第4話
●深夜の住宅街
酔ったサラリーマンが夜道をふらつきながら歩く。
顔を赤くした男は上機嫌な様子。
男「ふひひ、飲んだ飲んだぁ~~……お?」
何かに気付いて立ち止まる男。
視線の先には、頭部のない地蔵が道端に佇んでいる。
男は不思議そうに地蔵に歩み寄る。
男「何だこりゃ。頭がねえぞ?」
しばらく地蔵を眺めていた男、何かを閃いてニヤニヤと笑う。
男、ズボンのチャックを開けて小便を地蔵にかけ始める。
男「ははは、しょんべんビームだ~~~!」
地蔵が小便まみれになっていく。
小便を終えた男、上機嫌でまた歩き始める。
その際、背後で物音が鳴る。
振り返ると、地蔵がすぐ目の前まで迫っている。
男「えっ、ちょっ」
次の瞬間、男の首が刎ね飛ばされる。
胴体が血を噴きながら倒れ込む。
返り血を浴びる地蔵は動かずに佇んでいる。
●神崎家・道場
木造の道場で、朝の稽古をする神崎理央と父。
両者ともに道着を着て対峙する。
父「来い、理央」
神崎が素早いステップで攻撃を仕掛ける。
突き出した拳で父を狙う。
神崎「ハッ!」
父「甘い」
父は拳を受け流しつつ、神崎の腹を蹴り飛ばす。
神崎は身体を折って呻く。
父は冷徹に指摘する。
父「対処が遅い。常に相手の動きを予測しろ。死にたいのか」
神崎「す、すみません……」
痛がる神崎、何かを決心した様子で話を切り出す。
神崎「あの……お父さん」
父「何だ」
神崎「私、実は陰陽師をやめたくて……」
父が目を見開き、神崎の袖を掴んで軽々と投げ飛ばす。
床に叩き付けられた神崎、悶絶する。
父、冷たい眼差しで告げる。
父「戯れ言を吐く余裕があるらしい。見上げたものだな」
矢田(off)「へぇ、朝から稽古なんて真面目なことで」
眼帯を着けたスーツ姿の男・矢田が道場に現れる。
矢田はくたびれた様子で二人に歩み寄る。
父は稽古を中断して対応する。
父「矢田刑事」
矢田「どうも、神崎さん。ちょいと頼みたいことがあるんですが、いいですかね」
父「内容次第だ」
矢田「へえ、ですよね」
矢田、持参していた書類を差し出す。
受け取った父、書類を読み始める。
矢田「首狩り地蔵ってやつがね、人を殺してるんですよ。その名の通り、首を切り飛ばすらしくて」
父「我々に依頼せずとも、本庁で解決すればいいだろう」
矢田「意地悪言わないでくださいよ。こっちも色々忙しいんですって。神崎家のお力を貸してくれませんかね?」
矢田、低姿勢に頼み込む。
書類を読み終えた父、神崎を一瞥して答える。
父「今回は娘の理央に任せる」
矢田「えっ、大丈夫ですかい」
父「これも修行だ。負けて死ぬような鍛え方はしていない」
神崎「でもお父さん、この前は烏天狗に殺されかけたけど……」
神崎、控えめに反論する。
父、鋭い眼光で睨みつけて命じる。
父「さっさと出発の準備をしろ」
神崎「……はーい」
神崎、不服そうに道場から出て行く。
●警察署
矢田、警察署のデスクで煙草を吸う。
スマートフォンに着信が来て応答する。
矢田「どうもー、今日はどうしました?」
落見(off)「新しい怪異の情報はないか」
矢田「それならちょうどいいのがありますよ。首狩り地蔵って言うんですけど。ただ既に陰陽師の一家に依頼しちゃったんですよねぇ。横取りしたら揉めますよ」
落見(off)「陰陽師……」
矢田「ひょっとして知り合いです?」
落見(off)「いや、違う。問題ない。すぐに首狩り地蔵の情報を送ってくれ」
通話が切れて、矢田は苦笑する。
矢田「まったく、せっかちな人だ」
通話相手の落見、自宅でスポーツバッグに武器を詰め込んでいた。
やる気に満ちた落見、自宅を出発する。




