表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妹にだまされ、私を無視する婚約者をすてることにした  作者: みみぢあん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
50/65

50話 私にできること


 お父様が婚外子をロンスヴォー伯爵家に引き入れることについて、ソフィアお姉様と話したあと。

 私は居てもたっても居られず、あわててモンパトワル子爵邸へ戻った。



「ああ、お帰りフィーヌ。楽しかったかい?」


 幸運にも私が一番会いたかった人は、今日も執務室で仕事をしていた。


「ねぇ、ユベール! 私に何かできることはないかしら?」

「んん?」

「ソ…… ソフィアお姉様とお父様の婚外子のことを話していたら、不安になって!」

「ああ、その話か。もう少し詳しく話してみて」


 私はユベールに、ソフィアお姉様と話したことを説明して助言を求めた。


「なるほど。でも、私たちには何もできることはないよ」

「でも、何か…… 何か探したらないかしら?」


「う~ん…… シリル卿の話どおり、義父上がすでに婚外子を養子にする手続きをすすめているなら。一日でも早く、急いだほうが良いけど」


 考えている時のクセで、ユベールは長い指で自分の(あご)をこすりながら。

 私でもできることを考えてくれた。


「あるの?」

「ダメかもしれないけれど…… 私たちにはできないから、できる人に頼むんだよ」

「ああ!」



 ユベールの助言を聞き、私は『明日、訪問したいです』と先()れの手紙を書き、使用人にこの問題を解決できそうな人に届けさせた。



◆  ◆  ◆  ◆



「こうしてこの屋敷に来るのは…… 一年ぶりかしら?」


 先触れを届けさせた邸宅の応接室で、私は婚外子の問題を解決してくれそうな人が来るのを待った。


 昨日、助言をくれたユベールは……


『できれば私も一緒に行って、説得したいけど…… 私は少し前にケンカを売ったばかりだからね。たぶん顔を見せないほうが良いと思うんだ』


『ええ、そうね。大丈夫よユベール』

 


 ガチャッ! と応接室の扉が開き、私の待ち人が姿を見せた。

 私はソファから腰をあげ、挨拶の言葉で待ち人をむかえた。


「お久しぶりです、トレザン侯爵様」

「うむ。デルフィーヌ、君も元気だったかね?」

「はい」

「そうか」


 トレザン侯爵様は立派な口髭(くちひげ)を指先でなでながら、ニコリと笑う。

 私もホッ…… として笑った。


 私はユベールの助言に従い。元婚約者セルジュのお父様、トレザン侯爵様に会いに来た。


『いいかい、フィーヌ。私たちの説得に義父上が応じることはなくても。大きな事業を共同で経営しているトレザン侯爵の言葉なら、義父上も聞かざるを得ないと思うんだ』


『ああ、なるほど!』



「侯爵様、会って下さりありがとうございます」

「いや…… 私も君とはもう一度、ゆっくり話したいと思っていたんだ」

「そうでしたか」


セルジュ(バカ息子)が迷惑をかけて悪かったね」

「いいえ、セルジュ卿とかたい絆を築けなかった、私にも責任がありますから」

「うむ。君を私の娘にできなかったのは、本当に残念だったよ」

「はい…… 私も残念です、侯爵様」


 それから侯爵様としばらくの間、私とセルジュが子供だったころの話で花を咲かせた。


 久しぶりに会ったぎこちなさが、懐かしい昔話でほぐれたころ。私は侯爵様に会いに来た本当の理由を切り出した。



「ロンスヴォー伯爵は自分の婚外子を後継者にするつもりだと?」

「はい」

「やれやれ…… まったく、伯爵にも困ったものだ」


 侯爵様は苦虫を嚙みつぶしたように顔をしかめた。


 騒ぎをおこしたセルジュが婿入りして、ロンスヴォー伯爵家の当主になることに危機感を持ち。

 政略結婚をあきらめたトレザン侯爵様からすれば……

 問題だらけの婚外子を後継者にするぐらいなら、まだセルジュの方がマシだと思っただろう。


「薄情かもしれませんが…… お父様が困るのは自業自得だと思います。でも、お父様の行動で事業に関わる多くの人たちに、悪い影響が出るのを見過ごせません」


 お父様は今までロンスヴォー伯爵家が築いてきた信用を、すてようとしている。


 今ある信用はお父様が一人で築いたものではない。事業に関わってきた、たくさんの人たちの助けがあったからだ。


()しいな…… 聡明で誠実、努力家。公平で決断力もある。デルフィーヌがロンスヴォー伯爵家の後継者なら、誰も文句は言わなかっただろうに……」


「侯爵様……」

「本当に惜しいことだよ。君が男だったらなぁ……」


 女性は王国法で爵位を継げないと決められている。(うれ)いをおびた表情で、侯爵様はやれやれと首を振った。


「うむ。デルフィーヌの言うとおり、私もこの件に関しては黙って見過ごすことはできない」


 他家の後継者問題に口を出すなど。貴族の中でも当然、ルール違反だ。


 それでも、大きな損害が出る可能性があるとなると話しは別だと。

 トレザン侯爵様はお父様を説得することを約束してくれた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ