047 プレシャスリング
「店名のティファニア、これは創業者の方のお名前ですか?」
夫人「いいえ、3代前のディアモン王の正妃様のお名前です。元々は他国の姫様で、婚約期間中に希少なブルーダイヤが採掘されまして私共の店で取り扱っていたのですが、当時王太子だったディアモン様が婚姻の際に贈りたいとお求めになられたのです。エメラルドにも見える珍しいブルーダイヤだったのですが、王太子様の瞳の色がまさにそのような色で、受け取った姫様がとても喜び、その当時のオーナーへ礼をしたいとおっしゃいまして、姫様のお名前を掲げることをお願いしたのです。ミツキ様が提案された色と店名のきっかけとなった色との深い縁を感じますわ」
「素敵な由来があったのですね。箱とリングケースの天面にTiffaniaと文字を入れましょう」
夫人「ええっ!?それは困ります。これはミツキ様のオリジナルのようなものですから。ミツキリングの名も却下されましたし⋯⋯ティファニア&ミツキでは駄目ですか?」
「だ、駄目です!王妃様の名前に私の名を並べるなんて」
ウルウルとした瞳で見てきても絶対に駄目です。
「⋯⋯では、Tiffania&Moonはどうですか?ケースの天面も満月のような円形ですし」
夫人「まぁっ!素敵ですわ!ティファニア様の名前はテオファニア、『女神の顕現』から名付けられたお名前ですから女神様の月にも思えますし、ミツキ様のお名前の月にも思えますもの」
良かった、上手く説得できて。
「特許を取る際はケースのデザインだけではなく、色も登録してください」
夫人「色ですか?」
「ええ、ティファニアブルー、と。色の5割、なんて判断が難しいから必ず真似したいと思われますが、王族の名前がつく色となれば使うのに躊躇するでしょうし」
夫人「確かに!もし卵ブルー、とかだと似たような色で出してくると思いますが、王族の名前に似た色は躊躇するでしょう」
さて、と帰ろうとしたけれど。
夫人「ミツキ様、今生の願いです。どうか、私共の店のデザイナー&アドバイザーになって頂けないでしょうか。もちろん、毎日商会へ通って働くとかではなく思いついた時に提案して頂けるだけで構わないのです!他の事は、全て!私共が手配から何から致しますので!どうか!!Tiffania&Moonのシリーズを作りたいのです!」
立ったまま頭が膝に付く程のお辞儀をする夫人。
柔軟性が凄い。
来るとしても数カ月空くこともある、と言っても構いません!!と言うのでフリーランスで受ける事に。
フリーランスなので定期的な給料は無し、私が監修したMoonシリーズの利益の1割をギルドカードの預金システムに振り込んで貰う。
高価な宝石付きでなくても素敵なアクセサリーを作り、幅広い層の子達がアクセサリーを買うために仕事を頑張ったり、好きな人からプレゼントされ喜ぶ姿を見られるように頑張ろう。
それなら、と双子に以前送ったブラックダイヤモンドが付いたリングに森で出会った日付の数字を彫ってもらう。
内側ではなくリングの外側幅いっぱいにグルっと。
数字や文字を彫る事はあるけれど、文字や数字の線を彫るのではなく、周りを彫って文字を浮かせるようなエンボス(浮き出し)デザインは無いようだ。
私も欲しくなったので石はブルーダイヤモンドで作ってもらう事にした。
お互いの誕生日ではなく、2人に出会えた日の刻印だから、3人お揃いの数字で結婚指輪にできて嬉しい。
これを左手薬指、エタニティリングは右手薬指につけよう。
「誕生日、記念日、好きな数字を刻印するんです。宝石を付けなければ価格も抑えられて若者に良いと思います。数字だけだとシンプルすぎるので装飾的な模様を少し入れてもいいですし」
デッサンを紙に描いてみると、うん。なかなか良い感じになった。
夫人「石をつけなくてもデザイン性が高くて素晴らしいですわ。この名は何と?」
ギリシャ神話は無い世界なのでアトラスという名前は使えない。
「その人にとって大切だったり運命を感じた数字なので、世界に一つだけの大切な指輪になる⋯⋯プレシャスリングが良いですかね」
これからも何か思いついたら提案してほしいとお願いされつつ、リングは2日後には受け取れると聞き店を出る。
この後、街の男女共にプレシャスリングが大流行、婚約や婚姻時にはエタニティリングを望む女性が続出して、すぐ後に王都にも店を構える事を望まれ、国を代表するまでの有名店になるのは遠くない未来の話。
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『(Tiffany & Co.)ティファニー』
1837年、チャールズ・ルイス・ティファニーがニューヨークで創業、世界5大高級ジュエリーブランドの中で最も長い歴史を持ち「キング・オブ・ダイヤモンド」と称された。
カンパニーカラーの「ティファニーブルー」は「幸せを運ぶ鳥」と言われるコマドリの卵の色からインスピレーションを得た色で「1837 Blue」で商標登録されている。
1886年、ティファニー製品を購入した人だけが手にできる特別な包装箱「ティファニーブルーボックス」を世に送り出した。
1940年に本店をアメリカ屈指の高級ブティック街、ニューヨーク五番街に。
1961年に公開された映画「ティファニーで朝食を(Breakfast at Tiffany’s)」
オードリー・ヘプバーン演じる主人公が「憧れの場所」としてニューヨーク五番街のティファニー本店を眺めながら朝食をとるシーンがあり、ティファニーは“永遠の憧れ”、“いつか訪れたい場所”として世界中の人々、特に女性達の心に深く刻まれた。
同じく「キングオブダイヤモンド」と称されているハリー・ウィンストンを含む5大ジュエラーの中でティファニーは最もターゲット層が広く、「永遠の愛の象徴」としての高級アイテムから「自分への褒美」「大切な人へのギフト」といった手に取りやすい価格帯のアイテムのものまで幅広く展開し、富裕層だけでなく若年層からも愛され「親しみやすさと憧れ」という相反する、両立するには難しいブランドポジションを確立させた。
創業者の姓からつけられたティファニーだが「ティファニー」という名前の語源はギリシャ語にあり「神の啓示」を意味する「テオファニア(Theophania)」が中世ヨーロッパで「ティファニア(Tiffania)」という女性名になり、後に「ティファニー(Tiffany)」という英語の名前に変化した。




