表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エデンの園の理不尽な力  作者: 肩ぐるま


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/39

第23話 クラリスの疑惑

冒険者として活動し始めて1カ月経った。

今、私はCランク冒険者になっている。

1カ月でCランクになるのは異例の速さだと驚かれている。

この速さでランクを上げたのは、最近では、現在のAランク冒険者ブールだけだという。彼もまた、1カ月でCランクまで駆け上ったそうだ。

そのブールを思わせるスピードでランクを上げているので、将来Aランクは間違いない有望株と噂されている。


そのブールは、今は王都に居ない。カーミラの護衛として、大きな農園を持つ幾つかの貴族の領地を回っているらしい。

ドリップ商会の穀物の買い付けのために、作物の出来具合を調べて回っているのだそうだ。

クロムはいなくても、ブールのパーティである金翡きんひの盾の面々は王都で活動していた。

金翡の盾のメンバーの1人で、治療魔法が使える魔法使いクラリスは、リブのことが気になっていた。

兄のブールが結婚したカーミラに似たところがあるからだ、

ひょっとしたらカーミラの血縁者かも知れないと疑っている。何故、疑っているだけで声を掛けていないかというと、クラリスはカーミラを嫌っているからだ。

『兄さんは、なんであんな女狐みたいな女と結婚したんだろう?」

カーミラを見るたびに背筋が寒くなる。クラリスの女の直感は、カーミラをそんな風に捉えていた。背筋が寒くなるのは、腹の底に悪意を抱えているに違いないからで、ブールに近付いたのも下心があってのことに違いない。

つまり、全く信用できない人物で、手練手管で兄を誑かしているに違いないとクラリスは思っているのだ。

『兄さんは騙されている』

カーミラが、この頃よく見せる淑女の微笑みを見るたびに、戦慄を覚えるクラリスだった。

そして、ギルドでときどき見かけるリブという新進の冒険者。

最初にチラッと見たときに、カーミラに似ていると思った。

そして、その後で、自分が震えているのが分かった。そのときは、その震えが何から来ているのか分からなかったが、何度か見かけるうちに、自分が震えた理由が分かった。

その正体は、怯えと嫌悪だった。

クラリスの直感は、リブの異常さを感じていた。その感じを言葉にすれば、”化け物〝だった。あまりにも濃密過ぎる。何が濃密なのか分からない。ただ、その密度は人を押し潰す。そんな危機感を感じた。いや、彼女、リブからは、危機感しか感じなかった。

何故、こんな化け物がギルドにいるの?何故、みんな平気なの?何故、誰も、彼女の異常さに気が付かないの?とクラリスは内心で悲鳴を上げていた。

しかも、彼女から感じる負の波動はそれだけではなかった。

それは、カーミラに通じるもの。自分の都合で人を殺めてきた者に特有の無慈悲さ。しかもその無慈悲さは、カーミラのものを上回る冷酷さを湛えているように感じた。獲物を見定めるようにしか人を見ておらず、人間性の欠片も感じない無慈悲さに、クラリスは、激しい嫌悪感を感じて心が震えた。

そして、クラリスは、冒険者ギルドに顔を出さなくてなった、

このリブという女は、きっとカーミラと関係がある。そして、兄は、リブの正体を知っている。何故か、そんな確信があった。

ならば、兄に会って確かめなければならない。カーミラとは何者なのか?そして、リブを知っているのか?知っているとしたらリブとは何者なのか?

クラリスは、金翡の盾のパーティメンバーに、兄を追うとだけ書き置きを残して、王都を出た。


クラリスがパーティメンバーに何の相談もせずに、勝手な行動をしたので、他のメンバーは怒っていた。

「クラリスまでいないんじゃ、パーティとしての活動は出来ないな」と、諦め口調で言うのはカーゴというタンク役の大盾使いだ。

不動の要塞という二つ名を持ち、縦120センチ、横80センチ、中央が膨らんだファランクス用の盾を構えると、どんな魔物の突進にも耐えきる強さを誇っている男だ。重くて大きな盾をいつも持ち歩いているだけあって、2メートル近い高身長で筋肉隆々とした巨漢だ。

「まったく、何を考えてるんだ?リーダーの妹だからと付け上がってるんじゃないのか」と相槌を打つのはテオドール。ブールと同じ、アタッカー役の剣士だ。

「アニタは何か聞いていないのか?」とカーゴ。

アニタと呼ばれたのは斥候職の軽戦士。翡翠色の髪に銀色の目をした、小柄な女性だ。

金翡の盾のパーティには、女性はクラリスとアニタの2人しかいない。だから、何か相談されなかったのかと聞いている、

「何も聞いていないわ。でも、最近は、黙り込むことが多かったわね。兄の結婚相手が嫌いだとは溢していたけど」とアニタ。

「クラリスは、お兄ちゃんっ子だから、兄さんを取られた気持ちになっていたのかな」

「それで寂しくなって、後を追いかけたって。やめてくれよ。子供じゃないんだからさ」

剣士のテオドールとカーゴが口々に溢す。

「そう言えば、黙り込むようになったのは、あの新人を見かけてからかも知れないわ」

今、この王都のギルドで新人と言えば、ある人物を指す。だった1カ月でCランクに昇格したリブだ。

「あ〜、リブちゃんか。ちょっとカーミラさんに似ている子だな」とテオドール。

「あの子と何かあったのか?」とカーゴ。

「何もないと思うけど」とアニタは首を振る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ