054 商業ギルド
次の日は遅めに起きて宿でブランチを済ませてからチョコレート、化粧品、キッチン用品の件で商業ギルドへ。
「アイザック様、アビゲイス様、ミツキ様、お久しぶりです。フードプロセッサー、ジューサー、ドライヤーが店舗に並び、沢山のお客様がご購入されています。ヘアアイロンは関係者から販売し、近々店舗に並ぶことになります」
アイクにお願いして作って貰った泡だて器、ピーラー、スライサー、トング、計量スプーンとカップ、マッシャー、ステンレスと銅のタンブラー。
沢山出すとマスター慌てる。
卵焼き専用フライパン、パスタマシーン、ステンレスの水筒は時間がなくて今回は断念して製作仕様書を渡してギルドの方で作ってもらう。
「アイザック様が調理道具を⋯⋯すごい種類ですね」
「俺はミツキが欲しいと言った物を作っただけで、詳しい使い方はミツキが書いてくれたからそれを見てくれ」
ボールとお玉、フライ返しはこちらの世界にも同じような物があった。
グロス、マニキュアを出して爪を見せる。
数種類の色を塗ったのでチグハグになってしまった。
「口紅に似ていますがグロスといって、今売っている商品と素材は違うと思います。艶を出すのが目的なので色付きとはいえ薄付きで、物足りない時は口紅の上に少し塗るのをおすすめします。口紅の色によって色の変化も楽しめますし。このグロスを元にした材料でオイルや水分の割合を多くした液体に、革製品のコーティング剤を混ぜると、爪に塗ったあと時間が経つと乾いて色が固定し、塗り重ねていくほど色が濃くなっていきますが、4度塗り以上すると剥がれやすくなります。薄い爪の人にはコーティングされることによって、爪が強化されるので良いと思います。取りたい時は4度塗り以上して厚くすると、こうやってペリッと剥がせます。入れ物は理想とするものを作るのが難しくて。紙には書いてきたので試せそうならお願いします」
軟膏入れに筆だと持ち運びに不便だから、これが作れればグロスの入れ物も似たようなものが作れるので期待しておこう。
「すごい発想力ですね、爪に色をつけるなんて。女性たちの顔は、もう塗るところがない!ってくらい塗ってますからね、ハハハハハ。爪も塗れるとなると、皆こぞって塗る事でしょう」
マスター、後ろの女性店員さんが、すごい怖い笑顔になってますよ。
基礎化粧品はシンプルな作りで手に入りやすい薬草や素材で作ったので価格も高くならないはず。
チョコレートは乾燥させて砕いて練る、簡単そうだと思っていたけれど、本を買って調べると乾燥だけではなく、ローストしたりテンパリングの完成度で出来上がりのレベルが全く違う。
チョコレートを渡すと、??と茶色の物体に不思議がりながら、私達が先に食べると食べてくれて、カッ!!と目を見開き、3種類全部食べた。
「ほのかな甘さ、満足感ある甘さ、ほろ苦さ。癖のある味ですが、また食べたくなる」
「基本はカカオとシュガーだけで出来ています」
ビックリしている。
アビー「特許を取るが、使用許可する相手は国かギルドが許可を検討し関われる大手の商会だけにしたい。カカオは薬のおまけ程度でしか使い道がないから今は有り余っているはずだが、商会や個人でさえも作れるようになれば熱帯雨林は国の管理地だが自由に出入りできるから乱獲される。コントロールしなければならない。カカオを取りに行く仕事、作製する仕事、販売する仕事と雇用も多く発生し、世話をしなくても勝手に実る熱帯雨林のあの広さはこの国くらいで、国の特産になり他国にも売れ、この国で余るくらい採れるシュガーの消費量も増やせるぞ。あと、これはチョコレートを使ったクッキーで、単体だけでなく他のものに無限でアレンジできる。シュガーの量を変えれば甘さが変わる。子供から年寄り、男、女、色々な好みに合わせて作製でき、しかもカカオ自体は体に良いものだから喜ばれる。俺は甘いチョコレートを食べてブラックコーヒーを飲むのにハマった。このナッツを混ぜたものも美味いぞ」
アビーが完璧な営業トークをしてくれた。
マスター「素晴らしいです!早速特許の申請をして作らせてみます。新しいものが大好きですから、自分のパーティーで一番先に出したい!とみな思うはずです。国の事業になりますし、一番先に王家の方へ話を通します。マニキュアも献上しなければ!美に関しては王妃様へ最優先でご案内しておりますから」
「忙しくなりそうですね、すみません。王家の方達に気に入って頂けたら幸いです」
商品見本と王家への献上用にマニキュアとチョコレートを多めに渡してギルドを後にする。
この後、魔法陣を使い王都本部へ報告すると、すぐにチョコレートは国の大きなプロジェクトになり、やる気に溢れていたが馬車やサウナの事でも早急に動かないといけなくなり、寝る間がない程忙しくなるギルドマスターだった。
後回しにしようとしていたマニキュアや化粧品だが、ギルド内の女性事務員達から早く進めてくれ!と真顔で迫られ、チョコレートは王都本部へ丸投げしたが寝られる時間が増える事はなかった。
なぜならチョコレートと変わらない程、馬車のサスペンションは凄い技術だった。
大陸中で買い求められる事になる程の。
ギルド事務にいた婦人会会員から婦人会ネットワークで話が繋がり、ミツキに心酔していた化粧品店店長がギルドへ乗り込み、化粧品関連の統括リーダーとなり、Moonシリーズとして早急に販売するべく動き出した。




