが出来た。少しだけど、力を感じる。ルーがこれが魔力だと教えてくれた。少し採取して収納袋へ入れ、奥へ進んだ。そして、クリムネア草の群生地を発見し、結構、奥まで来た。
「それにしても、この森広いな」
「うむ、ここまで来るのそれなりに時間が掛かった」
ルーが慣れた手付きでさっさっと薬草を採集してくれた。山盛りとはこのことだ。バラバラにならないように紐で束ねて白錦の収納空間へと中に収納した。
「よし、これで依頼達成だな。これだけの薬草を採取すれば良いだろう」
「うん、今日で初めての依頼達成だね」
「ああ、ルーありがとう」
ルーの頭を撫でた。
「ぬ、主君、お嬢と共に下がられよ」
「白錦どうした?」
「敵である」
俺とルーは臨戦態勢に入る。周囲に異様な空気が立ちこめる。この空気には覚えがある。山籠もり生活で体験した魔獣たちの殺気だ。しかも、その魔獣たちよりも強いだろう殺気と威圧を放って来る。目に見えない。恐らく、俺たちの視線の先にある茂みへその存在はいて、こちらを凝視しているからだ。そして、何者かが飛び出して来た。
「これは何だ?」
魔獣であることは間違い無い。魔獣の体はそれなり大きく。二メートルを超えるだろう白錦の巨躯よりも遙かに大きく、そして白い光を放っている。光る魔獣? 四足歩行の光る魔獣は、こちらを凝視している。踏み込んで来ないということはこちらの様子をうかがっているのか、または何かでこちらを探っている?
最初に攻撃して来たのは、白く白光する魔獣からだった。上段から閃光のような光で一撃を白錦は簡単に去なし、同時に爪を両断した。魔獣が一瞬、驚いたが瞬時に爪が再生した。この魔獣、再生するのか。
「白錦、俺たちも加勢する」
「いや、主君待たれたよ、しばし様子を見たい」
不思議なことを言う。山籠もりの生活での戦闘ではそういう発言は一切無かった。むしろ、俺が前線に出て、一番最初に戦闘していたからだ。だが、そう言わないということは、この魔獣は規格外ということか。光る魔獣の全身が閃光になって、白錦を全方位から攻撃を開始した。
俺とルーはその光景を見ながらどういう攻防をしているのかを目で追った。眩しくも光が火花のように幾つも弾ける。白錦が目と感覚だけで対応している。気配では、最早、察するのは困難という段階だ。包み込むように光の球体になり、そして、大きく弾けて魔獣が間合いを取った。
「白錦!」
「主君、心配無用。此奴、人語を話すようである」
「え?」
人語を話すってどういう事だ? 今までそういう魔獣はいなかったと思うが。
「なるほど、貴様たちで間違いなさそうだな。お前の名はなんて言う」
女性のような声で話掛けて来た。本当に人語を話している。
「俺は凛城だ。この仲間で主君を務めている」
「主君? 貴様がか? ほう、神を二体従える存在か。これは面白い。余の名は、星崩王エニである」
「星崩の王? エニ? あの、俺たちに何かご用でしょうか?」
「何、我の支配地域で王種が駆逐されておると聞いてな。人族にそのような存在がいるとは聞いたことが無かったので、実際に確認しに来た。それに凛城とったな。貴様も種を超えて進化した神を従える存在でありながら、貴様も人外の存在であり、神でも無い神外の存在か。ククッ、お前に興味を持った。余と立ち会え、力量を推し量るまで」
「ならぬ!」
「ダメ!」
俺の前にルーと白錦が全面に出た。




