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カタストロフ・ファンファーレ  作者: 竜蔵寺 佑


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第14話 武者

「ルー、今後の話をしようか」


「探索のことだね」


「そう、俺たちが今いるのは都市の多分ど真ん中らへんだ。生活音すら俺たち以外から何も聞こえないし、動物や虫の鳴き声すらしない。世界から隔離されているような感覚を持つんだが、ルーはどう思う?」


「うーん、多分、お兄ちゃんが感じている感覚は正しいと思う。あと、この都市にも私がいた街と同じような見えない住人はいると思う」


「そうだな。夜の探索は危険だから注意しよう」


「うん、警戒はする」


「俺もそうするよ。そして、これだ」


 地図をテーブルに広げた。


「現在地はここ。そして、この都市周辺にも何かしらの街があるようだ。このマークは都市や街とは違う形のマークだし、大きさも小さいから村か集落としようか。何れ、ここにも行ってみたいと思う」


「わかった。それじゃ今日は寝よう。鍵も閉めたし固定したから誰かが開けようとしたら物音が立つからその時に対処しようか。ルーもゆっくり休んで」


「うん、ありがとうお兄ちゃん」


 敷き布団が押し入れに入っていたので、借りさせてもらった。この家の家主には感謝している。しばらくこの雑居ビルを中心にして拠点とするのはこの都市の安全性を確認してからにしようと思う。まだ、探索は始まったばかりだ。何も無いかも知れないけれども、何者かはいるかも知れない。武器を傍において眠りについた。


 翌日、目が覚めるとルーが料理をしていた。この光景だけ見ると現実世界に戻ったような感覚へなる。だけど、先日の記憶が現実世界じゃないと教えてくれる。ここは別世界なのだと。


「お兄ちゃん、おはよう」


「ルー、おはよう。昨晩はよく眠れたかい?」


「うん、こんなにふかふかで温かいところで寝られたのは初めてだったよ」


「ああ、そうか。それは本当に良かった」


 ルーが用意してくれた料理を食べた。この街にもスーパーマーケットとかあれば探索してみるのもいいかもと思ったりした。缶詰とか保存に効く物があれば旅には苦労しないだろうし。


「お兄ちゃん、今日はどのビルを回る?」


「うーん、どうしようか。それじゃ、雑居ビル周辺の安全性を高めるという意味で目の前にあるビルから探索しようか」


「うん、わかった」


 ルーと今日の作戦会議をした。まずは周囲の安全性の確認。可能であれば、雑居ビル自体の建物の確認もする。周囲一帯の警戒と警備だ。食器を片付けて洗い物をし出掛ける準備をした。ルーの装備は軽装だ。それを今後補強する装備だけでも都市で見つかれば収穫があったと言えるだろう。そして、食料と水だ。今は雑居ビルで水の心配は現時点では無い。


 この都市も生物の気配が無いということだけで狩猟採集が困難ということだ。自給自足をするのには都市は不便だ。しかも、この雑居ビルから都市の外へ出るまではかなりの距離がある。食料確保も含めて往復するにしても一日掛かりだ。


 それに、都市の外で食料を確保出来る保証も無い。課題は山積みだ。だけど、ここまで来る間に相当な量の肉と山菜は確保し、備蓄品も収納袋の中に全て入っている。この袋が無かったら早々に詰んでいただろう。この袋を無くしたら命取りだ。一番、強く頑丈に出掛ける時は硬く結びつけることにしている。


「よし、行くぞ」


「うん」


 玄関を開け、鍵で閉めた。鍵はルーに持たせた。万が一はルーに逃げてもらうためだ。行動は二人一組で必ず動くことを約束した。本来は別れて行動すると効率は良いかも知れないが、何かが会った際に俺とルーでは対処が出来ないと踏んだからだ。それに、もし敵が現れた際に二人なら倒せる可能性が高いということも含めている。


 二人で目の前にあるビルへと向かう。中に警戒しながら入り、周囲の物音や影などにも注意を払った。アイコンタクトでルーと問題無いと確認し合い、エスカレーターへと向かい、エレベーターフロアまで来て昨日と同じ手順で上層階から探索を開始した。ボタンを押すと点灯しながら降りて来る。


 毎回思うんだが、誰かが上層階で降りているということなのか? と思う。その階で止まっていたということは何者かが降りたということだ。この街にいる見えない住人が出入りしているという可能性も考える必要があるのか、別の誰かが出入りしているのか。ルーのように、ビルに出入りしている人がいるだけでもそういう存在が他にいてもおかしくは無い。むしろ、そういう可能性があると思って行動したほうがいいだろう。


 エレベーターに乗り、上層階へ向かう。ここまで異常は無い。ルーとはアイコンタクトで大体だが、互いの意思疎通は可能になった。山での生活経験が大きい。ゆっくりと青い剣を抜く。合わせて、ルーも短剣を構える。ベルが鳴ると扉が開いた。左右を警戒しながら外へ出る。


「ルー、こちらは問題無い」


 後方にいる筈のルーから返事が無い。後ろにいることは確かだ。違和感を抱き、ルーの視線の先を見た。そこには、この近代的なビルに似つかわしくない甲冑と鎧を纏った武者がいた。ゆっくりと日本刀を抜いて来ると同時に戦闘は避けられないと直感する。

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