第30話 想像を絶する長い時
書店へ入店すると沢山の本が見られた。魔法という文字が見える。この世界にはやはり魔法というのがあるのだと改めて実感した。この本屋も生活魔法やら美容魔法、健康魔法、戦闘魔法まで多くの本が並んでいた。
俺でも読める本をいくつか書店員の人に見繕ってもらい何冊か購入した。俺には魔法の適性があるのかはわからないが、戦闘魔法と歴史書のジャンルの内容だ。本は結構どれも分厚く荷物としてかさばるので収納袋に全て入れた。
「我はあの店に入りたい」
「お、武器屋か。いいね、俺もこの世界の武器屋を見るのは始めてだ」
「武器ってことは何か、お兄ちゃんたち買うの?」
「どうかな、白錦や俺もちょっと気になるって感じだよ。ルーにとっても何かプラスになる武器があるかも知れないし、行ってみようよ」
「うん!」
ルーの元気な返事を俺と白錦は見て、武器屋へと足を運んだ。入店すると店内はかなり広く立派で多くの屈強な男性や女性たちで溢れていた。剣、盾、槍等様々だ。
「凄い種類だ」
「うむ、我の時とは時代が異なるが故、現代の武器がどれ程かと確かめたくてな」
白錦からすると遙か未来の武器ということになるわけだから、そう思うのも不思議ではない。俺も現実世界と関連がありそうな武器とか無いかルーと一緒に見て回った。白錦から武器や装備は一通り貰っているので、目新しい物は見つけられなかった。店員さんの話を聞くに王都へ行けば更に多くの武器が手に入る可能性があるということだ。
だが、良い物を見つけた。時計だ。まさか武器屋で見つけられるとは思わなかったが、生活用の時計じゃなくて、戦闘しても壊れにくいという頑丈な携帯時計で見た目は懐中時計に似ている。それを俺は即決で購入をした。店員さん曰く、中に魔力石が込められており、時刻を正確に維持してくれるとのこと。便利なものだ。ルーと一緒に白錦のところへと向かった。
「白錦、何か良い物は見つかったか?」
「うむ、主君よ。現代の世界には、かの刀匠に匹敵する存在がいないようだ」
白錦が寂しそうな顔をしていた。
「店員さんに聞いたら、王都というところに行けば更に品質が良い物を揃えているらしいぞ。そっちに期待しようぜ」
「そうであるか。それは良い話を聞けた。主君よ、感謝し申す」
「いやいや、たいしたことじゃないよ。それにしてもさ、この武器屋って白錦が持つ武器の方が圧倒的に上だけど、この時代なりには良い武器があるイメージを俺は持っているよ」
「そうであるな。我がいた時代とは質は異なれど、魔法という存在の影響が大きいと推察できる」
「そうだね、もしかしたら、魔法の武器とか鎧とかあるかも知れないね」
「うむ、この時代にとって武器の質は魔法の質に依存しているのかも知れぬ」
「私もそう思う。お店の中にいる人にも魔法使いみたいな人が多くいるね」
「お嬢も気付かれたか。我の時代には術はあれど、魔法というモノは存在しなかった」
「その術と魔法って一緒じゃないの?」
「別系統であるな。術は体にある気脈を通して発動するもの。魔力は大気中と体にある魔脈を通して発動するもののようだ。観察をして理解を得た」
「観察だけで見抜くって凄ぇな、白錦」
「凄い凄い!」
「我も半分人を辞めた身。目には見えぬのが、理解出来るようになったのだ」
そうだと確かに思う。白錦は半分神様なんだ。こう普段接していると人と大して変わり無いからここまであの気配を無くすとは凄いよなと思う。それに、ルーもそうだ。子どものような見た目だが、二千歳を優に超えている年齢だ。自然と受け入れている俺自身にもびっくりだが、この別世界に来てから驚きっぱなしで適応したのだろうか。
ルーは何となくだけど、長命種ってやつなんだろうと思う。白錦にいたっては、年齢は詳細不明だ。悠久の時ってどのくらいの年月なんだろうかと時折思うが、想像を絶する長い年月を過ごしたのだろうなと思うしかない。あまり実感は湧かないけれど。




