アルセンテスの領主3
「んでギルマス。何からやればいいのよ。」
エルザが尋ねた。
「あぁ。まずは領主の屋敷に最近雇われたユザンという男の調査を頼みたい。ギルドでも名前を聞かないから恐らくこの大陸のものではないだろう。有翼人族だという噂も聞いている。」
「!?」
3人は顔を合わせた。
「どうした?有翼人族は珍しいが、その反応……それだけじゃねぇな?」
「ウィルヘイムの日誌から、指輪を渡してきた犯人は有翼人族か神族じゃないかと推察してるんだ。そのユザンってのは白いローブを着てなかったか?」
イザは尋ねた。
「なるほどな。俺も一目見ただけだが白いローブじゃなかったな。黒いマントを羽織っていたかな。だがもし有翼人族が犯人なら魔法道具の効果を近くで見張ってるって可能性もあるな。レイネの仇かも知れねぇな……」
ライナスが歯をかみしめている。
「領主がアイテムの力で暴走している証拠を見つけたとして、そこからどうするんだ?いきなり領主を打つわけにはいかないだろう?ウィルヘイムのように肌身離さず身に着けているとしたらどうするんだ?」
「証拠さえつかめば俺に考えがある。領主を変えちまった原因になってるものを見つけてくれればいい。」
「それなら私にお任せください。」
ウルマが手を挙げた。
「お前ひとりで見つけられる自信でもあるのか?」
ライナスがウルマを見つめる。
「はい。お話を聞く限り私一人で十分だと思います。」
「ほう……言うねぇ。でも一人でどうするつもりだ。」
「こういうのはいかがでしょう。ハイド。スニーク。……」
そういうとウルマは姿も気配も消えてしまった。
「!?」
全員驚いた。
イザは目を凝らすとうっすらとウルマの姿が見て取れたがすぐ目の前に居るにも関わらず気配はほとんど消えていた。
「うそ??あたしもハイドとスニークは使えるけどこんな完全に姿を消せるなんて……それに気配さえも感じないなんて。」
エルザが一番驚いている。
ウルマが姿を現した。ウルマの右手にはライナスの胸についていたギルドマスターの証が握られていた。
「これで信用していただけましたか?」
「ははっ!これはすげぇな。俺の目でも見えないとは。」
「でもなんで同じスキルなのに私のとは全然違うのよ?」
「私はユニークスキル:隠者と狩人を取得しています。これによって私が敵と認識した者が自身よりレベルが低ければ探知されることはまずありません。私よりも高レベルのものや魔力の高いものが感知系スキルや魔法を使えばばれてしまいますがね。イザさんには見えていたようですし。」
「俺よりもレベルが上ってか……プライドが傷つくねぇ。流石はティアマット様の眷属だっただけはあるってことか。いいだろう潜入調査はウルマに任せる。」
「あれ?イザって俺らと同じくらいのレベルだったよな?なんでイザにはウルマさん見えてたんだ?」
ラインハルトが不思議がっている。
「いやーその、竜族の感ってやつかな?ははは…」
「ふーん、そういうもんなのか。」
(ライナスさんも睨んでるし絶対ばれてそうだけど……レベル300超えてるとか言えねー!ラインハルトがバカで助かった。)
「んじゃウルマに調査をしてもらってる間お前らに別の仕事を頼みたい。これは領主の件とは関係ないんだが。実は近海に厄介な魔物が居るらしくてな。それを討伐してもらいたいんだ。」
「そんなん俺らじゃなくても依頼を出したらいいんじゃねぇの?」
「もうしてる……。だが依頼を受けた冒険者はみな解決できずに帰ってきているんだ。不思議と死者は出てないんだがそいつのせいで船の行き来が出来ないから大陸間の交易も止まってるし漁師からも何とかしてくれって声が強くてな。」
「ギルマスがいけば倒せるんじゃねぇの?」
「あー……俺はだめだ。船はどうしても苦手でな……。はは…。まぁお前らなら何とかなるだろう。んじゃそういうことで頼んだぞ。くれぐれもシアに怪我だけはさせるんじゃねぇぞ?詳しい話は港にある海洋連合にでも聞いてくれ。」
「んじゃいこうか!あたしが案内してあげるよ。」
エルザがみなを連れていこうとするとライナスが口をはさんだ。
「気をつけて行って来い。シアちゃんは無理しないでね。あ、それとイザは置いていけ。少し用がある。」
「……?まぁいいや。ラインハルト、シアいくよー。」
「では私は早速ヤザンと領主の調査に行ってまいります。」
そういうと4人は部屋を出て行った。




