097 スマドラ公爵
検問所までは馬車で1時間くらいかかった。
他の冒険者は盗賊の事の説明と荷馬車を商会へ届ける為、私達がオーナー夫婦と領主様の屋敷へ向かい屋敷の門のところで、執事の人に襲撃の話を説明し終えると、エントランスホールに案内されソファを勧められた。
執事がオーナーを連れていき、私達はそのままエントランスで待っていると少ししてオーナーが戻ってきて、領主様に報告を終えたと教えてくれた。
護衛は無事終わったので、領主邸を出ようとしたところ執事に止められた。
執事「真珠の事のお礼もしたく、夕食をご一緒にいかがでしょうか。これから宿をとるにも時間的に大変だろうから、そのまま是非今日はこちらで休んでいってほしい、と主が申しております」
ハウスがあるから宿は平気なんだけど、ご主人様って渡り人の息子さんだよね?
会ってみたい。
渡り人さん本人ではないけれど一緒に住まわれているのかもしれないし。
2人が私を見てきたので頷き、執事に承諾すると客間へ案内される。
長い廊下を歩いていると花瓶や鎧、絵画等が飾られていてキョロキョロ見渡してしまった。
どれも高級品に思えるが、絶対あの桁違いに高そうな壺の近くには行かないようにしよう。
廊下の途中ですれ違う多くのメイド達がお辞儀をして顔をあげ、双子を見て顔を赤らめていく中、客間に到着。
ソファセットにダブルベットが2つある広い部屋。
「半刻ほどでお迎えに参りますので、それまでおくつろぎ下さい」
メイド1人と侍女長さんがお茶を淹れてくれる。
メイドさんは少しソワソワしているが、侍女長さんは流れるような動きでお茶を淹れている。
お茶を淹れ終え、2人が退室したので一息つく。
紅茶美味しい。
「ありがとう。私の為に泊まることにしてくれて」
貴族の誘いなんて普段なら絶対断っているだろう2人だもの。
アイク「気にするな。ミツキの思うようにすればいい」
アビー「ああ、聞きたいことがあれば相手が貴族でも気にしないで聞けばいい。俺達がフォローしてやるから」
アイク「オーナーから聞いていた話でも、まともな領主のようだしな。屋敷に入った時にも嫌な感じはしなかったし、俺達のランクを知っての事かもしれないが、まあ、大丈夫だろ。それより疲れたんじゃないか?襲撃後で」
ミツキ「ううん。大丈夫。だって馬車は開けられなかったし。2人こそ何人も相手したでしょ?」
アビー「ミツキのヒールで疲れも癒やされたから大丈夫だ。ミツキの肉体的ではない疲れが心配だ。人間に襲われたのは初めてだろう?恐怖心はヒールでは癒やされないだろうから」
ミツキ「確かに、人に襲われるのは初めて。でも2人がいるから絶対大丈夫だと思えて恐怖は感じなかった。自分も死なないで私も守ってくれるって約束してくれたでしょ?」
アイク「ああ、約束した」
アビー「死なないし、ミツキには指一本触れさせない」
「あと、ずっと一緒にいてくれるのと、愛してくれる約束、破っちゃだめだよ?」
「「破らないと誓うよ」」
「前の世界ではね、嘘ついたら針千本飲~ます♪、っていう歌があるのよ」
アビー「聞いた限り平和な国だと思っていたが、そんな恐ろしい歌があるのか」
アイク「ミツキに嘘はつけないな」
クリーンして綺麗めのワンピースに着替えて、少し待つと執事が迎えに来た。
パールとコハクもどうぞ、と言われたので連れて行き、大きなダイニングテーブルのある部屋に着くとオーナー達がいた。
パールとコハクの前には肉料理が沢山乗せられている大きなお皿が置かれ、嬉しそうに食べだした。
少しすると公爵様だろう、40歳前後のダンディーな男性、綺麗な奥様と15歳くらいの男の子、少し下の女の子が入ってきた。
挨拶しようと立ち上がったが、手で制止され、
領主「楽にしてください」
領主「私はスマドラ公爵領当主アルバート、妻のクリスティーナ、息子のアラン、娘のエレーナです。いきなりお誘いして申し訳ない。無事、真珠が届き感謝します。かなりの人数の盗賊だったと聞いた。おそらくそのグループはここ最近、何度も人や馬車を襲っていたグループで、いくつかのグループが仲間になって大きくなっていたので困っていたところです。アイザック様、アビゲイス様の事はもちろん存じていますが、クリス(オーナー)に聞いたところ、浜辺に出現したワニガメラを討伐して頂き、民たちに振る舞い、更に護衛の報酬を真珠のみで請け負って頂いたと。その上、奥様は領民達のための商品を開発し、販売しようとしているとか。是非、お礼とお話が聞きたく食事に招待させていただきました」




