第6話 ポイズンスネーク
街の門を出て、森に向かって歩く。
「2人とも、数日会っていない間に強くなっていない?」
とバンズとダルクに聞く。
「そうですか?自分では分からないですが」とバンズ。
「確かに、ここ数日で、ギルドにいる奴らが雑魚に見えるようになってきましたね」とダルク。
もしやと思った私は、
「2人のステータスを見ても良いかな?」
と聞くと、
「勿論ですよ。どうぞ、どうぞ」と積極的なので、2人を鑑定してみた。
名前 バンズ
種族 人間(蘇生者)
性別 男
年齢 30
レベル 42
クラス 剣士
HP 115(+?)
MP 32(+?)
STR 70(+?)
DEF 60(+?)
VIT 64(+?)
AGI 58(+?)
DEX 53(+?)
INT 35(+?)
スキル
剣術Lv7
(状態:被蘇生者支配、支配者イヴ、被支配効果:スキル(経験値増加、成長加速)借用)
名前 ダルク
種族 人間(蘇生者)
性別 男
年齢 25
レベル 40
クラス 暗殺剣士
HP 108(+?)
MP 68(+?)
STR 60(+?)
DEF 45(+?)
VIT 65(+?)
AGI 68(+?)
DEX 72(+?)
INT 45(+?)
スキル
剣術Lv8、暗器術Lv4
(状態:被蘇生者支配、支配者イヴ、被支配効果:スキル(経験値増加、成長加速)借用)
『うん?これは、どういうこと?』
いちばん分からないのが、ステータス値の横にある(+?)と、状態のところにある(スキル(経験値増加、成長加速)借用)だ。
彼らを蘇生者支配したのは私だから、この2人が私の支配下にあるのは分かる。
ところが、支配されることで得る効果があって、それが、スキル借用ということで、確かに私は経験値増加と成長加速のスキルを持っている。そのスキルを借用しているということなのか?そして、その分、どれだけステータスが底上げされたかは『?』、つまり外からは確認できない、ということなのか?
何でこんな面倒なステータスになっているのか?彼ら自身には経験値増加と成長加速のスキルはなく、あくまでも私の支配下にある限り、そのスキルの効果が現れるということのようだ。
つまりは、ステータスが強化されたまま離反出来ない仕組みになっている訳か。
とはいえ、今は、その効果が現れていて、ここ数日の狩りや戦闘で、バンズとダルクは強化されたということのようだ。
さて、そんな強くなった2人を連れて、今日はゴブリン討伐が目的なのだが、実は、もう一つ目的がある。というか、目的が出来た。
ほぼ500メートルまで透視出来る私の空間透視スキルは、私たちの後方から来る4人の人物を捉えている。
私に絡んできたので返り討ちにしたあの4人だ。多分、仕返しを目論んでいるのだろうけれど、馬鹿正直に、こちらを追って来てくれたことに、実は感謝している。
もし、こちらを追わずに、宿屋を狙われたら、キキーラやシルカにどんな悪影響をもたらすか分からないところだった。まあ、宿屋にはエヴァがいるから、何とでもなるのだろうけれど。
で、こちらを追って来てくれたことに感謝して、苦しまずに死ねるようにしてあげようと思った。
「バンズ、ダルク、後ろを振り向かないで。これから、お客さんを誘い込むわよ。奴らを油断させるために、ゴブリン相手に苦戦するフリをしてね。強さを見せると逃げてしまうからね」
「イヴ様、奴らの始末はお任せ下さい。ゴミを相手にお手を汚されることはありません」とバンズ。
「ありがとう。なら、任せるわ。さあ、森の中に入り、徐々に人目のないところへと誘い込むわよ」
ポイズンスネーク視点
「畜生、あの女、Fランクのくせに思い上がりやがって。こっちが親切に誘ってやっているのに、不意打ちを食わせやがった。油断していなければ、Bランクの俺たちが、Fランク如きに遅れを取るわけがない。そうだろ、みんな」
ポイズンスネークのリーダーのゲイブスがみんなの同意を求める。
「その通りだ。俺も、いきなり後ろから殴られたから、気を失ったんだ。そうでなけりゃ、Fランク如きに不意打ちを喰らうわけがない。まったく卑怯な奴らだぜ」
仲間の1人も、同じようなことを捲し立てる。
「しかし、今日で最後だ。あいつらは。俺がまだ怪我で寝込んでるって噂を信じて、のこのこと討伐に出て来やがった。俺の怪我が治らないというのは、奴らを油断させるために、俺が流した噂だっていうのによ。ここの出来が違うんだよ、奴らとは。がははは」
ゲイブスは、自分の頭を人差し指でトントンと叩きながら、自分は頭がいいと自慢する。
残りの3人も首を縦に振って同意を示す。
そんなお客さんを引き連れながら、私たちは森の奥へと入っていく。
今回の目的は、常設依頼のゴブリン討伐だ。
常設依頼というのは、討伐期限はなく、討伐数にも制限はない。極端なはなし、1匹討伐しただけでもいいわけだ。ただし、討伐証明として、右耳を切り取ってギルドに提出しなければならない。




