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異世界の歩き方  作者: ❀雪月風花❀


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100/126

100 渡り人と話す 

挿絵(By みてみん)


料理の準備が終わり、公爵家の方達が入ってくる。


先頭は公爵様、公爵様に似た60代前後の男性、可愛らしいお顔をした同じ年代の女性、公爵様の奥様、お子様達。


前公爵様だろう方とすぐ目が合うと、目を見開くがすぐ笑顔になられた。


ケン「君がミツキさんだね、話は聞いたよ。私はケン・スマドラ、結婚する前はケン・クラークと名乗っていたよ。そして妻のステファニーだ。まずはイゼジマからの護衛の件、領民の為にいろいろしてくれたと聞いた。ありがとう」


「美月と申します。こちらこそ、公爵様に滞在をお誘い頂き感謝しております。本日は私が料理を作らせて頂きました。お口に合えばうれしいです」


ケン「おお、すごい。これをミツキさんが?早速頂きたい」


「少しずつお食べいただき、お気に召した物を再度お取りください。この量の何倍もまだ調理場にありますので気に入ったものは遠慮せず、沢山お取りください」


最初は全種類、それぞれ少量を大きめのお皿数枚に盛り付けて席の前に置いてある。


ケン「ハハハ、バイキングだね。うれしいよ」


こちらの世界でのパーティー料理は大皿ではなく、小皿に少しだけ盛り付けた一口料理が大きなテーブルにたくさんのせてあり、それを取って少し食べるスタイル。


お酒に合うツマミみたいなメニューで似たような種類が多い。

バクバク食べている貴族はいなさそうだよね。

基本はメイドとかにサーブしてもらうものだし。


領主息子「わあ!美味しい!これ」


領主娘「私も!これすき!」


お子様は小さいほっぺを膨らませ、モグモグと食べている。


ケン「ああ!!ラーメンだ。懐かしい。私はアメリカで育ったが、祖父は日本人でね。祖父が生きてるうちは2年に1度は日本に行ってたんだ。商社に就職してすぐ両親が事故で亡くなって、でも仕事に慣れるのに必死で、悲しむ時間はあまり無かったな。24の頃、日本へ旅行に行って海へ行ったとき、子供が溺れていて助けたところで自分が力尽きて気がついたらイゼジマの海岸に倒れていたようだ。それを妻が見つけてくれたようで海岸近くの屋敷で世話をしてくれたんだよ。妻の父が当時のスマドラ公爵で、渡り人だと知って私に秘書のような仕事を与えて衣食住の世話をしてくれた。そこそこの大学出だが、こちらではかなり高学歴な知識になるようで、仕事も無理なくこなせて助かったよ。妻とは表立っては言えなかったがお互い思い合っていたのは確認していて、公爵家は妻の弟が継ぐのだし、私に娘さんをくださいとお願いしたんだが、その弟が騎士になりたいから俺は公爵位を継がない、と言ってね、私が婿に入って、公爵と宰相を引き継いだんだ。商社では調味料も少し扱っていたから作り方に知識があって、試行錯誤して醤油や味噌を作れたが、料理は全くしたことないから食べたかったものが上手く再現できなくて諦めていた。特に日本に行った時にファミレスには感動して日本へ行く度に通ったよ。1つの店で数多くの種類のメニュー、あの値段、あの美味さは日本だけだと思うよ。ミツキさんのお陰で懐かしい、大好きだった料理がまた食べられた、ありがとう」


「喜んでいただけて良かったです。私は幼い頃に祖父母を、両親も社会人になる前に事故で亡くし、その後1度結婚しましたが夫が亡くなり、祖父母の家へ行く途中、川で溺れ、フラシルの魔の森の中にきていて、夫達に獣から助けてもらい、こちらの生活に慣れるまで支えてもらい、思い合うようになって最近結婚しました」


ケン「ご主人を亡くされているんだね。それに魔の森なんて危険なところ大変だっただろうに」


「こちらに来てまだ数ヶ月で、最初は地球との違いに大変さはありましたが、夫達が支えてくれて結婚し、今ではこちらに来て良かったと強く思っています」


みんな、たくさん食べてくれている。


ケン「本当に美味しかった。これからはまた食べられると思うと嬉しいよ。

庭でお茶をしよう」


広い庭園に沢山の花が咲いていて素敵な庭。


「素敵なお庭ですね。!!!桜!?少し違う?」


よく見かけていたピンク色より薄いけれど形はそっくり。


ケン「桜に似ているだろう?これはさくらんぼの木で他国で見つけたんだ。

何本か移して植えたんだが、気候の違いなのか土が合わないのか、上手く育たなくてこの一本だけ残ったが、これも年々咲く部分が少なくなってきた」


「あの、私植物魔法使えるので、この木の隣に挿し木してみてもよろしいですか?もしかしたら育つかもしれません。そして枝は2本切り取っても良いですか?1本は私に頂けると嬉しいです」


ケン「こちらこそ是非お願いしたいよ」


枝を切り、桜の木の少しスペースを空けた隣に挿し木して、こっそり地球産の肥料と土を混ぜる。土と枝に植物魔法を優しく流すとゆっくり伸びて腰までの長さになった!


元の桜の木の根本にも肥料と土を足し、魔法を流す。


ケン「ほぉ、見事な魔法だ。こんなに育つのか、すごいね。元の木も蕾が増えている。まだまだ綺麗な花を咲かせてくれそうだ。本当にありがとう。毎年これを見る楽しみがこれからも続くよ。咲き終わって美味しい実になるのも楽しみでね」


「こちらこそ桜が見られて、さくらんぼも実るなんて思わなかったので嬉しいです。いただいた枝は家の庭で大切に育てます」


ケン「結婚旅行、いや新婚旅行中だったかな?これから他の国へ行くのかい?」


「温泉やダンジョンも行くので、まだこの国に留まります」


ケン「そういえばミツキさんも強い冒険者だったね。あの2人と2匹がいるから大丈夫だろうが、気をつけるんだよ。ダンジョンへ行くなら近くにある我が領地の精霊院へ寄って行くといい。とても美しい庭なんだ。次またこの国に来たときは顔を見せておくれ」


「いろいろ、ありがとうございました。お会いできて嬉しかったです。また会えるのを楽しみにしています」




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