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異世界の歩き方  作者: ❀雪月風花❀


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051 水盤

親父さん「コンサバトリーだが、デザインによっては魔法ガラスの取り寄せで遅くなるかもしれない。複雑なカットになると時間もかかる」


「コンサバトリーといってもガゼボにガラスの壁を付けた感じが良いので屋根はガラスではなく木材が良くて。コンサバトリーのスペースは長方形で支柱は四隅の4本だけでガラスは側面のみです」


一般的にコンサバトリーは屋根までガラス張りの「部屋(温室)」で、ガゼボは屋根と柱が木や金属の側面の壁がない「独立した西洋風あずまや(日よけ・休憩所)」、これの良いとこどりをしたものにしたい。


説明しながら、シンプルな長方形のコンサバトリーのイラストを描く。


親父さん「この面積だと、側面だけでもかなり大きなサイズのガラスが必要になるぞ」


「4辺それぞれ1枚ガラスではなく、こうやって、ギザギザに折りたためる、折戸という形にしてほしいんです。折りたたんで支柱に寄せる。これだとガラスも大きなサイズは必要ないですし、開口部が全開に近く広がって開放感があるので。それを3面やってもらって、長辺の1つは真ん中にガラスドアで両引き戸にしてください。」


親父さん「なるほど。折り重なる事で開口部を広くできるのか。普通の窓にすると何重にも溝が必要になるが、これなら一本の溝で済むな。これも特許を取ろう。折れる幅が調節できるのもいい。引き戸に比べガラスの幅を狭くできるから1枚ガラスの用意もしやすくなるし。」


「支柱と屋根は黒色の塗装でお願いします。あと、床の高さはコテージの床と同じ高さくらいにして欲しいです。それでコンサバトリーの床の端のこの辺りに膝下高さくらいの正方形の窪みを作ってほしいんです」


親父さん「穴?そんなに大きくは無いようだがなぜ窪み?」


「これは水盤です」


親父さん「水盤?なんだ?それは」


「インテリアでそこに水を入れて光の反射、水に浮かぶ植物や花を見て楽しむ大きめの水の器ですかね」


親父さん「⋯⋯なるほど?」


「見て楽しむだけではなく、暑い時は水で、寒い時はお湯にして、足先だけでも涼しんだり、温めたりできますよ。それで穴の部分には濃淡の違う青系ガラスタイルを貼り付けてほしくて」


奥様「水とタイルに太陽の光が当たって綺麗ね、きっと」


親父さん「風呂といい、水関係にこだわりがあるんだな」


「これは水だけではなく、子供が産まれたら砂場にもしますよ」


親父さん「海の砂遊びみたいなやつか!あれは楽しいよな。城を作りたいのにいつも途中で波に飲み込まれるんだよなぁ」


奥様「だからいつも、波が来ない場所で作ればって言ってるのに」


親父さん「砂がサラサラすぎてもダメなんだよ。水に近い湿った砂がいいんだ」


奥様「これ、マックスにいいんじゃない?コンサバトリーの中で遊んでくれたらセリーナは近くでお茶が出来て喜ぶわ、きっと」


親父さん「ああ、孫の為でもあるし、セリーナの誕生日祝いに奮発して作ってやるか。魔法ガラスは無理だが、その次に頑丈なガラスで。これも特許を申請しとくぞ。水なら水遊び、砂で砂遊び、子供が小さい家庭はもちろん、年配層にもインテリアで人気が出そうだ」


話し合いが終わって気がつけば日は落ちていた。

魔法を利用しながらの建築は興味があるので完成するまでに1度は見学したい。


翌日は朝市で買い物してから屋台でブランチを済ませ馬車工房へ行く。

食材は街を出る前に大量に購入するのではなく、毎日朝市で採れたて新鮮なものを、その日によっては珍しい食材なんかもあるので行ける日は毎日行く予定。

朝市は若い女性はあまりいなくて、いても商売の仕入れや夫婦で来ていたり、双子に迫る様なタイプの女性達はいないので楽しい買い物が出来ている。


工房へ着くと若手の新人さんらしき人が受付にいて馬車の見学をお願いして、よく売れる馬車と高位貴族が使う高品質の馬車に乗せてもらう。 


高品質の方は高価な魔法鉄などの素材を使っているから普通の馬車より丈夫で軽く、馬への負担を少なく出来るために車輪の幅も少し太くしていて、スピードも出るけれど揺れる。

勿論普通の馬車はもっと揺れる。

これなら馬車ではなく、乗馬で移動したほうが馬への負担とお尻への負担も軽いと思える。


高貴な人や個人の馬が持てない人や年配者や子供などは馬車が必須だけれど、私達は馬車での移動より乗馬の方がいいかも?


「馬車はやめて、私も馬を購入して乗馬で移動する?」


アビー「馬は購入しなくても俺達の馬に交代で乗ればいいんじゃないか?」


「長時間、私が一緒に乗るとアイスとウインドに負担じゃない?」


アイク「ミツキの重さなんて大差ないはずだ」


アビー「ああ、それにあの2頭は他の馬を寄せ付けないから、気が合うような馬が見つかればいいが時間がかかるだろう。馬車はとりあえず買っておいて基本は乗馬で移動すればいいんじゃないか?」


アイク「乗馬は手綱の操作に神経を使うし、全身運動のようなものだから1人で乗ると疲れるぞ?無理な移動はしないが、雨の時に移動しなければいけない時は馬車の方がいいだろうしな」


「そうよね、何かに興奮してしまっても私に制御できる気がしないわ。2人が私を支えながら乗せてくれるから楽だったのね。いつもありがとう」


挿絵(By みてみん)


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