094 光る海
夕日が沈みだして綺麗な紫色の空、海に反射して綺麗な景色は日によって変わるから何度見ても感動する。
2人に抱きしめられ何度もキスをした。
「幸せだなぁ」
アイク「ああ、幸せだ」
アビー「これからも、その幸せが続くよ」
また何度もキスしていたら、いつの間にか2匹が戻ってきていた。
アイスとウインドはまだ走っている。
パールが虹色の大きな巻き貝を、コハクは更に大きな薄い紫色の二枚貝を咥えていて私に渡してくれた。
「すごい、綺麗ね!くれるの?ありがとう」
ギューッと抱きしめる。
巻き貝から波の音が聞こえるのを教えてあげると、みんなびっくりしていた。
波の音ではなく、周囲のノイズを拾った音か何かなのだけれど、波の音、って思ったほうが楽しいよね。
朝8時少し前に宝石店へ。
宝石類も積み終わっているようで、店員さん達も店の前に出てきていて
オーナーと話している。
「おはようございます」
オーナー「おはようございます。よろしくお願いします。子供達を紹介します」
20歳前半くらいの青年、成人手前の少年、妹だろう少女、3人お子さんがいた。
夫婦でスマドラへ行くので、長男に店を任せるようだ。
少女は夫達を見て顔を真っ赤にして、青年の後ろへ隠れチラチラ見ている。
少年は2匹に目が釘付けだ。
怖がっているとかではなく、ソワソワしながら。
「触ってみる?」
次男「はい!いいんですか?」
「優しく触れば大丈夫」
そーっと2匹を触る。
フワフワとツヤツヤな毛並みにウットリして撫でている。
毎日ブラッシングしてるから極上な毛並みなのだ。
「君、トリマーのスキルあるでしょ」
次男「え!?」
「お姉さん、トリマーのスキルあって何となくそう感じたの」
次男「まだ会えてないんだけど、僕もいつかパートナー見つかるかな」
「ええ、きっと素敵なパートナーが見つかると思うわ」
次男「はいっ!!」
可愛くて弟君をナデナデする。
成人前とはいえ、立つと私と背の高さは変わらないからか、双子がムスッとした顔になってしまったけれど。
荷馬車2台、オーナー夫妻と店員1人が乗る馬車1台、御者3人。
護衛の雇われ冒険者が6人で、4人乗馬、2人は荷馬車の御者台に乗る。
荷馬車には雑貨店、乾物屋の荷物がたくさん積み込まれている。
オーナー夫妻や店員のインベントリにも荷物は入れている。
でも、インベントリは持ち主が死んでしまうと取り出せなくなるので、領主様に渡す真珠以外にも高額な真珠、商品などは入れられない。
そこそこ高額でも、すごく重いものや大きいものはインベントリに入れてしまうみたいだけれど。
私達は午前は乗馬、午後は馬車で馬車のときは2人で交代して御者をして、パールたちは馬と並走。
盗賊には会わずに昼休憩になり、各自馬車や外で食べ終わり中央付近で集まってお茶を飲んで少しのんびりしながら私は奥さん、エミリさんと美容品の話。
双子は冒険者達にいろいろアドバイスしていて真剣に聞いている冒険者達、一番若いだろう冒険者は目をキラキラさせている。
6人の冒険者は「紅の支配者」というパーティーを組んでいてランクはB。
紅の支配者⋯⋯異世界あるあるの名前。
パーティーランクでは私達より上だけれど、個人ランクではBが4人、Cが2人なので双子は憧れの強者になる。
Sは勿論だけれど、BからAランクになるのが本当に難しいらしい。
2人が他の冒険者と接しているのは見た事が無かったから新鮮。
熱心に指導していて、頼りになる先輩冒険者という感じで格好良い。
※今までも接するどころか、アドバイスなんてしたことのない双子。ミツキを守る為の強度を少しでも上げるため的確なアドバイスをしているだけだが、6人の戦闘力は上がった※
オーナーは御者達と打ち合わせ。
出発して時々獣が現れるが、パールとコハクが嬉しそうに相手するので、私達は馬を止めずに進む。
馬車の時には首輪作り。
コハクははちみつ色、パールは金色の瞳、アイスとウインドは黒毛におでこから鼻にかけて白毛ライン、薄い茶色の瞳。
明るい薄茶色の伸びやすい革を使い真珠をつける。
可愛いのが出来たと思う。
気に入ってくれるかな?
夕方遅くに小さな海の町、カマクランへ着いた。
小さい町だが旅行者や商会などの中堅地点なのか、宿が8軒くらいあるらしい。
この町にも雑貨店を置いているので、明日は少し荷物を下ろしたり新たな荷物を積み直すようだ。
オーナー「お疲れ様です。今日はありがとうございました」
アイク「ああ、明後日は何時だ?」
オーナー「8時にこの入り口にお願いします」
オーナーたちと別れ、馬車をインベントリへしまい海の方へ行き、広い浜辺の奥にコテージを置き夕飯を済ませた。
お風呂に入って寝ようとしたところで2人に窓近くへ呼ばれる。
「わぁ!光ってる」
アビー「俺達も初めて見た」
外に出て見てみると発光している何かが波の動きで漂っている。
光るプランクトンかも。
暗闇で波の揺れに合わせて光る姿はとても不思議で綺麗だった。
☆☆☆☆☆☆☆
『バイオルミネセンス』
夜光虫は海洋性のプランクトンの一種で体内に「ルシフェリン」と「ルシフェラーゼ」という物質を持っており、波や衝撃などの物理的な刺激を受けると化学反応で青く光る。
鎌倉では5月~9月頃、昼間に海がオレンジ色や赤茶色になる「赤潮」が発生すると、その日の夜に光る確率が非常に高くなる。




