表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妹にだまされ、私を無視する婚約者をすてることにした  作者: みみぢあん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
18/65

18話 デルフィーヌの結婚


 デルフィーヌとケンカになり彼女を無視していたら、いつの間にか数ヶ月すぎてしまった。


 デルフィーヌ自身が望んでいるから、その気持ちを尊重してロンスヴォー伯爵家は僕たちの婚約を解消したいと提案してきた。


(……たぶんプライドが高くて素直になれないデルフィーヌは、本当は僕とやり直したくて気を引こうとかけ引きをしているのだ)


 昔からデルフィーヌのことを知っている僕には、彼女が何を考えているのかすぐにわかった。

 だから僕は婚約解消を受け入れた。



 それなのに────



「お姉様が昨日、婚約することが決まったの」

「はっ⁉ デルフィーヌが婚約⁉ シャルロット、それは本当なのか?」

「ええ、セルジュお兄様。本当よ」


 僕は聞き間違いではないかと自分の耳を疑った。


「そんな…… 僕と婚約解消して、まだ1ヶ月しかたってないのに?」

「お父様がお姉様のために、早いほうが良いと言っていたわ」


「つまり、お父上がデルフィーヌの婚約を決めたの?」

(もしかして僕と婚約解消したから。デルフィーヌはお父上に無理矢理、決められたのか?)


「いいえ、お姉様が王宮主催の舞踏会で出会って…… その時、相手の男性に見初められたと聞いたわ」


「でも早すぎないか? 僕と婚約解消したばかりのデルフィーヌが、もう婚約するなんて」

(そんな! こんなに早くデルフィーヌが次の行動に出るなんて。かけ引きにしてはやりすぎだよ!)


「でも相手の男性、モンパトワル子爵様にお会いしたけど。お姉様よりもすごく年上なの」


「年上? どれぐらい?」

「10歳以上年上らしいわ」

「10歳以上⁉」


「そのうえ感じがすごく悪いの! 私を子供あつかいして、嫌な人だったわ!」

 

 僕の動揺には気づかずシャルロットはモンパトワル子爵に持った悪い印象を、プリプリと怒りながら話し続けた。


「そ、そんなに悪い相手と、デルフィーヌは婚約するのか?」

「もう、決まったことだから」

「信じられない!」

「婚前契約書にも署名(サイン)したそうよ」


「……なっ!」

(契約書に署名してしまったら、後戻りできないじゃないか! 本当にやりすぎだよデルフィーヌ! ただのかけ引きでここまでやるなんて…… 正気なのか⁉ いくら僕に怒っていても……)


 ケンカしてから僕が無視を続け婚約解消の時も『こんなかけ引きには応じない』という意思表示で、僕はデルフィーヌと一言も話し合わなかった。


(すごく年上で性格が悪い男? デルフィーヌは追いつめられて、そんな悪い条件の相手と婚約してしまったのか?)


「全部、僕のせいだ……」 

(ひどい罪悪感で押しつぶされそうだ)


「……でもきっと、僕に助けを求めてくるはずだ」

(その時、僕がデルフィーヌを助けられるように準備しておこう)


 それまで僕は沈黙を守り、待つしかない。デルフィーヌが意地を張るのをやめて、素直になるまで……




◆  ◆  ◆  ◆



 友だちとして、親しく付き合ってみて知ったことだけど。シャルロットは無邪気な性格のせいか、すごく口が軽い。


 だからデルフィーヌに虐待された話も、恐ろしい速さで学園中に広がって醜聞となり。

 デルフィーヌは孤立してしまった。


 正直、デルフィーヌにそこまでの仕打ちをする気は無かったけれど。

 デルフィーヌも意地になり謝罪しようとしないから、最悪の事態へと発展した。


 だから今回のデルフィーヌの婚約についても、シャルロットは無邪気に学園中で大さわぎした。


『お姉様が11歳も年上の、すごく感じの悪いモンパトワル子爵様と婚約したの!』

 

 僕は何度も口が軽いシャルロットに注意したけれど。

 困ったことに無邪気なシャルロットはすぐに僕の言葉を忘れてしまう。


 そのことで物思いに(ふけ)っているといると。食堂で一緒になった友人と話すシャルロットの会話が聞こえてきて、ギョッとした。


「シャルロット様…… 今、モンパトワル子爵様とおっしゃいましたか?」

「はい。そのかたがお姉様と婚前契約を結ぶために、先日うちに来ましたの」


「でもそのモンパトワル子爵様は、私の父方の親戚で…… 確かその…… 男色家だと聞いたことがありますわ?」


「男色家⁉ まぁ! 男色家とはその…… 男性を愛す男性のことですよね?」

「ええ、そうです。ですからシャルロット様、お姉様は……」

「まぁ! まぁ! まぁ! なんてことなの? かわいそうなお姉様!」


 シャルロットと相手の女生徒は、興奮したようすで頬を赤らめるが…… 僕は頭から血の気が引く。

 その話が確かなのか、聞き返さずにはいられず話に加わった。

 

「モンパトワル子爵が男色家だって?」

「ええ、セルジュ様」

「単なるウワサではないのかい?」


 その話題を出した女生徒は、自分の話にシャルロットをはじめとする友人たちが興味をもったことで嬉しそうに笑う。


「いいえ。若いころモンパトワル子爵様がこの学園にいた時、男性の友人を恋人にしていたと。確かに聞きました」


 女生徒は自分に注目する周囲の人たちにも聞こえるよう、少し高めの声で僕の問いに答えた。


「本当の話なのか?」

「当時、モンパトワル子爵様と同じ時期に在学していた、叔母様から聞きましたから」


「まぁ…… かわいそうなお姉様! セルジュ様にすてられて自暴自棄になっているのね!」


 シャルロットは話をする女生徒よりも、さらに大きな声で話しだす。おかげで2つ離れたテーブルにいた生徒たちまで、話をする僕たちに注目する。



「デ… デルフィーヌは本当にそんな男と婚約したのか?」

(そんな相手を選べば僕の気を引くためのかけ引きが、新たな醜聞を呼んでしまうじゃないか!)


 僕が追いつめたからデルフィーヌは……




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ