41 結ばれる
【アイザック side】
夜中、玄関ドアが開く気配がして目が覚め、窓の外を見ると、ミツキが月を見上げていた。
月に照らされた綺麗な横顔に見惚れていたが悲しそうな顔になり、涙が流れ出てきたから驚き、急いでミツキのもとへ向かうとアビーが抱きしめていて、俺も抱きしめた。
馬鹿な奴らに言われた事を気に病んでいたのかと思ったが、俺達の死を怖がっていた。
確かに守る為なら死ねるが、俺達が死ぬのは自分が死ぬ事よりも苦しい、というのだから絶対に死なないし、勿論ミツキも死なせない。
俺とアビーなら可能な事だ。
愛している気持ちを抑えきれずキスをして求婚したが、2人を受け入れてくれた。
過去の結婚の事を気にしていたが、馬鹿な男との事なんて思い出せないくらい、寿命を自然に終えるまで幸せで満たしてみせる。
アビゲイスがいたから孤独ではなかったし、強さを極める事は、それなりに面白かったが、自分に出来る事、スキルに向いているというだけだった。
生き永らえたいから強くなりたかったわけではないのに、ミツキに出会って命を失う怖さがわかったし、ミツキを悲しませたり失わないように強い意志を持って、もっと強くなってみせると決意した。
隣で微笑んでくれるだけで、こんなに愛しく、満たされた感情を知ることが出来て、初めて女神に感謝した。
【アビゲイス side】
部屋で魔道具の調整をしていると、ミツキが外に出た事に気がついた。
いつもならミツキは熟睡している時間帯だが、今日は家に着いてすぐ寝てしまっていたようだから、こんな時間に目が覚めてしまったのかもしれない。
後を追って外に出てみると、ミツキは月を見ていた。
頬を伝う涙は美しく、儚く消えてしまいそうな気がしてミツキを抱きしめた。
苦しんでいる原因は俺達の死だった。
自分と居るとみんな死んでしまう、と恐れるミツキ。
元夫は死んで当然な事をしていたが、祖母や父母は寿命であり不幸な事故だっただけで、ミツキのせいではない。
自分が死ねばミツキが助かる、となったら自分が死ぬが、ミツキが一番苦しむと知ったからには死なないようにしてみせる。
何があろうが必ず3人で生き延びる、俺とアイクだったら可能だ。
アイクと一緒に抱きしめ結婚を申し込む。
ミツキが2人共好きだと、どちらかを選ぶ事なんてできないと言う。
これは俺とアイクの2人にしか理解できない事だと思うが、2人を求めてくれなければ困る。
魂は2つに分かれたが、分かれただけで同じ魂なのだから。
気の向くままに生きてきて、冒険者だけでなく、魔道具師としても高ランクになったが、どこか満たされない、面白みのない同じような毎日。
出会ったあの時からまるで違う世界になり、俺たちから離れていこうとするミツキに、本当に大切な者を失うかもしれない怖さを知った。
共に歩める事になった時の感情は言葉では表せない。
巡り合わせてくれたのが女神なのかは不明だが、ミツキをこの世界へ連れてきてくれた女神に感謝した。
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家に入ると階段上にパールが座っていた事に気がついた双子と、気が付かない美月。
パールはフッと笑った後、欠伸をしながらゲストルームの方へ消えていった。
アイザックの部屋で3人で愛し合い、ミツキがスヤスヤと眠ると2人はソファへ移動して、ミツキの寝顔を見ながら酒を飲む。
アイザック「結婚を受け入れてくれたな」
アビゲイス「ああ、2人を受け入れることを悩んでいたようだが、1人に絞られるほうが困る」
アイザック「元いた国では一夫一妻しかなかったみたいだしな。他の男なら許せないが、お前と俺は元々1つだったんだ。俺達2人が求めるのも愛するのもミツキだけなのは当然の事だ」
アビゲイス「ああ、俺達が愛するのが同じ魂になるのは当然だ」
アイザック「1度死んだ、か。」
アビゲイス「死ぬ事を体験したのなら死の恐怖を知っているはずだ。もう味わいたくないだろうに、自分が死ぬより俺達が死ぬ方が怖いと言った」
アイザック「今までは冒険者をしていれば死ぬこともあるだろうと軽く考えていたが、これからは絶対に死ねないな」
アビゲイス「ああ、パールも俺達も強いが、気を抜かないでいないとな」
アイザック「ミツキを愛し守って、幸せにするぞ」
アビゲイス「ああ、もちろんだ。バラを101本用意しないとな」
アイザック「ミツキには知られないように手に入れよう」
ベッドへ戻りミツキを抱きしめながら2人も眠りにつく。
朝、2人の間で目覚めて、嬉しいのだけれど恥ずかしい。
愛し合って気絶するように寝てしまったから裸だった。
パジャマ着せて欲しかったな!インベントリから出しておかなかった私も悪いけれど。
それに今まで着ていたような寝間着はだめだと却下された。
モコモコのかわいいパジャマなのに。
生地が厚すぎるのと、モコモコショートパンツがこっちの世界観では、幼児が着ているカボチャパンツみたいに見えるらしい。
今度買ってあげると言われたけれど、どんなのを買うのか心配になり、キャミソールを出したら気に入ってくれたので良かった。
生地の触り心地がいい、と言いながらさわさわと全身を撫でられて、朝から甘い時間を過ごし、お昼に近い時間になったのでダイニングへ行きご飯を食べる。
左右から食べさせて貰っていたのだけれど、パールは食べながらもどこか遠くを見る目をしている気がする。
私もお返しに食べさせたら、すごく喜んで食後はベッドへ連れ戻されてしまい、今日は寝室から出られそうにない。
パールは森へ狩りに出かけた。
さん付けするのを却下されたので、アイザックさんはアイク、アビゲイスさんはアビー、と呼ぶことに。




