第9話 デビルアイズ
バンズとダルクに、
「あなたたちの仲間の盗賊で、生き返らせたい奴はいる?」と聞くと、2人とも黙って首を横に振る。もっと仲間が欲しかったのかと思ったが違うようだ。
とにかく魔物の戦力が出来たので、人間を殺してまで戦力にする必要はなくなった。
「それじゃ、街に戻りましょう」
私たちは引き揚げることにした。
今日は、あまり盗伐していないので、明日また街の門の外で待ち合わせをすることにして、バンズたちと別れた。
宿に戻ってエヴァと打ち合わせをする。
「何事か異常はなかった」と私。
「何もなかったけど、そちらはどう?」
「蝿が4匹近付いてきたので処分したわ」
「蝿?」
「最初にギルドで絡んできた奴らよ」
「ああ、そんなことを言っていたわね。それで、やっつけた訳ね」
「話は変わるんだけど、デビルアイと擬態スライムを蘇生させたら使役出来るようになったわ。それと驚いたことに、デビルアイは私たちの眷属になったの」
「眷属に?どうして、そんなことに?」
「情報を共有したいから、いったん分身を解除するわよ」
「分かったわ」
こうして私は分身を解除して、エヴァは目の前から消えた。
そして改めて分身スキルを使うと、新しいエヴァが現れた。
「へぇ〜。視幹というスキルが増えているのね。何だか、私もデビルアイズの一部になったみたいな妙な気分ね」とエヴァ。
「そうなのよ。この視幹スキルのせいで、私たちがデビルアイズのコントロールセンターになっているみたいなのよ」と私。
「それで、デビルアイが私たちの眷属になっているわけね。だけど、こんな強力な魔物を眷属として使役していると分かったら、私たちが討伐対象になってしまわない?」
「デビルアイにはインビジブルをかけているから、見られる心配はないけわ」
「不可視の監視ドローン兼攻撃ドローンって訳ね。このデビルアイたちにインビジブルスキルと幻影スキルと隠密スキルを付与しておいた方がいいわね」
「ついでに転移スキルも付与しておくわ」
「擬態スライムたちにも転移スキルを付与したらどうかしら」
「擬態スライムは、眷属化していないから止めておいた方がいいわ。もし、転移出来る擬態スライムが私たちの支配から逃げ出したら大変よ」
「擬態スライムも眷属に出来ないかしら?」
「魔王にでもなりたいの?」
「そんなことはないわ。それより、キキーラとシルカを下の食堂に連れて行ってくれない」
キキーラたちがデビルアイを見てしまったら、せっかく良くなっていた精神が、また壊れかねない、念には念を入れて、部屋を出ておいてもらう。
「分かったわ。キキーラ、シルカ、下の食堂へ行くわよ、早めに夕食を食べてしまいましょう」
キキーラ達が部屋を出ていくのを見て、気が付いたことがあった。
『キキーラがもう少し回復して、冒険者ギルドに行けるようになったら、バンズとダルクと顔を合わすだろう。しかし、それは不味い。キキーラがバンズとダルクの顔を覚えていたら、せっかく回復した精神がまた壊れてしまう可能性がある。そうならないためには・・・、そうだ。彼らは、冒険者なんかより、もっと似合う仕事があった。明日会ったら、話しをしてみよう』
『明日予定しているゴブリン討伐はどうしようか?ゴブリンを狩っても、貰える報奨金は知れている。それならいっそう、冒険者の活動は止めて、盗賊狩りして、盗賊が溜め込んでいる財産を奪う方がいい。また捕まっている女を助けないといけないリスクがあるが、冒険者をやっているよりましだ』
3人が出て行ってからドアに鍵を掛けて、宿屋の上空で待機させていたデビルアイを、眷属召喚で部屋の中に転移させた。
デビルアイはインビジブル化しているが、視幹で繋がっている私には見えているので、1匹ずつ手で触れながら、念話、インビジブル、幻影、隠密、空間透視、転移のスキルを付与していった。
デビルアイに関しては、スキルを付与しなくても、視幹スキルで私の身体の一部として、それらのスキルを使うことが出来るが、私自身がするのは面倒なので、それぞれのデビルアイが自主的に使えるようにしたのだ。
17匹のデビルアイのそれぞれに6つのスキルを付与するのは、それなりに疲れたが、何とかやり終えた。そして、デビルアイたちに、姿を隠したまま、宿の上空に転移して待機するよう命令した。
次に、背負い袋の中に隠していた5匹の擬態スライムを袋から出して、4匹は天井に貼り付いて天井に擬態させた。残りの1匹は、私の革鎧の外側に、薄くなって貼り付いているように命令した。
デビルアイたちは、この宿の上を中心に幾つかの建物の屋根の上に陣取って周囲を監視している。インビジブルだけでなく、幻影スキルと隠密スキルを使っているので、誰かに見つかることはないだろう。
ここまで確認して、エヴァに念話を送る。
「もういいわよ。部屋に上がって来て。4匹の擬態スライムは、天井に貼り付いて擬態させておいたわ。1匹は、私の革鎧の上に張り付いているわ」
「分かったわ」
暫くして、エヴァたちが部屋に戻って来た。
入れ替わりに私は部屋から出て、下の食堂で夕食を食べることにした。




