第32話 薬草採取へ
「世界が創世された時代か……」
「我もまだ未熟故、主君へしっかりとした報告が出来ずに申し訳無く」
「白錦が謝ることじゃないさ。今、白錦って半分神様じゃん、それって種族的には何に入るの?」
「うむ、亜神種と呼ばれる存在である」
「やっぱり神様なんだね」
「我も気付いたらこのような種族になっていただけのこと。主君もどうようの気配を我は感じるのだ」
「俺も? いやいや、俺大した存在じゃないって」
「いや、主君も我とは異なる意味で人の身を辞めた身であると確信しておる」
「それってつまりどういう意味?」
「我でも分からぬ。だが、主君は元の世界というところから渡って来たということになる。それは神でも不可能なこと。それは人成らざるモノである証拠であるといえよう」
「人成らざるモノって、俺は人じゃないってことか?」
「少なくとも、この世界の種族として人間族というのは存在しないこと。そして、人族というのはこの世界固有の種族であり、主君の言う人とは異なる意味を持つことだと我は理解している。それにお嬢も鬼族でも特異な部類に入るであろう」
「ルーも?」
「そう、冒険者ギルドで得たギルドカードにて、お嬢の年齢が二千歳を遙かに超えていた。お嬢は鬼族であることを見た時から分かっていたが、旅をするにつれて進化していることに気付いた。お嬢もまた別種の鬼、いや、鬼神に至りつつある存在であろう」
「ルーが鬼神? 確かに、ルーもかなり強くなったと思ったけどどうしてだ?」
「これは我の推測の域を出ないが、主君と出会ったことを機にしている可能性が多いにある。根拠は我だ。我が主君と初めて会い、家臣として仕えた瞬間に我の中で何かが突破したのだ。我も半神では無く最早、神に成っておるかも知れぬ」
「俺との出会いだけで、そんなに成長するものなのか?」
前のめりになり、白錦の話に集中する。
「ああ、間違い無く」
「それは、街の人とか店員さんとの会話や全員へ影響するものなのか」
「安心せよ、それは無い。お嬢や我と同じく主君と魂レベルで繋がったときに生ずる影響だと考えておる」
白錦と話をしていて、これまでの山籠もりの生活を経て全員が驚異的な速度で成長していたことは事実だ。道理で、山にいた魔獣が弱いと感じた根拠を知れた気がした。俺はもう人間では無いという可能性は高く、ギルドカードで種族不明と出たのもその一端であること。既に神様に成りつつあるのか成ったのかは分からないが白錦がそういう風に考えているということは間違い無いだろう。
つまりだ、俺やあのクラスにいた皆や生きていた人たちも皆、俺のようになったということか? それにしては、痕跡が都市という遺跡しか残っていないようにも見える。
あの遺跡という都市も意味不明で不気味な存在だ。見た目は発展した都市に見えるけどな。白錦とはまた、状況を見てこの話をしようと終え、俺は歴史書を読み学習を開始した。読み書きは白錦が教えてくれた。魔道具のおかげでスラスラと理解出来る。
歴史書に記載してある内容も二時間程度で理解出来るようになった。内容は周辺の国に起きた事件や国の成り立ちという内容だったが、難しい内容の割にすんなりと吸収出来たのは、白錦曰く、魔道具以上に俺が別次元の生命体へと至っている可能性があるということらしい。俺たちはこれから目立つことが多くなるだろうし、躑躅森や艶島も見つけなきゃいけない。
もしかしたら、彼奴らも俺のような存在に成っている可能性は充分に有り得る。学習を終え、俺たちは寝ることにした。
翌朝に目を覚ますとルーがベランダで白錦と体操をしていた。仲が良いなと心の中で笑った。
「お兄ちゃん、起きたね。それじゃ薬草採取に行こうよ」
「そうだな。腹は減ってないか?」
「大丈夫!」
「我も平気である」
「よし、俺は軽くなんか食べるようかな」
収納袋から肉を取り出して軽く食べた。食事を終え、装備を整えた。刀も刃毀れすら無い。衣類も問題無い。マントにも汚れや匂いもやはり無い。ルーも身だしなみを整えて髪留めを止めてあげた。白錦も侍という姿が似合う服装で、綺麗な生地で出来きた羽織を羽織った。
「よし、行くか」
『おう』
ホテルを出て、南門の正門ではなく、西門から出た。依頼書と冒険者カードを門兵へ見せたら何事も無く外に出ることが出来た。




