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エピソード14 異世界 凄水邸VS思い出話

《異世界凄水邸》


「真里、氷美君は、媚薬に弱いのか?かなり副作用の頭痛が続いているな。」


「頭痛薬と言って、媚薬の錠剤と、香を焚いてますし、紅茶にも入れてます。強すぎるのでしょうか?」


「うちに足止めするには問題ないが、婚約から結婚に持ち込むのに、体調が悪いと、行動が制限されすぎるだろう?」


「それは、私にはわからないので、お父様にお任せしますわ。それより、正気に戻った時に、彩に気持ちが戻ったら、困ります。」


「心配しなくても大丈夫だ。彩の存在も、鬱陶しいからな。人を使って、一生、人を避けて生きるしかないようにして潰してやるから、安心しなさい。」


「まあ、楽しみだわ。」


「しばらく、香を焚くのをやめて、食事に混入するだけにしなさい。」


「夜は?」


「真里の好きなように。もう婚約しているから、安心だ。」


「わかりました。必ず彩を潰してね。私、頭が良くて、何でもできる彩が嫌いなのよ。いつも学院で、褒められていたのよ。」


「わかった、わかった。早めに潰してやろう。夕食は、氷美と二人でとりなさい。私がいると、気を使うだろう。とにかく、警戒させないようにな。」


「わかったわ、お父様。」


凄水は娘が部屋から出るのを確認して、鈴木を呼んだ。

「鈴木、慈優の娘の件はどうなっている?」


「いつもの、組の始末屋に、数人で襲わせる

手筈です。」


「金はケチるな。綺麗に失敗なくやってもらわねばな。二度と立ち直れないように写真も撮れ。」


「はいっ、お任せください。」


――――――――――――

《異世界 慈厚総合病院 院長室》


「警察に依頼する時期に来ています。」


「貴山もそう思うか?」


顧問弁護士の貴山が口を開く。

「軟禁状態ですし、彩様あてに送ってきた写真は、婚約解消を迫るための、精神的に追い込むためです。それと、氷美君の衣服を回収できたのは、運が良かった。鑑識で再分析になりますが、先に、これだけ分析できていれば、警察も動いてくれるでしょう。」


刑事と民事を任せている敏早弁護士が頷いている。

「彩様の身辺警護が必要です。氷美君を奪った後、邪魔になるのは、彩様でしょう。女性を傷つけるのは凄水なら朝飯前ですよ。警察より、すぐに呼べる警護官OBをすぐに集めます。」


「頼んだぞ。敏早。彩は大切な親友の娘で、氷美の婚約者だ。」


「院長、警視監にご相談されますか?」


「証拠が少なくないか?」


「凄水真里の替え玉受験から大学院進学までの証拠があれば。」


「最後の証拠は、彩に動いてもらわなくてはならないから、迷っていたのだが。」


「彩様に警護をつけて、おびき出す方法しか。」


「彩を囮にするのか。」


「証拠集めに邪魔が入れば、確実に事件性が浮上します。」



―――――――――――――

《異世界 病院のラボ》


「真里の替え玉の証明?」


私は氷逸兄様から、大学受験から大学院卒業までの真里と、高2までの真里が他人である事を証明できないかと聞かれていた。


「まず、今日の茶葉を持ってきた真里を本人とすれば、その指紋と唾液でDNA鑑定ができるわ。」


「できるのか?」


「替え玉の話は、元世界で聞いていたから、気にしていたの。凄水と真里が使ったティーカップは、保管してあります。」


「やっぱり、彩は頭が切れるな。」


「お兄様方の脳には、永遠に追いつけませんけど。で、大学から大学院の間の真里の残っているものを探せばいいんですね。」


「あるか?」


私は考え続けた。何か残ってないか。


「あっ、PCR結果の写真!実験ノートに貼る時、素手が多いでしょう?あのポラ写真、指紋がベタベタ残りやすいから。今は、もっと便利にプリントできるし、画像保存する機器もあるけど、当時は、古いタイプだったから、指紋はついてるはず。記入する数字やコメントは自筆だし、基本的に実験ノートは、研究室においておく規則があるし。卒業は半年前だから、まだ持ち出してないはず。」


「ちょっと待ってて。父さんに電話する。」


「そうだよ、彩ちゃん。ノリやセロテープで貼り付けるにしても、素手なら指紋が残っている。」

氷美兄様も、大学院時代は、研究をしていたから、実験には詳しい。


氷逸兄様がおじさまに院内PHSで連絡している。


「敏早弁護士か同行してくれるらしい。警護の人も来てくれるそうだ。1時間後に、病院駐車場で集合だ。」


氷逸兄様が、鍵のかかった机の引き出しを開けて、何かゴソゴソ探している。

「あっ、あった。彩ちゃん、これっ。」


氷美お兄様が四角い黒いビロード張の箱を出して渡してくれた。

箱は角がとれて、古びていた。

開けてびっくりした。一瞬、息が止まっていた。

これを、氷逸兄様が?


「タンザナイト、、、」


「お守りに使って。学生時代だから、もう軽く10年くらい前かな。国家試験に受かった後、なかなか旅行できないだろうと思って、エジプトからタンザニア辺りを旅行した時だ。

タンザナイトはタンザニアが産地だろ?だからあやちゃんの誕生日プレゼントと思って、、現地の店で。サウジビアビラの石油王も来ていたよ。あまりにも迷って迷っていたから、その男に声をかけられて、宝石買う前に、食事しようと、誘ってくれた。」


「私のために?」


「だって、僕らの周りで12月生まれは、あやちゃんしかいないし、僕に、こう言うものを贈る女性っていないし、なかなか渡せずにずっと放ってあったから。なら、今回のお守りと思って。」


私は躊躇した。誕生日プレゼントレベルじゃないくらい綺麗なタンザナイトのネックレスとブレスレットのセットだった。息が吸い込まれそうな、この石。


「氷逸兄様、もしかして、これ。」


「あやちゃんは、勘が良いから、バレちゃうね。一人前の医者になったら、プロポーズしようと思ってた。父さんからは、3人のうち、あやちゃんが誰かの嫁になってくれたら、と聞いていたから、僕の妻にしたいと決めていたんだ。

    だけど、旅行から帰ってきた僕の部屋でそれを氷美に見つかって、ものすごい大げんかになったんだ。氷美に『僕達はあやが6歳の時から結婚を誓っ仲だから、渡さない。誓約書もある。』と言われて、、、その時は身を引くしかないと思った。でも、これは、もともとあやちゃんの為に準備したから。

誕生日プレゼントとしても、氷美に気後れして、なかなか渡せなくて、結局、結婚祝いにするしかない年齢まで、そのままになってた。」


私、氷逸兄様に大切に思ってもらっていたんだ。


「あやちゃん、タンザナイトは、あやちゃんの勘を鋭くする。何かの役に立つかもしれないから、今は、身につけて。贈る理由は、お守り、なら氷美に許されるかな?」


「氷逸兄様、では、今は、お守り、として身につけます。ありがとうございます。」


氷美兄様が、一瞬寂しそうに笑ったけれど、すぐにキリッとした、いつもの表情に戻った。

氷逸兄様は、お顔立ちが整っていて、イケメンというより、麗しく品がある、正統派王子様みたいな人だ。

大学では、女子によく追いかけられていたと、先生方から聞いた事があった。


「で、サウジビアビラの石油王は?」

なんだか、きまり悪くて、話を逸らしてしまった。


「そうだ。分析ばかりで、コンを詰めていたから、大学に出発するまで、気晴らしに石油王の話をしようか。

     まず彼と自己紹介した。

僕が日本で、国家試験に受かったばかりの医師だと知ると、彼もアメリカで心臓外科医をしていたと、話してくれた。

で、彼に、誰に何を贈るのかと聞かれ、僕は兄弟3人の長男で、父の親友の一人娘を、うちで預かっていて、、、という話をしたら、君が娶りたいのかと図星されて、あやちゃんを好きになった事を、すんなり認めてしまった。」


「うっ、、、氷美兄様、、」

昔話なのに、思い切り、告られているような、、、。


「あやちゃんに、これを、見られたら、なんか、もう、スッキリしちゃったみたいだ、

      で、彼が言うには、幼い頃から身近にいる幼女が、少女になり、美しく乙女になっていく姿を見るのは、男としては、眼福ものだと。さすがにお国柄だと、びっくりしたけど。言われてみれば、そうだった。

カブトムシばかり見つけては、僕にも見せに来ていた彩ちゃんが、思春期になると、あまり僕や氷聖と話さななくなって、あれは、氷美が邪魔をしていたんだと思うけど、

聖ソフィアの高等部の卒業式の時は、淑女に麗しく成長したと、感動していた。

その頃にタンザナイトを買ったと思う。大学に入ってからの家庭教師のアルバイト代、全部使った。」


と、笑いながら話す、氷逸兄様の告白、すごい。なんかドキドキしてきた。兄様が、家庭教師のバイトをたくさんしていたのは知っていたけど、、旅行が好きだから、旅費を貯めているのかと思っていた、


異世界では、氷逸兄様が、タンザナイトを準備していました。

読んでいただき、ありがとうございます。

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