里の族長1
――数日後
メリルにラインハルトの新しい剣も仕上げてもらい旅立つ準備も整った。
シアと話し合いアルセンテスのギルドに向かう前にエルフの里に寄っていくことにした。
「ほんとにメリルは来ないのか?」
「わしは他にも用があるからのう。気をつけてな。」
「そうか、んじゃ行ってくる!色々ありがとう!」
「メリルさん色々ありがとうございました。」
「メリル様ありがとうございました。」
3人はメリルに挨拶をしてメリルの小屋をあとにした。
森に入って周りを見渡すと森全体が魔力に満ちているのが分かる。
「宝玉の力……か。すごいな。」
「レイネ様の魔力と優しさを感じます。」
ウルマがそういうとシアは少し暗い顔をした。
「あ!シア様!そういうつもりでは……配慮が足りずにすみません。」
「ウルマ謝らないで!違うの。母さんのこともあるけど、これからこの森をどう守っていけばいいのかなって……。」
「その話もするためにこれからエルフの里へ行くんだろ?大丈夫さ。エルロッドも協力してくれるよ。」
「私も協力させていただきます。」
後ろから急に声がした。
3人が振り向くとそこには尻尾を振りながらこちらを見ているガルドがいた。
「かわいい…」
ウルマがガルドに抱きあげ抱き締めた。
「ウルマ殿!?放してください!!私は犬ではありません!!ガルドです!!」
「フフフッ」
イザとシアは笑った。
「お二人とも笑ってないで助けてください~……」
――そうこうしているうちにエルフの里の前に着いた。
ガルドがウルマの腕を振りほどき人化する。
ウルマが少し残念そうな顔をしている。
「エルフの里の入り口は隠されているはずじゃ……?」
みなは少し驚いた。
「これからは種族間の壁を閉ざしていては駄目だと思いまして――」
そういってエルロッドが近づいてきた。
「みなさんようこそエルフの里へ。」
「エルロッドさん里の長老様たちがこんなことよく許してくれましたね。」
シアが驚いている。
「フフ。もっと驚くことになると思いますよ。みなさんこちらへどうぞ。」
こういうとエルロッドはウィルヘイムの家の前までみなを案内した。
「ここは……」
「元ウィルヘイム様家ですね。代々族長を継ぐ者の家です。これからはシア様の家になります。」
「!?」
一同は驚いた。
「わっ、私が族長!?無理です!そんな…!それに私はハーフですし…」
「宝玉の力を解き放って里へ戻り私は長老たちに起きたことすべてを伝えました。ウィルヘイムのことレイネ様のこと、そしてシア様のことも。そしてウィルヘイム様が集め秘密裏に調べていた文献や資料を里の者で調べあげ。ルーシア様がハーフでありながら族長であったこと。里に伝わる伝承に誤りがあったこと。代々族長を努めてきたヴィユノーク家の者はその血を引き継いでいることが分かりシア様に本来の魔力も戻った今、正当な後継者としてシア様が族長候補に認められたのです。」
「ですが…私は……」
「今すぐに族長として里をまとめあげろということではない。」
奥から年老いたエルフが出てきて言った。
「長老様。」
「シアよ。いままで血にこだわるあまり長い年月を経て事実をも捻じ曲げ、果てにレイネやウィルヘイムのような悲しき事件をも招いてしまった。わしらエルフは認識を改めて種族や魔力、血の濃さなどではなく、真実を見つめていかなければ里もこの森も先は無いと理解した。今までその誇りから閉ざしていた種族の壁をこれからは開いていこうと思う。里と森のためにハーフの身でありながらも死力を尽くして行動してくれたこと。そして種族間の橋渡しとしての意味としてもエルフとヒュムの混血であるお主が里の長として立つことでこれからの里の方針を示すこれ以上の適任者は居ないと話し合いで決まったのじゃ。」
「いままでシアのとこを混血だからって蔑んできた割に里の方針を示す為って言ってシアを族長に立てるとか都合いいこと言ってるんじゃないか?」
イザは少し苛ついている。
「竜族様の言う通りです。それは重々承知しております。いままでの我々の行いが消えるとは思っておりません。」
エルロッドが口を挟んだ。
「私もシア様には酷い扱いをしてきたので言えた身ではありませんが……。血に固執してきた里のものから新たな長を選んでも完全には里の認識を変えることは出来ないと思い。シア様なら……いえ、シア様だからこそ里の認識とか違う視点から見て変えていき、里のみなを導いてくれると思い私がシア様を推薦しました。申し訳ありません。ですが里の上層は一部を除き皆賛同してくれています。」
「いままでの習慣からこの意見に強く反対する者がいるのも事実です。ですが里の半数以上の者は変わろうとしています。レイネ様の件で里のありように疑問を持っていたものもいたのです。シアよ、どうか考えてもらえないかね。」
「わかりました。その代わり条件があります。」




