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エデンの園の理不尽な力  作者: 肩ぐるま


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第2話 失楽園

2年間のエデンでの生活で、鬱にならなかった大きな理由は、ナビーヌがいたこともあるが、早い時期にスキルの実で分身スキルを手に入れることが出来たからだ。


『分身』と念じると、もう1人の私が現れた。

顔が同じだと具合が悪いので、分身には姉妹ぐらいの似た顔に変身してもらう。

この変身スキルもスキルの実で手に入れている。

分身の名前は、私のイヴをもじってエヴァとした。

「はじめましてエヴァ。私はイヴよ。このエデンで1人で生きていくのは苦痛なの。話し相手になってね」

「はじめましてイヴ。私はエヴァよ。力を合わせて、エデンでの生活を充実させましょう」

分身が出来たことで、出来ることの幅が大きく広がったが、最も力を入れたのは、ナビーヌの助言に従って模擬戦闘だった。運動は嫌いなんだけどね。

剣は、剣の実から毎日のように出たので、収納にたくさん入っている。そのため、模擬戦は自ずと剣術の試合になった。剣術スキルはスキルの実で覚えたが、素振りだけでは訓練としては物足りない。だけど、分身が出来たことで、実戦訓練が出来るようになり、剣術の腕が上がっていくのが自覚できるようになった。


ナビーヌが言っていた通り、15歳になった日に、私はエデンの園から放り出された。

神様に護られたぬくぬくとした日々が終わってしまったのだ。

エデンの園から追放されてすぐに、分身のエヴァを呼び出した。

「2年が過ぎてエデンの時間が終わったわ。これからは、この異世界で生きていかなくてはならないの。力を貸して」

「勿論よ。エデンの時間が終わったのは悲しいけれど、2人で力を合わせれば、この世界でもきっと生きていけるわ。頑張りましょう」

こうして私たちは抱き合って、力を合わせて生き抜くことを誓い合った。まあ、一人芝居なのかもしれないんだけど。

「ナビーヌ」

ナビゲーターのナビーヌは、いくら呼んでも応えがない。

ナビーヌはエデンの園に付随する機能で、エデンからの追放とともに、ナビーヌとの繋がりも切れたようだ。


服や武器は、エデンの園の実からたくさん手に入れていたので、今の私たちは、冒険者はこんな格好をしているんだろうと考えた格好をしている。

私は、上半身は、厚手のパーカーのようなものを着て、その上から革の胴鎧を着込んでいる。下は厚手のズボンと膝まであるブーツ。腰には、鞘付きの剣をぶら下げた剣帯を締めている。

エヴァは、服と胴鎧は同じだが、その上から、魔法使い風のロープを着ている。

エヴァの装備は短剣なので、近接戦に不利のようだが、鋼鉄製のメイスを手に持っている。そのメイスは、長剣並みの長さがあるのでリーチは十分。兜ぐらいは簡単にかち割ってしまえるので、近接戦でも強い。


食料はパンの実と肉の実から採れたパンとステーキを、1年間分は収納スキルに保存してある。水とミルクも同様だ。問題はお金がないことだが、鉱石の実から採れた金や銀を含んだ各種鉱石や、宝石の実から採れた宝石の原石をたっぷり収納に入れてあるので、街で換金出来れば、金策には困らないだろう。

その他にも、ナビーヌのアドバイスに従って、エデンの園で手に入る珍しい素材や金になりそうなものは、ありったけ集めて収納に入れている。


さて、エデンの園から放り出されたが、今いる場所は何処だろう。

私たちは2人とも、インビジブルで透明になり、精霊結界で身を守りながら、エンゼルウイングを出して森の上に飛び上がった。

精霊結界は、火、風、水、土、氷、雷、光、闇の8精霊の力を持つ結界で、この結界で身を包んでいれば、空を飛ぶときの風圧を防ぐだけでなく、暑さ寒さを防ぎ、高空に上がっても気圧の変化や空気の薄さを感じることもない。また、水中でも呼吸を確保でき、物理攻撃と魔法攻撃への防御力も高い。


かなり上空まで上昇し、視覚強化を使うと、東側と西側の遥か彼方に、街らしいものが見えた。

北側には高い山脈が聳え、森林や岩山以外には何も見えない。

南側は、森林とその向こう側の砂漠らしきものが見えるが、街らしきものは見えなかった。

となると、東に行くか、西に行くかだ。

「東と西に街がありそうだわ。どちらに行こうか?」

「とりあえず東ね。エデンの⚪︎っていう映画があったし」

「この状況とは関係がないと思うけど」

「細かいことは言いっこなしよ」

他愛のない遣り取りをしながら、東を目指すことに決めた。

しかし、その前に、この周辺で魔物を狩って、自分たちがどれくらい戦えるのか実力を掴んでおきたい。

スキルとしては剣術Lv10を持っているし、格闘技でも豪拳瞬蹴Lv5というレアスキルを持っている。

エデンでは、毎日、剣でも素手でも模擬戦をしてきた。魔法も一通り使えるように練習してきている。

まず、空間透視と鑑定で、近くにいる魔物を確認する。

すると、その辺りは、ボーリングの玉くらいの大きさの目玉数十個がブドウの房のような塊になって宙に浮いている、デビルアイズという魔物の群生地だった。

この魔物は、何十もの目玉から一斉にビーム攻撃を放ってくる。ビームは厚い鋼の盾があれば1発だけは防げるが、体の一部が僅かでも盾からはみ出していれば、確実にビームに晒される。

問題は、鋼の盾で防げるのは、最初の1発だけということだ。2発目の攻撃には、盾は意味をなさない。

撃ってくるビームの種類は多く、熱線ビーム、冷凍ビーム、電撃ビーム、ポイズンビーム、腐敗ビーム、石化ビーム、麻痺ビーム、弱体化ビームなどだが、仮に熱線ビームを受けた後で冷凍ビームを受けると、鋼の盾といえどもひび割れてしまう。冷凍ビームを受けた後で熱線ビームを受けても、やはりひび割れてしまう。つまり、属性の違うビームを浴びせられると、鋼の盾では2発目でひび割れてしまって、身体を護れなくなるのだ。

ドラゴンの鱗をそのまま盾に加工したものなどの特殊な素材の盾でないとこのビームは防げない。

それでは、どうするかって。私にはイージスの盾というスキルがある。

このスキルは、無敵の結界であり、イージスの盾という結界で護られた私を傷付けることは不可能になる。

そして、この結界を展開したまま攻撃が出来るのがイージスの盾の凄いところだ。

私たちは直ぐにイージスの盾を展開し、デビルアイズを片っ端から倒していった。

倒し方は、土魔法のロックランスか、氷魔法アイスランスを目玉の数だけ用意して、一斉に撃ち込むのだ。

インビジブルで隠れながら、相手が魔法のランス攻撃に気がつく前に撃ち出すのがこつだ。

デビルアイズは次から次へと現れたので、片っ端から倒していった。

そして討伐時にスキルドレインした、デビルアイビームというスキルが身についた。

もっとも、眼からビームを出すスキルなんて持っていても、人間の私には使えないんだけどね。

このデビルアイのレベルは討伐時の経験値が大きく、経験値増加スキルの影響もあって、私のレベルは1000を超えた、

このデビルアイの群生地を抜けると、ケッツアルという魔物の縄張りに入った。

ケッツアルは、太さが1メートルもある大蛇に似た魔物だが、短距離転移と擬態のスキルを持つ厄介な魔物だ。

多くの場合、大樹に巻き付いたまま樹の一部に擬態しており、獲物を見つけると、相手に巻き付いている状態で転移する。そのため狙われた獲物は、気が付いたら大蛇に巻き付かれた状態になっており、直ぐに締め殺される。非常に狡猾な魔物だ。

また、この辺りには、擬態スライムという厄介なスライムもいる。

例えば、地面に窪みを作って水溜りに擬態して獲物を待っていて、水を飲もうと口を近付けた生き物は、一気に擬態スライムに包み込まれて飲み込まれてしまう。

その他に、草むらに擬態したり、木の枝と葉や実に擬態して、獲物が踏み込んできたり、木の実を食べようとしたら、一気に包み込まれて飲み込まれてしまう。

だから私たちは、この森では地面に足を着けず、数十センチの高さに浮遊しながら、空歩で進んでいる。

そうやって用心していても、熱を感じる蛇の探知能力を誤魔化すことは出来ず、いきなりケッツアルに巻き付かれるときもある。とはいえ、私たちも転移が出来るので、直ぐに短距離転移で大蛇の巻き付きから逃れて、氷魔法の氷雪結晶原を見舞う。

するとケッツアルを中心に氷と雪の結晶が広がり、大蛇は瞬く間に凍りつく。

それを、風魔法のウインドファングで斬り付けると、大蛇はバラバラの氷の欠片になって地面に散らばった。

この氷魔法を放つと、近くにいた擬態スライムが何匹か巻き込まれて倒れたので、ケッツアルの持つ擬態スキルと短距離転移、擬態スライムの擬態スキルが手に入った。

ケッツアルの擬態スキルは、魔法を使った擬態で、身体的な変化をする擬態ではないので使うことが出来た。だけど、擬態スライムの擬態スキルは身体的な変化なので、こちらの方は使うことが出来なかった。

また、ケッツアルの短距離転移は使えたが、既に転移を持っているので意味がなかった。

この一帯には、ケッツアルや擬態スライムの餌になる魔物がかなりいる。

腐蝕毒蛙、剣鎧大蜥蜴、炎帝狼、竜帝大蟻、朱雀蜘蛛、鉱顎百足、雷皇熊、幻影獅子、腐死鳥、単眼大鬼などだが、必ずしも一方的に餌になるわけではなく、ケッツアルや擬態スライムが返り討ちになることも珍しくない。

この中で、剣鎧大蜥蜴、炎帝狼、雷皇熊、幻影獅子、単眼大鬼は超大型で、体高6メートル以上、体長10メートル以上ある個体も珍しくない。

擬態スライムは、球状になれば直径1メートルくらいの大きさしかなく、この魔物の中では弱小に思えるが、実はそんな超大型の魔物を捕食している強者だ。


私たちは、腐蝕毒蛙、剣鎧大蜥蜴、炎帝狼、竜帝大蟻、朱雀蜘蛛、鉱顎百足、雷皇熊、幻影獅子、腐死鳥、単眼大鬼などの魔物も大量に狩った。

そして、腐蝕毒蛙からは腐蝕スキル、剣鎧大蜥蜴からは剣鎧スキル、炎帝狼からは炎帝スキル、竜帝大蟻からは竜帝スキル、朱雀蜘蛛からは朱雀糸スキル、鉱顎百足からは鉱顎スキル、雷皇熊からは雷スキル、幻影獅子からは幻影スキル、腐死鳥からは腐死スキルと、数々の強力なスキルを得た。

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