第31話 創世された時代
俺たちは店を出て宿屋へと足を向けた。他にもお店を見て回ろうか皆で考えたが、まだ充分に時間はあるんだから先に心身を休めることを最優先にした。白星に到着後、部屋へ直行した。扉を開けると豪華とはこのことだ。
部屋をぶち抜きで作っているのだろう。街を見渡すことができる見晴らしの良さに加えて、室内で食事も取れるようだ。驚いたのが、冷蔵庫があったことだ。どういう仕組みかはわからないが、コンセントが無いのを見るに魔法で動いているのかも知れないと思った。
「今日の食事はどうする? 部屋でも食べられるみたいだけど」
俺はルームサービスのメニュー表を見てから、皆へ確認した。
「お兄ちゃん、どんなご飯があるの?」
「どういう料理かは分からないけれど、色々あるみたいだぞ」
「それじゃ、今日は部屋でご飯にするか」
「主君よ、我が注文しに行きましょう」
「白錦、その心配はいらないみたいだよ。このメニュー表で注文出来るみたい」
「なんと! それは凄い技術であるな」
「そうだよね。俺もびっくりだよ」
そう、まるで現実世界でもありそうな注文の仕方だ。俺たちが知っている文明はこの街が初めてだ。王都という所に行けば更に驚きと発見があるだろうと思う。期待に胸を膨らませながら、色々注文をして、程なく、部屋へ大量の料理が運ばれて来た。意外にかなりの量があったことに驚いた。だけど、とても良い香りが部屋中を包み込んだ。
「お兄ちゃん、これ凄く良い香りがするよ」
「うむ、この香りだけで味美と理解出来るである」
「そうだね、それじゃ、いただきますか」
皆で大きなテーブルに並べられた料理を食べた。美味いなんてもんじゃない。この別世界での調味料がどれほどかと思うが、想像の遙か上へと駆け上がった。山暮らしの時も旅をしている時の野性味ある料理も格別に美味かった。
そして、このホテルの料理はまた異なる次元で格別に美味かった。ステーキも分厚く柔らかいし、パンも柔らかいし、魚料理も見たことないような形をしていたが、見た目とは逆に味は溶けるように美味かった。皆夢中になって食べている。ルーも育ち盛りだろう。モリモリ食べている。俺も育ち盛りなのでモリモリ食べる。白錦もモリモリ食べる。
「食った食った」
「美味しかったー」
「美味であった」
皆の顔を見るととても幸せそうだった。
「それじゃ、ルー、お風呂に入っておいで」
「はーい」
「それじゃ、支度を始めるか」
いつも通りの手順で着替えと準備をした。全員お風呂へ入りテーブルでゆっくりした。ルーは先にベッドで寝ている。俺と白錦だけテーブルで寛いだ。料理はスタッフが回収してくれたので、テーブルには何も無い。冷蔵庫から飲み物を出し、白錦へ飲み物を注いだ。
「明日は薬草採集だな」
「うむ、楽しみであるな。して、主君は寝ないのであるか」
「少し勉強をしようと思ってね。この魔道具で語学力を鍛えれば知識が増えるし、それにこの本を読めるようになりたいし」
今日、購入した本を出した。
「その本は歴史書であるか」
「うん、大昔に何かあった手がかりがあれば、俺が元いた世界と繋がりのヒントが見つかると思ってさ」
「ふむ、して、その主君がいた世界とはどういうところであったか」
「ルーがいた街や白錦が守っていた都市が普通にあった世界だよ。あの都市を見る度にもしかしたら現実世界とこの世界には繋がりがあるんじゃないかって思っちゃんだよ。ここがどんな世界なおかも俺は知りたいし、友人たちも同じくこの世界に来ているだろうからそいつらも探したいし」
「ふむ、我が人として生きていた時代で知ったことは、我が人として生きた時代よりも更に遙か太古に大厄災が起きたと伝承で聞いておる。その大厄災で殆どが消失してしまったが故、文献も少なくこの世界でもどれほどの歴史研究がされているのか」
「大厄災か、太古よりも古そうな話だね」
「確実に世界が創世された時代であろう」




