第29話 書店へ
ルーに手を引かれて商店街を歩き始めた。俺としては欲しい物がいくつかある。時計やこの世界の文字についての学習本などだ。まず読めるかは別にして、この世界での情報はどのような形で広まっているのか知りたいんだ。
読み書きは今後色々な場面で必要となるし、ルーや白錦に頼りっぱなしというのも気が引けると思うからだ。もし、そういうもし文字が読めるという便利道具あれば良いが、書くとなると話は別だ。言語を理解していないと文字は書けないからだ。難しい。別世界に来て尚、勉強の重要性を思い知るとは思わなかった。
「ここのお店に入ろうよ」
ルーが気になったお店はアクセサリーのお店に見えた。
「この店は一体、宝石屋さん?」
「うむ、主君よ中に入ってみようではないか」
「そうだね」
中に入ると様々な水晶や宝石、メガネとかあった。
「あのこのお店ではどのような商品を販売しているでしょうか」
店員さんに聞くのが一番手っ取り早い。
「こちらのお店では、魔道具を取り扱っております。生活魔道具から戦闘魔道具、美容魔道具、健康魔道具に至るまで多種多様に品揃えをご用意しております」
「魔道具とは一体?」
「そうですね、魔法が込められた物ということになります」
「魔法?!」
「そうです、魔法が込められております。永続的な物は高価です。一時的な物は安価となります」
店員がにっこりと眩しい笑顔を浮かべる。
いやいや、魔法がある世界なんかい! っと自分にツッコミを入れたが。そういえば、白錦も術がなんとか言ってたし、昔からある物なのか。魔法となれば、もはやここは完全な別世界だ。
少しの期待で現実世界と繋がりやヒントがあればなっと思ったんだけど、あの遺跡化とした都市ぐらいしか、現実世界と繋がりらしいヒントは無いということだ。思い返せば、あの遺跡にしても魔法も関係していたのかも知れない。
店内の商品を眺める。商品名が読めない代わりに店員さんが案内してくれた。生活魔道具を紹介して貰い、文字についての読み書きに特化した学習用の魔道具は無いかと確認して貰った。俺自身が興味をそそられたのは、勉学の学習量の速度を上げるネックレス型の魔道具と、語学学習に対して効果を更に上げるというブレスレットだ。
ネックレス型の魔道具は金貨一枚で、ブレスレットは金貨二枚だ。説明を聞いただけでは新手の霊感商法だと警戒したので、試しに使うことは出来るのかと聞いてみたら、実際に店員が俺に装備させて文字の練習をさせてくれた。
「おお、これは凄い」
思わず声が出た。そう、語学学習は学校教育でも避けて通れない道。それがどうだ、この別世界に来て今まで一度も意味不明だった文字が少しの時間で覚えられたのだ。しかも、装備を外してもしっかりと記憶出来ているし、同じ単語や文章を書くことが出来た。一番最大の効果を得られたのは両方を装備した時だ。学習速度が半端ないのだ。
頭にスラスラと入って来るこの感覚はどう表現していいかわらないが、情報と意味が流れ込んで来るイメージが近い。これは金額が高いだけに効果があると実感した。いくつか、実験をしてみて効果を再確認して、永続的な物を選んだ。金額が少しだけ上がり、ネックレス型の魔道具は金貨三枚、ブレスレット型は金貨五枚となって即買いした。
「白錦、これで語学の勉強が滅茶苦茶捗るぞ!」
「うむうむ、主君が嬉しく思うこと我も嬉しく思う」
「私はこれを買う」
「ルー、それは何?」
髪留めのように見えるけど、これも魔道具なのだろう。ルーも別の店員さんの話を聞いて購入を決めたようだ。
「これはね、仲間の全員を守れるぐらいの結界が展開出来るんだよ」
「ほう、それは興味深いですな。して、いかほどの強度で」
「山籠もりの生活は平気な奴」
「なるほど、護身用には良さそうであるな」
「うん」
ルーの喜んでいる顔を見られたので、俺がその髪留めを購入しようとしたらルーが自分で買うと一点張りだったので、俺が折れた。髪留めで金貨十枚だそうだ。
「白錦は何か買わないの?」
「うむ、少し悩んだが、他の店を回ってから決めたいと思う」
「それじゃ、次は俺でも読めるぞ。あの魔導書店に行ってみようよ」
「ほぅ、術書であるか。興味深いであるな」
「魔法の本が沢山あるところだね」
三人で向かい側にある書店へと足を運んだ。




