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異世界の歩き方  作者: ❀雪月風花❀


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053 岩盤浴

翌日も朝市で買い物をしてブランチ。

マシシというウリ科のトゲトゲの丸みのあるキュウリのような、私は初めて見る野菜を発見。

生だと硬めの食感だけれどピクルス等にすると良く、熱を加えるとトロリとして美味しいらしい。 


2人は何度か買った事があり、ピクルスにしていたという。

後日、何種類か作ってみるとアイクはミネストローネ、アビーは天ぷらが気に入ったみたい。


今日はサウナ工房へ。

この世界のサウナは乾式、ドライサウナのみでロウリュやミストなどの湿式は無い。

魔導具で一定の温度を保つ。魔導具と言っても狭い空間を温めるだけなので価格は1人用の5万~から購入でき、各家庭には大体ある。


サウナ工房へ行くと、あまり人手は無いようで事務所に行っても誰もいない。


「休み?でもドアは開いてるのよね」


アビー「これを鳴らすんじゃないか?」


チリンチリン。小さな鐘のような物を鳴らしてみると部屋の奥から男性が出てきた。


店主「いらっしゃ~い。うお!」


40代くらいの男性がパールにびっくりしている。


店主「いや、申し訳ない、こんなに立派な従魔は初めてみた。かっこいいな」


奥様「ようこそ~」


更に女性がお茶らしき物を持って奥からでてきた。


奥様「えっ?!もしかしてミツキさん?」


「ええ、そうですが⋯⋯」


初めて会ったと思うのだけれど、どこかで会ったことあったかな?


奥様「やっぱり!!黒髪でとても綺麗なお嬢さんだって聞いていたけれど、本当に綺麗な方ね」


店主「それって、前にメリル達が押しかけてきて話してた?」


奥様「ええ、そうよ。ミツキさんを守る会の、ミツキさんよ」


「守る会?」


奥様「ええ、悪意ある噂があったでしょう?一部の心ない人達が暴走しているみたいだから、私達、婦人会のネットワークで無くしていく活動をしているの」


「なぜ⋯⋯」


奥様「そもそも、本人達が想いあって結ばれているのに関係無い者達が足を引っ張るなんて駄目よ。人生、特に恋愛なんて思い通りにいかないものよ。商業ギルドに関係深い婦人たちもいるから、ミツキさんが色々な物の開発や技術の登録をしている事は有名なのよ。世のため人のため、この街のためにしてくれている人を嫉妬だけで攻撃するなんて許せないわ」


「ありがとうございます」


奥様「この街を嫌いになって欲しくないもの。何かごめんなさいね、来て早々こんな話になってしまって。今日はサウナを買いに?」


「いいえ、実は新しいサウナの事を相談しに」


店主「新しい?」


「私の生まれた国であったもので、そこまで特殊でもないのですが、岩盤浴といって程よく暖まった石のベッドにタオルを敷き横になる、熱すぎないサウナのようなものです。サウナは80度前後で体の表面から急速に温め、汗腺から出るベタつく汗で毛穴の汚れを排出。岩盤浴は50度前後で体の芯から時間をかけてゆっくり温め皮脂腺から出るサラサラした汗で保湿成分もあり美肌効果、老廃物も排出してくれます。高温が苦手な方や冷え性の方に向いてますよ」


奥様「び、美肌。私暑い日でも末端冷え性で辛かったのよ」


「どんな石でも良いわけではなく蓄熱性を持つ天然鉱石を板状にしたものか、手間をかけて細かく砕いたシリカや岩塩など肌によい素材も混ぜてから板状にしたものが良いです」


奥様「ミリーのところが石材の扱いがあるから相談してみるわ」


店主「部屋自体はイスなど作らず、温度が低い分、材木や断熱剤も普通のサウナに比べ安く済んで、その分で石が手配できれば価格の差がないように作れそうだな」


奥様「絶対に女性は岩盤浴の方を欲しがるはずよ。売れるわ」


店主「それで、特許は?聞いたことのない技術だから最近申請したのか?」


アビー「代わりに申請してくれないか?共同という形で利益は半々で」


店主「サウナ業者じゃなくても特許の申請はできるのに共同にしていいのか?」


アビー「俺達は冒険者でもあるのと、他でも特許をいくつか取っていて、全ての事に時間をかけられないから専門家に共同で動いてもらっている。ミツキは渡り人だから、こちらには無い知識がありアイデアは出せるが専門家ではないから、これらを元に進化、改良させたりして、より良いものにするのは専門家に任せたいんだ」


「そうよ、あなた。ミツキさん達は忙しいのよ。サウナ関連で細かいことは私達がやらないと、化粧品を楽しみにしている婦人会に怒られるわよ」


「それは勘弁してくれ。それにしても渡り人か。生きているうちに会えるとは。申請をして石の手配に時間がかからなければ、割と早く納品できるはずだ」


サウナ工房を出て帰る3人を見送った店主と奥様。


「ちょっと!あなた!明日うちで婦人会の緊急茶会を開くから!」


「えっ!?俺はギルドへ行ったり設計図書いたりと忙しいから店番してほしいんだが」


「だめよ!明日は臨時休業!その分ミリーに石材の話もしとくから早く手配できるはずよ」


婦人会緊急茶会で美月が化粧品だけではなく、幅広く美容関係に貢献している事を再認識した婦人会は更に美月をサポートするべく、布教活動していく事を誓い合った。




☆☆☆☆☆☆☆


『マシシ』


ブラジル北部などで広く食べられているウリ科の野菜で暑さに強く、病害虫にも強いためブラジルでは定番の野菜で、卵ほどのサイズで表面にトゲトゲがあるのが特徴。


切るとキュウリのような香りがし、コリコリとした歯ごたえがあり、熟し気味の実はレモンのような酸味があり、種ごと調理できる。


ブラジルでは生のままサラダや煮込み料理によく使われている。


挿絵(By みてみん)



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