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エピソード23 異世界 思い出す日々

慈優の家に戻って、ネックレスを探し始めて、すぐに見つかった。東京から簡単にまとめて持ってきた必需品の荷物の中、普段持ち歩くポーチの中に、大切なケースに入っていた。


いつも持っていたのに、いつから忘れていたのかしら?

この異世界の事を思い出す事が増えてきて、私は、元世界にも戻れない。

でも、今、氷美さんに、ものすごく会いたいか?と言われると、、違う。


私はベッドに寝転んだ。

こちら《異世界》の大学に戻っても、氷美兄様が、戻ってこないかも。多分、冬冷のおじさまが色々と動いているだろうし。おじさまの経営手腕は、そんじょそこらの経営者とは、比べ物にならないくらいすごいからだ。


少し散歩したからか、眠くなってきた。

うとうとしてきた。


――――――――――――――


「うーん、よく寝た。」


「あや、まだ寝ていたのか?シャワー浴びるって言ってたのに。休みだから、ゆっくりでいいけど、朝ごはんできてるぞ。」


「えっ?」


氷美兄様が、パジャマ姿で、朝食が乗っているワゴンを押してきた。


「おはよう。花嫁さんは、何回も熟睡だなっ。」


氷美兄様にキスされそうになり、


私は思わず、避けてしまった。


「えっ?あやっ。なんで避ける?」


「氷美兄様、どっちの世界?」


「えっ?あや、きみは、向こうから来た?」


驚く氷美兄様に、異世界でうたた寝をして、起きたらこっちだったと話した。


「向こうにどれだけ居たか、記憶は?」


「2週間か、1か月くらい。」

なんか、あやふやだ。


氷美兄様は、頭を抱えた。

2人の話を合わせてみると、元世界の私は、かなり安定して、普通に生活していたらしい。


結婚式は私も覚えている。氷美兄様に抱きしめられて眠って、目覚めたら、異世界で誘拐から氷逸兄様に助けられていたわけだから。

話を聞いた氷美兄様が、ぽつりと話しはじめた。


「仮説だけど、元世界と異世界は、繋がってはいても、同じ世界じゃない。全く同じ世界が2つある意味がないよ。で、こちらの元世界では、僕とあやの絆は間違いなく6歳から続いているし、お互いが迷ったり揺らいだ事はない。そこまでは、いいね。」


私は頷いた。


「で、異世界では、僕の役割の人は、氷逸兄さんって事は紛れもない事実だろう。だって、偽馬鹿は、嵌められたとは言え、あやを裏切ったに等しい。僕が準備していた婚約と結婚の為の宝飾品も、氷逸兄さんが、随分前から、準備していたんだろう?」


それも頷いた。


「そして、氷逸兄さんは、脳外科の医師生命を断たれる事もわかって、あやを助けた。もちろん僕だって、あやに危険が迫ればはそうする。なあ、あや、君はどうなんだ。」


「私、向こうでいると、氷逸兄様のことばかり。でも、連絡も来ないし。」


「あや、氷逸兄さんの性格、わかってるだろう。あやと似ていると言うか、人の感情を読める人だ。自分を犠牲にしても、周りを守る。ましてや、あやの為に怪我をして、あやがそれを悪いと思って、責任を取ろうなんてしたら、兄さんは嫌がる。」


「だから、何も言えないんです。」


「あや、僕の妻になった夜の事、覚えてるか?」


「もちろんです…………ん?…えと。」


「何を着ていたか、覚えているか?」


「パジャマです。」


「やっぱりな。」


「えっ?」


氷美兄様の説明によると、今の私は、異世界の私ではないかと。一時的には、両方にいたけれど、異世界の記憶が戻ってきているらしい。

この一週間、氷美兄様は、こちらの私と、甘い新婚生活を送りながら、2人で、大学に勤務していたと聞いて、焦った。別々の私が存在してるわけだから。


こちらで、氷美兄様と私が結婚したら、状況は変わると思われていたけど、実際にそうなりつつあると言われたら、私もそう思う。


氷美兄様は、「あやが氷逸兄さんを愛しているかどうか、が答えなんじゃないか。僕は異世界に行くあやを止めたいと思ったし、誰にも取られたくなかったし、あやも僕との約束を守ってくれて、妻になってくれた。だから、元世界は安定してきたんだ。」


「愛情の揺れが、メビウスの輪を作り出してしまったのですか?」


「あや、向こうに戻れ。向こうには、あやがいないはずだ。」


「まさか?」


「氷美さん、、朝食をいただき、ましょう?」


バスローブを来た私が、ドレッシングルームから出てきた、私が驚く。

「わ、わたし?」


2時間後、氷美兄様は、まさに双子の私たちを見つめながら、私たちを眺めていた。


私と私は、色々と話をした。記憶も経験もほぼ同じか、似ていた。ただ、好きな人が違った。


どこから違ったのか、異世界から来た私がわからない。


「どこからって、彩は、白鳥の湖ごっこの王子様が氷逸お兄様だったのでしょう?」

と私が言う。


「そう。あやは、シンデレラごっこが、僕だった。」氷美兄様が言う。


「すでに6歳から違ったのよ。私は、ずっと氷美お兄様が好きだったから。」


「ちょっと待て、あや、あやは、いつも僕ら兄弟をお兄様と呼ぶだろう?」


「そうよ、氷美さん。」


「向こうの彩は、兄様と。」


「あっ。私、元世界と異世界で、言い換えていたはずでした。」


「僕があやを妻にしてから、、たぶん、言い換えてないはずではないか?偽馬鹿とつまらん婚約など。」


「そうです。その頃から、異世界での記憶が、あやふやで。」


あやがベッドに座って、カブトムシのぬいぐるみを抱き抱えている。


私は気づいた。

「私、帰らなくては、、、」


「どうしたの?急に。」


「彩、気づいたのか?」氷美兄様が笑っている。


「カブトムシのぬいぐるみを、何故か氷逸兄様に預けているの。」


「そこに答えがあるよ。」


「どうやって戻れば。。私、早く戻りたい。」

涙が溢れてきた。


「彩、こっちにおいで。」

私は、氷美兄様に引き寄せられつ、抱きしめられた。あやが笑っている。


「彩、向こうの氷逸兄さんを大切にしてほしい。僕と同じ思いだとしたら、彩を、自分の命より大切に思っているはずだ。」


私は泣きながら、頷いた。

氷美兄様が、額にキスをしてくれた。


「氷美兄様、ありがとう。あや、氷美兄様と幸せに。」


私とあやは抱き合った。ほぼ同じ私達だけど、好きな人は違った。でも、あやの胸にあるタンザナイトを見て、私は氷逸兄様が大切な人だと、胸が苦しくなるほど思った。


「あやと彩、手を繋いで。」


私達は、ソファに座って、手を繋いだ。


氷美兄様は、床に膝をついて、ソファに座る、あやを抱きしめて、横で見ている私が恥ずかしくなるようなキスをした。あやは、私にウインクして、兄様に体を預ける。

あやと繋いでいる私の手が、薄れてくる。

幸せに、と呟きながら、私は、自分の体も意識も消えいくのが、わかった。


―――――――――――――――


次に目覚めた時、お母様が側にいた。


「彩っ、気がついた?」


周りを見渡して、慈優の私の部屋だとわかった。

「外出から帰ってから、目を覚まさないから、また向こうに転移したかと。」


「お母様、向こうに行って帰ってきました。きっと、もう大丈夫だと思います。」


どうやって、向こうから帰ってきたか、恥ずかしいけど、お母様には話した。


「彩、全ての答えは、愛にあるのよ。」


「はい、向こうのあやが教えてくれました。それで、お母様、私、お父様とお母様にも話したい事が。」


話は夕食後、という事になった。

散歩をして、元世界の2人に会ったからか、お腹は少し空いていた。いつもより、少したくさん食べられた気がする。

お父様もお母様も、喜んでくれた。


その後、サロンに場所を移して、私が紅茶を入れて、話す準備に入った。


「彩、話とは。」


「お父様、私、氷逸兄様と結婚できませんか。」


両親はさほど、驚かなかった。


「何故、驚かないの?」


「だって、彩は氷逸君と結婚すると思っていたから。」


「えっ?だって、婚約は氷美兄様と。」


「冬冷からは、氷逸君が有力だと聞いていたからな。ただ、なぜか高校生くらいから、氷美君が彩と結婚したいと言い出したらしいから、冬冷も、様子を見守っていてくれたようだが。氷逸君のあの性格からすると、氷美君が諦めない限り、自分が前にはでないだろう、と、冬冷は言っていたが。」


「私、氷美兄様と、6歳で婚約の誓いをした記憶がないのです。たしかに向こうの世界では、誓いをしていましたが。」


「そのあたりが、あやふやだな。」


「一度、冬冷家に行きたいのです。ただ、、」


「それは構わないが、何か引っかかるのか?」


「氷美兄様と婚約解消した途端に、さらに私のせいで怪我を負われた氷逸兄様に、私が何を言っても拒否されるかと。」


「彩、あなたは、一回、拒否されたら、諦める程度の気持ちしか、氷逸さんにないのね?そんな愛情で、氷逸さんに結婚を申し込むなんて失礼だわ

。」


「お母様、、そんなつもりでは。」


「なら、どうしたいの?大切なものは、自らの力で守らないと、誰も、与えてはくれないわよ。」


私は、はっとした。私の父と母は、大学病院の人事を巻き込むほど、大恋愛だった。

お互いに自分を犠牲にして、一番ほしい伴侶を選んだ人たちだった。

そして、氷逸兄様も、私を守ってくれた。


「言葉を尽くしてきます。冬冷家に行かせてください。」


私は、その夜、しっかりと眠って、翌朝早くに、お母様の自家用車を借りて、必要なものをカバンに詰めて、久しぶりの運転で、東京の冬冷家に向かった。



2つの世界がわかれました。

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