第28話 映画のワンシーン
受付があるエントランスへ戻ると、周囲の冒険者たちがこちらへ視線を向けていた。ジロジロと見られるのは嫌だが、変に目立ってしまったので反省点とする。受付で男性の方と解体完了時期を聞かされて、およそ、一週間で完了するとのこと。時間が掛かる理由は別の依頼での解体作業という理由もあるが、王獣の素材というのは繊細な作業が必要らしく、夜通しの作業をして一週間掛かるとのことだった。
後日、ギルド長と面談するとのことで、一週間以内には予定を冒険者カード経由で連絡するとのことだった。入金もそれぞれのカードで振込が完了したのを確認したのと、所定の手続きを終え、各種書類の記入には白錦が対応してくれた。この時に冒険者ランクを知った。スラスラと用紙に記入していくのを見て俺も頑張らなくちゃと強く思った。でギルド内の依頼掲示板を見ることにした。
「おー、これが冒険者の依頼か」
「お兄ちゃん、これふわふわ浮かんでいる」
「うむ、術の類いか、興味深い」
「俺たちのランクはDランクだってさ。そのランクってどんな依頼が受けられるのか」
「お兄ちゃん、こういうのがあるよ」
ルーが一枚の浮遊している依頼書を指さす。薬草採取と記載がある。
「薬草か。この世界に来てから薬草というか回復薬というのを使ったことが無かったから興味があるな」
「そうだな。我も回復薬を丸薬と薬を少々所持しているが、あの生活では使用しなかったであるな」
「そうだね。せっかくだから、薬草採取を始めてみようか。この世界の薬草からどんな回復薬が創られるのか見てみたいし」
「そうしようそうしよう」
「うむ、我も同意」
「それじゃ、受付に行こうか」
浮遊する依頼書を手に取り、受付へ持って行った。便利なものでギルドカードには依頼書を手に取った瞬間、依頼可能かどうか自動で識別して掲示板から取れるようになっていることを受付の女性から聞いた。便利というか凄い技術だと感じた。俺がいた現実世界とある種の別次元の文明を発展させていると実感する。無事に依頼を受注完了し明日には依頼を受けることになった。
なので、今日は少し時間があるが、まずは宿探しでギルドでオススメの宿はあるかと質問したら、いくつか紹介してくれた。一番、評価が高そうな宿屋にした。今まで山籠もりの生活で汚れていないとはいえ、せっかくなら最初の宿は良い宿にしたかったからだ。この街の簡単な地図を受け取った。宿の位置と商店街、飲食街の位置が印と絵で表現されていた。
「よし、まずは宿屋で部屋を取ろうか」
「わかったー」
「うむ」
冒険者ギルドを出て、いくつかの通りを抜け見晴らしの良い丘の上にその宿はあった。地図の通りで立地が一番良さそうだ。冒険者ギルドからも近くて商店街や飲食街にも直ぐに寄れるという抜群のアクセスの良さ。
これで急ぎ、冒険者ギルドから何かあって呼ばれても対応することができるだろう。宿屋の名前は白星という名前だった。中に入ると広いエントランスにソファがいくつもテーブルを囲み設置してあり、微かにクラシック音楽のような曲が流れている。
「あの冒険者です。宿泊を三人が泊まれる部屋は用意できますか」
「ご宿泊ですね、少々お待ち下さい」
フロント係の男性が何かの端末へ入力している。透明な板だが、俺たち側からは見えない仕様になっていた。
「はい、最上階のお部屋のご用意が出来ます。チェックインされますか?」
「わかりました。では、その部屋でお願いします」
「宿泊日数は以下かがなさいますか」
「しばらく滞在しようと思っています。二週間ではどうでしょうか」
「承知いたしました。少しお待ちください。はい、大丈夫です。では、先にお支払いから失礼いたします。金貨で140枚となります」
「支払いはギルドカードで」
「承知たいしました。では、こちらの水晶板へ」
タッチ決済という奴だ。リアルタイムでカードを持っていると引かれた残額を理解した。便利な機能だと思った。白錦が我が払うと主張してきたが、主君も家臣へ労うのも務めと説得し納得して貰ったのは言うまでもない。
「さて、部屋に行くか? それともこの街を散策するか?」
「私は商店街に行きたい!」
「我も異議無し」
「それじゃ、行こうか」
チェックインだけ済ませて、地図に従って商店街を目指した。俺としても時計が欲しいなと思うところ。ホテルの白星で見かけた時計は午後二時を指していたので、まだ充分に時間がある。ゆっくりと迷子にならないよう商店街を目指した。抜群のアクセスの良さなので商店街まであっという間に到着した。
この街の目抜き通りであることは間違いなさそうだ。とても活気があって多くの種族や民族がいた。まるで、ファンタジーの世界だ。映画のワンシーンのような情景と見晴らしさに感動している自分がいた。
「お兄ちゃん、早く行こう」




