アルセンテスの領主1
街の入り口はフルプレートの鎧を身にまとった兵士が警備している。
「街に入るものは顔が見えるようにして身分を証明するものを提示してください。」
「エルフとヒュム2人だな。」
3人はライナスからもらった紹介状を見せた。」
「これは…ライナス様の紹介状。たしかに。どうぞお通りください。」
「エルフとヒュム2人だって。うまくいったね♪」
――昨日 メリルの小屋にて
「アルセンテスに行くのにお主らその姿のままじゃと何かと問題があるじゃろ。」
「んなこと言われても。んじゃ竜の姿で街に行くのか?」
「あほう。もっと騒ぎになるわい。ヒュムの姿になるんじゃよ。」
「っても人化してもこの角とか消えないよ?」
「魔法で見えなくするんじゃよ。見た目だけな。まぁ魔力感知に長ける者がいた場合すぐばれるがヒュムの街ならそうそうそんなに魔力の扱いに長ける者も居らんじゃろうから大丈夫じゃろ。」
「ふーん。どうするんだ?」
「イリュージョンという魔法じゃ。視覚的に騙すだけで触れれば分かるし魔力感知にかかるとすぐ消えてしまう低位の魔法じゃからお主ら二人とも使ってみぃ。人化とおなじようにイメージして魔法を行使するだけじゃ。」
「わかった。イリュージョン!」
イザの姿がヒュムのようになった。
「これいいじゃん!ん……?」
後ろでシアもヒュムのような姿になっていた。
「エルフのお主はアルセンテスに行くのに姿を変える必要はなかろう!シアじゃないウルマじゃよ。」
「あはは……」
「イリュージョン」
ウルマは獣人のような耳が消え人間の女性のような見た目になった。
「これでいいじゃろ。ただしこの魔法はさっきも言ったように触れられるとばれるし、魔力感知でもばれる。騒ぎを起こしたくなければ人に触れられたり、魔術院や魔道士に近づいたりはするんじゃないよ。」
「はーい。」
(視覚的に騙す魔法か。すぐばれるにしてもこれって意外と使えるんじゃ?)
――アルセンテス街中
「街には入れたけどギルドってどこにあるのかな?シア場所分かる?」
「うーん、何度か来たことはあるけど買い物以外では来たことないからちょっと私はわからないかなー。」
ウルマが耳を澄ましながら
「あちらの方で聞き覚えのある声が。」
指を指す方へ行くと見覚えのある二人が言い争っている。
「俺のせいかよ!」
「あんたのせいじゃない!油断して逃げられるからこんなに手間取って!!」
「なんだとー!?……ん?イザたちじゃないか!」
二人がこちらに気が付いて駆けてきた。
「遅かったじゃないか!待ってたんだぜ。」
「あれ?二人ともなんか雰囲気が違うような?」
「ん?あー!角と耳g……!」
ラインハルトの口をシアがふさいだ。
「あんたバカじゃないの!?竜族と獣人だってばれ……」
今度はエルザの口をウルマがふさいだ。
「まったく二人とも……。んでその子はなんだ……?」
ラインハルトたちの後ろに縄に縛られた少年がいた。
「このガキは窃盗の現行犯さ。」
「ガキじゃねぇ!俺にはカイって名前があるんだ!」
「悪かったなカイ。なんで盗みなんてやったんだ?」
イザはかがみこんでカイに尋ねた。
「食うために決まってんだろ!」
「こんなことをしてたら両親が悲しむぞ。」
「両親なんてもういないよ……。じいちゃんと俺だけだ。」
(何か事情がありそうだな。綺麗な街だけど周りをよく見ると町に住む人の顔は沈んでいて活気もない。)
「これを。」
そういうとシアは持ってる金貨をカイに手渡そうとした。
「おいおい!いいのかシア?こいつは……」
ラインハルトがシアを止めようとする。
しかし少年はシアの手を払いのけ叫んだ。
「うるせぇ!施しなんて受けねぇよ!お前らも領主と一緒でどうせ貧乏人を見下して嘲笑ってるんだろ!!」
そういうとカイは縄をほどき逃げ出した。
「このガキ!」
「俺がそう簡単に捕まるかよ!じゃあな!」
「綺麗な街のわりに色々問題を抱えてそうだな。」
「あぁ。あのガキだけじゃないんだ。最近こういうことが増えてなー。魚も最近ろくに取れないらしいし。俺らみたいに戦える奴は冒険者って仕事もあるからいいけど。そうじゃないやつは年々増える税金のせいでな……。」
(どこの世界も既得権益者の圧政は変わらなそうだな。)
「わりぃな!ギルドに行くんだろ?案内してやるよ。」
――ラインハルトの案内で冒険者ギルドに到着した。
「ここで冒険者登録をしておくとランクに沿った依頼を受けて報酬がもらえるんだ。イザたちも登録するだろ?リースさーん!この3人冒険者登録お願いします。」
「はーい。新人さんですね~。この書類にサインをしていただいて、それが済んだらこの水晶に手をかざしてください。」
誓約書のようだ。命を失うような仕事を受けても自己責任。ギルドランクを超える依頼は受けることは出来ないなど、基本的なことが書いてある。3人は署名を終えた。
「ありがとうございます。書類はこちらで預からせていただきます。ではそこの男性の方から、えーと、イザさんですね。こちらの水晶へ手をかざして魔力を流してみてください。」
「はい。」
「あーっと。それは辞めといた方がいいとおもうぜ…?」
ラインハルトとエルザが苦笑いをしている。
「はい?二人ともどうしたの?はっ!もしや……イザさん魔力ほとんど持ってないとか!?大丈夫です!ヒュムは魔力が少ないといってもどんな人でもほんの少しでも魔力はあります!測定は出来ますよ♪」
リースは満面の笑みで薦めてくる。
イザは言われるがまま水晶に手を当て魔力を流した。
すると水晶に大きなひびが入った。
「ギャー!!!!」
「やっぱり…」
「うそ!?上級魔法職の冒険者やエルフの方でさえ問題なかったのに!!なんでー!」
リースはおろおろしている。
「そいつらの測定はしなくてもいいぞ。俺が保証する。」
ライナスが階段から降りてきた。
「リース。ギルドの説明が済んだら俺の部屋にそこのみんなを案内してくれ。頼んだぜ。」
そういうとまた階段を昇って行った。




