048 コテージ工房
翌日はホテルでブランチを食べてから森で使っていたコテージを購入した工房へ行き、事務所に行くと事務員らしき女性がいた。
女性「いらっしゃいま⋯⋯せ。えっ?アイザックさんとアビゲイスさん?」
アビー「お久しぶりです。親父さんはいますか?」
応接室に通され、しばらく待つと、腕の太さが私の4倍以上はありそうな、親方らしき人が応接室に入ってきた。
女性はこの男性の奥様だった。
立派なヒゲが顔の下半分を覆っていてドワーフみたい。
背丈は私より高いけれど。
親父さん「おお、久しぶりだな。何だ、そのデカい従魔は。ん?そちらのお嬢さんは⋯⋯」
アビー「お久しぶりです。俺達の婚約者でミツキです」
アイク「近い内に結婚します」
親父さん「⋯⋯おお⋯⋯そうか。⋯⋯そうか、お前らが結婚するのか」
奥様「まぁ、おめでたいわね!おめでとう!あなた、失礼よ」
「「「ありがとうございます」」」
親父さん「わりぃ。まさか、お前達は結婚しないと思っていたからな。しかも3人でか。いや、本当にめでたい。おめでとう。それで、今日は依頼しに?」
アビー「はい。3人で暮らすコテージを頼みに」
大きく分けて3パターン。
①間取りも完成している
②2階までの絶対に必要な支柱まで完成していて、この後は3階建てにしたり間取りをオーダーできる
①と②共通でサイズは中、大の2サイズ展開がされていて双子は①の中サイズを森で使っていた。
この2つのサイズ以外がいいのなら
③全てオーダー
お店などを1階で経営して2階や3階を自宅にしたい人は②だけれど、自宅としてなら①を選ぶ人が多いみたい。
現物を見られるので、裏手に回ると広い敷地にモデルハウスが4棟建っていた。
①の大小2棟は内装の間取りも完成していてデザインも間取りも似ているが部屋数が違う。
1階部分にあるリビング、ダイニング、キッチンやトイレは同じで、大きい方は個室が2部屋、小さい方は無し、2階は大きい方が5部屋、小さい方が3部屋の作りになっていて、それぞれの個室の広さは少し違う。
小さい方の間取りも完成しているコテージは森の家とそっくり。
②の大小2棟は2階建ての最低限必要な支柱、骨組みだけ。
アビー「こっちの大きい方にして中はオーダーにしたい」
親父さん「ああ。じゃ事務所で話し合うか」
親父さん「お前達が購入した時より、だいぶ値上がりしてる。人口が増えたのはいいが、木材の使用規制が年々強くなっていてな」
アイク「確かに、あの頃に比べて人だけではなく建物も増えたな」
親父さん「それでもコンクリートに比べてなら安いし、家は必要だから購入者はいる。販売数は減っても値段が上がった分、商売的にはやっていけているが。暇にはなったし値上がった分、もっと長持ちするような家にしようと業界でも努力しているんだが中々難しい。っと、まぁそんな感じで暇だからな!半オーダーでも仕上げまでに時間はそんなにかからない」
3人で話し合ってきた間取りの図面をインベントリから取り出してテーブルに置く。
「1階の主な部屋は図面で言うとこの8割近くがリビングダイニングキッチン、この中に壁は作りません。キッチンの所に小部屋、パントリーは作りますが。残りがウォークインクローゼット、サニタリースペース、トイレ、玄関、シューズクローゼットです」
親父さん「???それぞれ部屋割しないで?リビングやダイニングからキッチンが丸見えでもいいのか?」
こちらの世界ではリビング、ダイニング、キッチンは別々の部屋が基本。
一緒だったりしてもダイニングとキッチンが1部屋になっているくらい。
「壁ではなくキッチンカウンターを壁代わりにして対面式キッチンにします」
図面にI型ペニンシュラ(半島)キッチンを描く。
ペニンシュラは左右どちらかの片側を壁に設置する事をいい、全ての面が壁と離れているのをアイランド(島)キッチンという。
アイランドキッチンは左右どちらからでもキッチンの周りをぐるりと回遊できるため、配膳や片付けの際の移動がスムーズだけれど、油ハネと換気の事を思うと私はコンロ側を壁に付けたい。
システムキッチンにはL型、I型、セパレート型等があるけれど、パントリーに横付けする事、3人でキッチンに並び立つ事が多い私達にはI型がいい。
L型の良いところはI型に比べ、コンロとシンクの距離が近く移動がスムーズになり、料理の作業効率が向上する。
親父さん「!!!調理台を壁代わりにするのか。確かにキッチン内部は見えなくなるな」
「これだと料理中でも家族の様子をお互いに見えますし、別々の部屋に比べると配膳や片付けの動線も、リビングへの移動もスムーズです。この壁側コンロの天井部分に換気の魔道具を取り付け、システムキッチンのリビングダイニング側にはキッチンのワークトップより背が少し高い、細長いバーカウンターテーブルを置き、背の高い椅子をつけます。ワークトップとの段差を作り、水ハネ防止と出来上がった料理をカウンターに置けば、ダイニングに運ぶ時に便利ですし、椅子に座って食べたり飲みながら料理中の人と会話も。キッチン奥壁にはキッチンボードやカウンターを設置すれば、魔道家具を置けたり作業台スペースが更に増え、弁当作り等、数人で料理作業が出来ます」
奥様「まぁ!素敵!子供が小さい家庭は特に便利じゃないかしら?料理中にも子供の様子が見えるなんて助かるわ」




