表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妹にだまされ、私を無視する婚約者をすてることにした  作者: みみぢあん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
30/65

30話 贈り物



 結婚して数ヶ月後。私はひどく体調をくずし、医師の診察を受けた。



「おめでとうございます。奥様は妊娠しておられます」

「……まぁ! 私が妊娠?」


 手でふれると私のお腹はまだ平らだけど。

 新しい命が宿っているのかと思うと、愛おしさが込みあげてきた。


 私とユベールに新たな家族ができるのだ。


 

 医師から聞いた診察結果を、執務室でやきもきと待っていたユベールに報告すると。

 ユベールは(ひざまず)いて私の手を取り、驚愕(きょうがく)の表情を浮かべた。


「こんなに…… こんなに幸せて良いのかな? 怖いぐらい幸せすぎて……」


「ユベール……」

「デルフィーヌ。私はもしかして一生分の幸運を、使い果たしてしまってないか不安だよ」


 自分自身の失敗ではなく、他人の犯した無責任なあやまちのせいで。

 学園を卒業したばかりのユベールは、いくつもの不運と戦ってきた。


 それでもユベールはモンパトワル子爵家や領民のために、歯を食いしばり苦労に苦労を重ねてここまで戦い抜いた。


 自分の幸せなどは全部後まわしにして、他人のあやまちの尻拭いをして来たのだ。 

 そろそろユベールが幸せになっても、女神様も怒らないはず。


「まぁ…… ユベール!」


 私もユベールと同じように執務室の絨毯(じゅうたん)の上に(ひざまず)き、視線の高さ合わせた。


「君と出会えただけでも、私はじゅうぶん幸せなのに……」

「ねぇユベール。子供は女神様からの贈り物だと言うでしょう?」

「うん」

「だから安心して、私たちの赤ちゃんを受け取りましょう」

「フィーヌ……」


 ユベールの(たくま)しくて温かい身体を、思いっきり抱きしめた。


 この大きな喜びを、ユベールが素直に受け入れられない気持ちが痛いほど理解できて。

 私の目から涙があふれる。


「フィーヌ、嬉しいよ…… 本当に嬉しいよ」

「ええ、私も嬉しいわ。私たちに家族ができるのね」

「ああ、そうだよ。家族ができるんだ!」

「ふふふっ……」


「君は毎日、私に幸せを与えてくれると知っているかな?」

「毎日? 時々ではなくて?」

「うん。毎日だよ」


 ユベールの広い背中をなでながら、私は揶揄(からか)うようにたずねた。


「知らなかったわ」


「君と毎朝、目覚める時…… 君と話ながら楽しい食事をとる時…… それに私の腕の中で君が嬉しそうに笑う時…… 私は君がいるだけで、ずっと幸せなんだ」


 ユベールの声がかすれている。


 抱き合う私にユベールの表情は見えないけれど。もしかすると、私と一緒に夫も嬉し涙を流しているのかもしれない。

 

「あなたが幸せで嬉しいわ。ユベール、あなたと出会えて私も幸せよ」

「ありがとう、フィーヌ…… 本当にありがとう……」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ