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クール系真顔女子×ダイナマイトマッスルボディ高身長女子  作者: 飛鳥井 作太


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6/8

たとえばこんな重要事項

「ふ、ふぉぉぉお」

「おー、お互いたくさん取ったなぁ」

 テーブルの上に並べられた料理を改めて眺めると、思った以上に壮観だった。

 赤に白に緑のソースがそれぞれかかったパスタ3種(もちろん全種ではない)。その向こうの皿には、きらきら輝く葡萄たちが乗っており、こちらも赤紫や濃紫、翠とこれまた色鮮やかで宝石の如き一皿。そして、あちらにあるフライドチキンやポテトの山は、香ばしさ漂うまさしく食の黄金。その隣にある皿は一転して、焦げ茶、深緑、真紅に煌めく甘やかなケーキが集い、まこと麗しい様相。

 他にもチャーハンや点心、新鮮なサラダたちも揃い、とかく豪華なテーブルとなった。

「これ、全部食べて良いのか……!」

 伽羅《きゃら》が、感極まったかのように言う。

「いや、取ってきたん自分たちだし。全部食ってもらわんと困るて」

 お残しは許しまへんで、なのだ。

「うう、ここ最近ずっと蒸し鶏と卵と野菜ばっかだったからさぁ、感動しちゃって」

 いや、鶏肉好きだけどね? 野菜と卵も好きだけどね? 限度ってもんがあるじゃん、と伽羅は恨めしそうに言いながら、ジューシーフライドチキンを頬張った。

「~~~ッ、脂うま~~~! これよ、これ!」

「何でそんなまた、減量食みたいな食事を」

「親に今日のことがバレてさぁ」

 ぺろっと自分の手を舐めつつ、彼女が説明する。てらてらの唇、やらしいな。

「前回の食べ放題のあと、私ちょっと太ったでしょ?」

「……ん~~~。そんな言うほどじゃなかったと思うけど」

 私は、咀嚼したチャーハンを飲み込み(チャーシューの旨味と甘味がしっかり染み込んだ良きチャーハンであった)、思い返してみた。

 ううむ。

 いつもより少しぷにってるか? ぐらいだった気がする。

 相変わらず引き締まったナイスマッスルしか印象に無い。

「あんがと。でも、親からしたらアウトなわけよ」

 お蔭で、今回はちゃんと運動するって言っても信じてくれなくて、と伽羅はため息を吐いた。ため息ついでに、ぷすっとマスカットへフォークを突き刺し、口へ放り込む。

 しょっぱいものと甘いものを交互に食べる、我らの通称・無限美味しいループを楽しむつもりらしい。

「うちは、これがあるからねー。やんなっちゃう。私、別にプロのボディビルダーじゃないって」

 憂鬱そうにフォークを回し、パスタを巻き付ける彼女を見ていたら。

「じゃあ、一緒に暮らす?」

 ぽろっと。

 その言葉が、口をついて出た。

「……誰と」

「私と」

「……」

「……」

「それ、さぁ」

「うん」

「所謂《いわゆる》、プロポーズじゃない?」

「そうね」

 あまりにうっかり飛び出したので、今更恥ずかしくなる。とりあえず、クロワッサンにローストビーフを突っ込んで気を紛らわした。

「そんな、え。こんな、ビュッフェの序盤のさぁ、え、こんなときに出る?」

「仕方ないだろ。ずっと考えてたことだから、つるっと出ちゃったの」

「へえ。ずっと考えてくれてたんだ」

「……うん、そう」

 はー、しまらねぇ。

 むぎゅむぎゅと。もう苦しそうなクロワッサンの割れ目に、今度は野菜も詰め込んだ。

「とりあえず、さ」

「うん」

「めっちゃ真剣に食べたいから、返事はあとでいい?」

「うん。そうして」

 もう一回、仕切り直そう。

 食後のお茶のときにでも。

 あるいは、腹ごなしの散歩のときにでも。

 今日は幸い、空は晴れ。銀杏並木も、綺麗に色づき始めているのだ。


 END.


 


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