099 公爵様からの願い事
「私は日本に住んでいて、最近こちらの世界へきました」
公爵「それは大変だったね。でも幸せそうで良かった。父は家族に時折チキュウでの事を話してくれたよ。こちらにきて、結婚して幸せだと言ってはいるが、やはり時々ふと思い出して寂しさも感じてはいるようでね。それで、向こうで食べていた食材なんかを作る事に力をすごく入れていたよ」
「それで、醤油とか味噌、米、豆腐、のり、乾物、沢山のものが、この地域にあるのですね。私、イゼジマで夫達に笑われるくらい、たくさん買いました」
公爵「ハハハ、気に入ってくれたようで良かった。それで、すまないが頼みたい事があるんだ。食材はあっても作れないものがあるようで、シェフに説明して作らせても違うようなんだ。もし知っているようなら教えて欲しくて」
「どのようなものですか?」
公爵「何個かあるんだが、1番上手くいかないのがショウユーラアメン」
まさかの庶民的食べ物。
公爵「醤油はあるのに、何か物足りなくて麺も上手くいかないといっていた」
「出汁を使っていないか、煮出すのが足りないのかもしれません。麺はおそらく、かんすい、というものが無いと食感がだいぶ違うのだと思います」
公爵「カンスイ?はこの世界にあるのだろうか?」
「簡単に言うと、塩湖水を煮詰めて残った成分がカンスイに近いです」
公爵「アシアに塩湖は無いし、それは塩だよね?海の塩ではダメなのかい?」
「似ているようで、海と塩湖は成分が違うのです。土地に含まれたミネラルなどの影響だと思いますが」
塩湖は強いアルカリ性で、そのアルカリ性があのコシのある麺にさせている。
「でも、濃度とか配分が難しいので重曹を使った方が上手くいくと思います。重曹も似た成分なので。パスタで代用してもかなり近い食感の麺になると思うので、よろしければ、私お作りしますか?その時シェフの方が覚えれば、これからも食べられるでしょうし」
公爵「本当かい?ありがとう。父が喜ぶよ。敷地内の離れにいるから明日昼食に誘うよ。お願いしてもよいかい?」
近くにいたんだ!
「はい。起きたあと厨房へ食材を見に行かせてください」
部屋に戻り、パールとコハクにデザートをあげて、クリーンしてベッドへ。
「ごめんね。疲れたでしょ?」
アビー「いや、話を聞いていただけだし、同郷のものに会えそうで良かったな」
アイク「渡り人は頻繁にいるわけではないから、生きている期間で重なる時間があるのは奇跡に近いと思う」
たった1人でも私と同じ地球を知っている人がいるというだけで嬉しい。
それだけで私だけが異質だという寂しさがなくなる。
「うん、奇跡よね。それに日本の味を食べたくなる気持ちがすごくわかるから、なんとかしてあげたいって思う。喜ばせてあげたい」
アイク「確かに、ミツキの作る故郷の料理はどれも美味すぎるから、食べられないのは辛いだろう」
アビー「1度知ったあの美味さを2度と味わえないなんて辛いよな」
朝目覚めた後、食堂で食事を頂く。
貴族の方達が起きるのはブランチの時間帯らしく、まだ寝ているようだ。
オーナー夫妻はいて、奥様は髪を綺麗にカールさせている。
夫妻は朝食後、商会へ行く予定なので、明日商業ギルドで待ち合わせの約束をした。
この世界の物だけで作るため、食材を見せて貰う。
さすが公爵家、さまざまな材料や調味料がある。
料理長さんにラーメン以外で前公爵様に頼まれて調理した物を聞いてみると、ファミレスによくあるような、庶民的なものばかり。
高位貴族家の食事では出てこないのばかりだから、余計思い出して食べたくなってしまうのかもしれない。
料理長や全ての料理人にも手伝って貰い、レシピを覚えてもらう。
紙にレシピを書いて後で渡そう。
ラーメンの鶏ガラ、サンド用のパン、時間のかかるものから始める。
ハンバーグの玉ねぎなどを切るのにフードプロセッサーを使う。
びっくりして感動していたので、2台あげた。
家庭用サイズだから何度かに分けて使う形になるけれど、もう少しでこの国でも販売されると聞いて喜んでいた。
美容の為にジューサーもプレゼント。
ラーメン、ピザ、ポテトフライ、ハンバーグ、グラタン、ナポリタン、エビフライ、コーンクリームコロッケ、唐揚げ、フルーツサンド、ブルーベリータルト、プリン。
お子様もいるからファミリーレストランのようなメニューにしてみた。
パンの柔らかさに感動していて、酵母を二瓶ほどあげて、レシピも渡すから今後も作れるようになるはず。
ラーメンは小さなスープ皿でミニサイズ。
他のもミニサイズで作れるものはミニサイズ、気に入ったものを自分で好きな量でおかわり出来るように、大皿にのせてビュッフェスタイルにした。
余裕もって作っておいて、無くなるスピードを見ながら追加で作っていくように指示をだした。
多くつくってしまってもビュッフェスタイルだから、残っても屋敷の人達が食べられるし、パールとコハクもいるので沢山作っても大丈夫だけれど。
作っている間に起きた公爵家の人達の朝食は軽めにしてもらっていて、午後2時から始めることに。
この前アイクに作ってもらったビュッフェスタンドを使ってテーブルに配置。
執事が便利そうだと褒めてくれたので、今日使ったスタンドはそのままプレゼントする事を伝えると、無料では貰えないと金貨だろう、重そうな巾着袋を渡そうとしてきたので、見たことの無かった調味料と食材を少し頂く事にした。
公爵領で採れたり作ったりしたものだからお礼にならない、と言われたけれど、市場では置いていない最高級だろう調味料と食材なので金貨より嬉しいと言うと、公爵領で製造された高そうなワインも渡された。




