第24話 街リベラ
ふぅー、ようやく一安心というところだ。ルーが躊躇せずに人を殺したことには驚いたけど、あの場面で生かす理由も無いということは確かだ。もし、生かして返したらどこかの誰かが同様の被害に遭うのだから。ルーや白錦にも馬車に同行する旨を共有した。馬車内に野盗の三人を拘束し気絶させて乗せた。街へ連行するためだ。
残りの死体は山道から離れた場所に移動し埋葬した。後は魔獣や自然が分解してくれるだろう。野盗からの装備は武器や道具も大したことは無かった。回収する程でも無いが、念のため売れそうなものを全て回収し、街でもし売れそうなら路銀にしようと三人で話あった。
ルーとロスリンは何やら仲良く話をしている。年齢が近いせいだろう。俺たちはシーウェルさんと奥さんのモニークさんと話をしながら馬車に揺れていた。その後、野盗に襲われることも無く山道を抜けた。
その先には広い草原と丘陵が広がっていた。山ほどはないが、小さな丘が並々と連なってはいるが視界を邪魔する程ではない。俺も周囲を警戒するが魔獣のような強力な存在は確認出来なかった。だけど、獣の気配はいくつかあった。見晴らしが多少良いということもあり、目視で確認出来たがこちらへ襲って来ることは無かった。もしかしたら知恵があるのかも知れない。
「着きました、あそこが私たちが目指す街リベラです」
「これが街、リベラか」
城壁に囲まれている。しかも、石造りで重厚だ。現実世界でこういう建築物を紹介している番組とかあったけど、それに似ている。石造りで西洋建築って感じだ。だけど、やはりこの世界は現実世界じゃないんだなと節々で思う。門番の兵士が獣人だったり、行き交う人以外の人種もいたりしたからだ。
「おー、凄い人だね。私、こんなに人がいるのは初めて見た」
ルーも大興奮している。
「うむ、我もこれ程とは思わなかった」
白錦が記憶している世界とはやっぱり異なるのか。俺も感動している。シーウェルさんは小さな街と行っていたがとんでもない。それなりの規模がある都市だ。それなりの人数がいることだろう。
「シーウェルさん、ここで俺たちは大丈夫です。ありがとうございました」
「本当にお礼はこれでよろしいのですか?」
「いいんです。俺たちは充分にその報酬を受け取りました」
シーウェルさんが少し納得したようにお礼を言うと城門へ続く街道へと進んで行った。馬車の後方から奥さんの娘さんが手を振っているのが見えたので、俺たちも手を振った。
「さて、ようやく街に着いたな。まずは街へ入ることだ。俺たちがまずすることはこの野盗三人の身柄を兵士へ渡すこと。それから、素材を売る場所を探すとしようか」
残念ながら、シーウェルさんのかつて住んでいた街には素材を売り買いする場所は無かったので知識は無いとのこと。だけど、この街であれば手が掛かりはあるとのことだ。俺もそう思う。あくまでも推測の域は出ないがそういう考え方もアリだと同意するからだ。ルーや白錦も俺の考えに同意した。
城門は立派で恐らくだが街を囲むように城壁が立っているのだろうか。城門へ続く道には行列を成していた。人もいれば獣人もいる。俺たちも列に並ぶ。野盗三人を縛って移動していたので、かなり目立ったがそれはしょうがない。
「次の者前へ」
門兵の声がし、俺たちは前へ進む。
「人数は六人か?」
「いえ、俺たちは三人で、この縛ってあるのは野盗です。山道で襲われたので捕まえてきました」
「おい、コイツらビーンランド一味じゃないか」
「有名な人なんですか?」
「ああ、コイツらには迷惑していたんだ。残りの野盗はどうしたんだ」
「倒しました。運悪く殺してしまったので、山へ返しておきました」
「な、なるほど。コイツらを倒すとは。わかった。名前は? 俺は凛城と言う。こちらはルー、そして、白錦だ」
「異国の名だな、どちらから来た?」
「西の山脈の果てから来ました」
「な、西の山脈を越えてきたのか。道理でコイツらも歯が立たないわけだ。そうか、身分証はあるのか」
「いえ、西では必要が無かったので作っていません。この街で作成出来るのであれば作成したいと考えています」
「なるほど、では、この紙を冒険者ギルドに持っていくといい。この紙を提示すればこちらも登録に反映を確認出来るからな」
「わかりました。ありがとうございました」




