表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妹にだまされ、私を無視する婚約者をすてることにした  作者: みみぢあん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
20/65

20話 デルフィーヌの結婚3


 モンパトワル子爵領の神殿で婚姻の儀を終えると。

 子爵邸の舞踏室で夕方から朝まで夜通しパーティーが開かれる。


 私は子爵夫人の部屋で軽食をとり、パーティー用のドレスに着替えた。



「ありがとう、少しだけ休みたいわ。一人にしてもらえるかしら?」

「はい、奥様」


 モンパトワル子爵家の使用人たちが、手早く部屋をかたずけて出て行く姿を見送り。

 誰もいなくなると、私はハァ──…… とため息をついた。


「あともう少しだけよ。もう少しだけがんばれば解放されるわ」


 私たちが主役の結婚を祝うパーティーだけど、私たちは夜通し参加するつもりはない。


 今夜はもう一つ、本当の夫婦になるための初夜の儀式が待っているから。

 だから私たちは適当なところで、パーティーを抜け出す予定だ。


「ふふふっ……」

(ドキドキするけど、初夜に不安は無いわ)


 昨夜、(ねや)の作法についてお母様から説明された。その時、お母様に(あわれ)みの表情で見つめられた。


「ユベール様が男色家ではないと、私は知っているけど。お母様たちは知らないから」


 お母様はユベール様の妻となった私は、大切な初夜なのに夫にに触れられることは無いと考えているのだ。


 ……でもお母様が考えているような、私にとって(みじ)めな初夜にはならないと思う。


 思わずクスクスと笑ってしまう。


 妹のシャルロットに結婚するまで邪魔をされたくなくて。

 ユベール様と話し合い、しばらく誤解を解かずあえて黙っていた。


 だから両親もシャルロットもユベール様は男色家だから。いまだに私たちは白い結婚になると思っているのだ。


「それも今日で終わりだわ。ふふっ…… ユベール様が男色家ではないと知ったら、みんなはどんな反応をするかしら?」


 そんなことを考えていたら、ふあぁ~… と大きなあくびが出た。


「もう…… くたくただわ」


 早朝からずっと準備に追われて忙しかったから。

 さすがに疲れていて目を閉じると、私はそのままうつらうつらと居眠りをしてしまう。



 カチャッ! と部屋の扉が開く音が聞こえた。その音が妙に大きく響いて、私は目覚めた。


「……っ⁉」

 私が目を開くと驚いたことに、扉の前にはセルジュが暗い表情で立っていた。


「やぁ、久しぶりだね。デルフィーヌ」

「……っ」

「まさか結婚までするとは思わなかったよ」


 セルジュは暗い顔で、ピクッ…… ピクッ…… と頬を痙攣(けいれん)させながら笑う。気持ちの悪い笑顔だ。


 ギラギラと瞳を光らせて、セルジュのまわりに不穏な空気がただよっている。


「あなた…… ここに何をしに来たの?」

(嫌な予感がするわ……)



「デルフィーヌ…… いいかげん、意地を張るのはやめてくれよ!」

「意地?」

「こんな結婚をして、君の評判が落ちるばかりじゃないか」


「今さら、何を言っているの? あなたには関係ないでしょう?」

(もしかして…… この人はわざわざ、私に嫌味を言いにきたの?)


「何って、こんな結婚までして。少しやり過ぎだよ君は!」


 セルジュは私をバカにするように、やれやれと首を振る。

 疲れていた私はセルジュのそんなしぐさが癇にさわり、ムカムカした。


「出て行って! 私は疲れているの。貴重な休憩時間の邪魔をしないで」


「おいおい! 君が意地を張ってこんなことをするから悪いんだぞ」

「意地なんて張っていない」

「だから…… 僕は譲歩して君の話を聞いてやろうとしているのにか?」

「本気で言っているの? 私はあなたと話なんてしたくないわ」


「デルフィーヌ、君のその態度にはいいかげんうんざりしたよ」


 顔に貼り付けた不自然な笑顔を、セルジュはようやく引っ込めた。


「出て行って!」

「素直に謝れば良いだけだったのに。君にはがっかりしたよ」

「あなたはまだ、そんなことを言っているの?」

「僕の気を引くために、こんなバカなかけ引きまでして。君はもっと賢い人だと思っていたのに」


「私がなぜアナタの気を引かなければいけないの?」

(さっきから少しも話がかみ合わない。セルジュが何を考えているか、さっぱりだわ!)


「だからそれは、僕ともう一度やり直したくてだろ?」


「……あなた、本当に何を言っているの? 変なことを言わないで」


 婚約解消どころか、私は他の男性とさっき結婚したというのに。



「いいかげんにしろ、デルフィーヌ────!!!」


 突然、セルジュが大声で怒鳴った。私は驚きビクッ! と身体を強張らせた。


 私が自分の思いどおりにならないから、セルジュは癇癪(かんしゃく)を爆発させたのだ。


「……っ?!」

(こ…… この人はいったい、何なの⁉)



 私はセルジュが理解できず困惑した。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ