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カタストロフ・ファンファーレ  作者: 竜蔵寺 佑


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第15話 突き立てる

 俺とルーの視線は鎧武者へと釘付けになる。俺が知っている鎧武者の雰囲気は違う。兜や鎧も重厚に作れているのは素人目でもわかった。それに刀を抜き終わり、刀身が殺気を帯びて光が反射する。ルーとアイコンタクトをし、戦うか逃げるかを選択肢を瞬時に戦うと決めた。


 理由はエレベーターの中へ逃げようにもドアはもう閉まっているので、これからドアが開く前にこちらが殺されてしまう。仮にドアが開き間に合っても中に鎧武者が入って来たら狭い空間で戦うのは危険過ぎると判断した。ならば、この広いエレベーターフロアで戦うのが勝率は高いと踏んだのだ。俺やルーもこの都市に来るまでに多くの戦闘経験をした。怪獣や恐竜のような生物とも何度も戦った。それなりに死線は潜り抜けて来たと自負している。


「参る」


 鎧武者が声を出して、こちらへ迫る。刀の斬撃が空を斬る。


 俺はゾッとした。回避はなんとか出来た。だが、その空を斬った斬撃はビルの外が見えるぐらい綺麗に斬り裂いていた。


「おいおい、あの刀切れ味良すぎだろ」


「あの武器危険」


「行くぞ、ルー!」


 ルーとタイミングを合わせて両側から二手に分かれて鎧武者へと迫った。刀を構えてこちらを窺っているようだ。同時に鎧武者へ攻撃を当てる。ルーは首を、俺は胴体を同時に斬り裂いたが、刃が弾かれた。硬いというもんじゃない。鉄でも切れる俺の刀もそうだし、ルーの短剣も恐竜の硬い皮膚を簡単に切れるという代物なのに、首の隙間を狙った攻撃も弾かれている。


「硬てぇな、おい」


「私の短剣じゃ攻撃は通らないみたい。私が囮になるから、お兄ちゃんはアイツの鎧の隙間へ攻撃してみて」


「よしッ、ルー、無理するなよ」


 コクリとルーが頷く。鎧武者へと走り、刀の攻撃を回避しながら鎧に当てるがやはり効果は無いようだ。俺も動きながら隙を狙う。この剣ならば、鎧は無理でも隙間へは攻撃が届くかも知れない。


 鎧武者の意識はルーに向いているが、当たり前だが俺も警戒しているようで俺の動きに合わせて体勢を立て直そうとするが、ルーがそうはさせないと執拗に鎧の隙間の首、脇、間接を切りつける。その度に金属音と火花が大きく散った。ルーは四方の壁を足場に使い攻撃をする。俺がタイミングを見計らう。


 そして、隙間を見つけた。鎧武者の背後から腰へ向かって剣を突き立て刺突した。ジャリジャリと鎧の中にある何かを斬り裂いていく感覚を剣から感じた。


「ぬッ」


 鎧武者が俺の方へと振り返り剣が腰から弾かれた。あの体勢からの回避は通常であれば不可能だ。鎧武者の刀は折れを確実に捉えている。回避出来るのか。いや、無理だ。だが。鎧武者の刀を俺の剣で受けた。


「剣は、折れていない? いけるか」


 凄まじい力だ。鎧武者は俺より一回り大きい体格をしている。上段からの一撃はとても重たい。もし、この剣が受け止めきれなかった場合には俺は両断されていたことだろう。鎧武者の目を見る。目とはいっても顔はお面で隠されており、目のところは黒くて何も見えない。目が無いのかと思うくらい暗い。


「お兄ちゃんから離れろ!」


 ルーが鎧武者の頭の後ろから抱きつき目線を隠した。視界を遮断されたからなのか、少し鎧武者の動きに動揺のようなものが走った。気のせいかも知れない。だけど、これはチャンスだ。


「ルー、ナイス」


 剣を滑らせて刀の攻撃を回避した。刀は床へと深く沈む。単純な切れ味が凄い。そのまま、刀を握る手首を蹴り上げて、鎧武者が刀から手を離す。その衝撃でよろめきながら後方へ倒れた。両手でルーを掴まえようとする前に俺が両足で鎧武者の両手を押さえて馬乗りになり、剣を喉首に突き立てた。

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