056 リング
角を曲がって宝石店に寄る。
私達を見た店員さんが2階の部屋へ案内してくれると、すぐにオーナー夫妻が来てくれた。
オーナー「!!!」
夫人「まぁ!!!とってもお綺麗ですわ。まるで妖精みたい!!」
オーナー夫妻「「本日はおめでとうございます」」
「ありがとうございます」
夫人「リング、出来上がっております」
ティファニアブルーのリングケース。
「ケースもすぐ作ってくれたのですね」
夫人「ええっ!もうっ!寝る以外の時間を全て!Tiffania&Moonに取り掛かっておりますわっ!ねっあなた!」
オーナー「ええ。それはもう。寝るといっても仮眠程度しか寝られていませんが⋯⋯」
よく見ると夫妻の目の下に隈があるような⋯⋯ヒールをかけておこう。
オーナー「あれっ?疲れが少しとれたような」
パカッとケースを開けるとブルーダイヤモンドの粒は大きくないが、1周グルっと贅沢に使われているのでキラキラと輝いている。
「素敵⋯⋯」
ララ「凄い、何これ、素敵」
いつの間にかリングケースにかぶりつくように顔を近づけていたララさん。
夫人「えっ?誰?ってララ?いつからいたの?」
ララ「叔母さん、最初からいたわよ。写真を頼まれているから同行しているのよ。それより、何このリング。新作?すごい素敵だわ」
夫人「ええ、ミツキ様監修のTiffania&Moonシリーズ第一弾、永遠の愛をデザインしたエタニティリング!第二弾は大切な数字を刻印できる、世界に1つだけのプレシャスリングよ!!!」
ララ「わぁ!!永遠の愛?凄い。私も欲しい」
夫人「ララは先に恋人を作らないとね」
ララ「うっ⋯⋯自分で買う方が早いと思うわ」
夫人「よろしければサイズをお確かめください」
椅子に座る私の前に双子が片膝をつき、2人でエタニティリング、プレシャスリングを私の指にはめてくれる。
夫人「ストーーップ!!!ララ!写真!!撮って!!シャッターチャンスよ!何ボサッとしてるの!!引きの構図だけじゃなくて、手元のアップもよ!!そこの角度からじゃ光が当たらないわっ!レフ板は!?」
「インベントリにあるわよ」
夫人「あなたっ!こっちでこの角度で持ってて。キープよっ!ララ、ピントを絞って後ろを少しぼかして」
カシャカシャッ!!カシャカシャッ!
「写真にお詳しいのですね」
夫人「写真屋の娘に生まれましたので多少は」
ララ「知識は凄いのに叔母さんが撮ると殆どピンボケしてるのよね」
私もお返しにプレシャスリングを2人の指にはめる。
カシャカシャッ!!カシャカシャッ!
シャッター音が鳴り続いて数秒後。
ララ「ふぅ」
夫人「ふぅ、じゃないわよ、全く。シャッターチャンスを逃すなんて。兄さんに言いつけるわよ」
ララ「ちょっとぉ、やめてよ。弟子は卒業して認められてるのに。普段はちゃんとやれてるわ。このリングが素敵すぎて反応が少し遅れただけよ」
「サイズもピッタリ。ありがとうございます」
リングをケースに戻す。
オーナー「外すのですか?」
「私の生まれた国では途切れることのない円形をしているリングは「永遠」を意味していて、指輪を相手の心臓に近い左薬指にはめることは、「あなたは私のもの(大切な人)であり、私はあなたのもの」という所属の宣言なので、正式に付けるのは女神様に誓った後にしたいのです」
夫人「まぁっ!女神様が証人なのですわねっ!!」
ララ「素敵。私も絶対に誓いの時にリング交換するわ」
夫人「ミツキ様、このリングの写真を店で使わせて頂けませんか?」
「宣伝ですね。いいですよ。女性がよく行く店やレストラン等にも飾って貰えると多くの女性の目に入ると思います。でもリングだけの写真の方もあった方が良いと思いますよ」
蓋を開けたケースとボックスの近くにインベントリから取り出したブルーダイヤバードの羽根を置く。
夫人「素敵ですわ!!ララ!ピントを全体と手前に絞ったバージョンで撮って!!」
カシャカシャッ!!カシャカシャッ!
「バッチリ撮れたわ」
オーナー「も、もう腕を下ろしてもいいかい?」
宝石店を出て教会の方へ向かう。
ララ「ちょっと、叔母さん、どこまで付いてくるのよ」
夫人「だって教会でのリング交換よっ!行くに決まってるじゃない!ララが見惚れて動けなくなりそうだから指示もしないと」
ララ「まぁ、見惚れてしまいそうだから指示はありがたいけど、叔父さんまで?」
夫人「レフ板持ってもらうのよ。Lサイズの持ってきてる?」
ララ「サイズは全て揃ってるけど、1人でLサイズは無理なんじゃ⋯⋯」
夫人「私も持つわよ」
教会への道でもすれ違う人達に祝いの言葉をかけてもらえた。




