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異世界の歩き方  作者: ❀雪月風花❀


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040 月の下でプロポーズ

こんなに苦しいのはどうしたらいいんだろう?女神様に頼りたくなってしまう。


女神様⋯⋯心の中で呼びかけても返事はない。


アビゲイスさんに抱きしめられた。


アビゲイス「なぜ泣いている?」


後ろからはアイザックさんに抱きしめられた。


「ストロベリームーンに願っていたの」


アビゲイス「元の世界に帰りたいと?」  


「帰りたいとは思っていないの。でもこの世界でも苦しくて怖くて」


アイザック「俺達といると周りの人間から嫌な思いをぶつけられたり、俺達が裏切るかも?と恐れているのか?」


「違う。私は何言われても2人と一緒にいたいし、信じてる。でも、私が幸せになろうとするとみんな死んでしまうの。祖母も、父母も、元夫も。あの女の人に、私を守る為に2人が死ぬって言われて想像できたの。2人が死ぬくらいなら一緒にいられなくても生きててほしい」


アイザックさんが後ろから私の顔を自分の方へ向けさせ、キスをしてきた。


「んっっ」


アイザック「大丈夫だ。死なない」


アビゲイス「そうだよ。俺達2人を殺せるなんて、女神くらいしか出来ない。俺達は死なない」


アビゲイスさんもキスをしてくる。


2人が片膝をつき、それぞれが私の左右の手を取る。


「「 ミツキ、愛してる。結婚してくれ 」」


「私も好き。ずっと一緒にいたい。でも2人は私で本当にいいの?私は自分以外が2人に愛される事は嫌なのに、2人には私1人だけを愛して、なんて酷いワガママで理不尽なことを要求してる。でもどちらか1人なんて選べない。結婚に失敗しているのに傲慢よね」


アイザック「選ばなくていい。2人の手を取ってくれ。俺たち双子は元々1つの魂だったから、俺とアビーがミツキを愛するのは当然なんだ。それに今のミツキを愛しているという事は、過去も含めて愛しているという事だ」


アビゲイス「1人だけを選ばれる方が困る。俺達は同じ魂だから2人ともミツキが必要だって本能で分かっているから。結婚に失敗したんじゃない、傷つけられただけだ。3人で家族になろう」


「私、向こうの世界で1度死んでしまっていて。見た目は殆ど変わってはいないけれど、女神様に創ってもらえた身体なの。⋯⋯1度死んでいたなんて、気持ち悪くない?」


アイザック「俺達は女神に感謝するだけだ」


アビゲイス「ああ、それに全人類、女神に創られた体みたいなものだろう。ミツキが赤ん坊の年齢でこちらに送り出されなくて、嬉しいくらいだ。」


しばらくの間3人で抱き締め合っていた。

2人の大きな身体で前後から抱きしめられると少し苦しいけれど、心地良い苦しさだった。


2人に左右から腰と肩を抱き寄せられ歩きだしたけれど、ふと止まり月を見上げる。


「月が綺麗ですね」


アビゲイス「?ああ、綺麗だな」


アイザック「?今日はいつもより綺麗に見えるな」


「ふふ。今まで見た月の中で一番綺麗。ずっと見ていたいくらい」


今はまだ恥ずかしくて好きという言葉しか言えないけど、愛してる、という言葉はもう少ししたら言える予感がした。


「あれ月下美人よね?採取してもいい?」


アビゲイス「あれか?確かそんな名前だったな。あれはここの土地には多く生えている方だが、限られた環境の土地にしかないうえに、ストロベリームーンの夜にしか咲かない希少な薬草で、ギルドでも高値で売れる。ある程度残しておけばまた自然と増えているから採取していいぞ」


「私のいた世界でも同じのがあって、お母さんが昔育ててた。私が生まれた日も綺麗な満月の夜で月下美人が咲いたって、それで美月って名前をつけてくれたの」


アイザック「確かにミツキに似てるな。真っ白で月の光が当たると更に綺麗に輝く」


アビゲイス「儚い感じで守りたくなるな」


「花言葉が “”儚い美しさ“”、“”ただ一度だけ会いたくて“” だったわ」


アビゲイス「花言葉?」


「こっちの世界には無いのかな?花には全て象徴的な意味を込めた言葉があるの。例えば、バラは色によって花言葉も違う。赤は愛してます、美貌、白は純潔、紫は気品とか。赤には本数にも意味を持たせたり。1本はあなたしかいない、40本は真実の愛、99本はずっと一緒にいましょう、100本100%の愛、101本これ以上ないほど愛しています」


アイザック「へぇ、おもしろいな」


大きな花の方ではなく、小ぶりの月下美人を2人が根を切らないように深く掘り起こし、鉢植えに2株入れてくれた。


家に入る時にもう一度月を見てみると、ストロベリームーンの赤味がさらに増したように見えた。




☆☆☆☆☆☆☆


『月下美人』


月下美人は、サボテン科クジャクサボテン属に分類される着生サボテン。

原産地は中南米で、自生地では木の幹などに根を張る。


保湿、花粉症、咳、風邪、膀胱炎、便秘、口内炎、喘息、肺炎、高血圧、体脂肪の改善といった多くの効果があるといわれ、健康食品や漢方薬として利用され、スープやお茶にして楽しむこともできる。


漂い始める香りで咲き始めたことがわかるほど強い香りでジャスミンに似た甘く上品で優雅な香り。


花の大きさが直径20cm前後の大型で純白の美しい花姿、妖艶な香りを女性に例え、夜の間だけ咲くという性質もあるので「ナイトクイーン」とも呼ばれている。


「年に一度、満月の夜にしか咲かない」は俗説で開花するのは夜間だが、月の満ち欠けと連動して開花するわけではなく、栽培環境によっては年に2回~4回ほど開花する事もあり、反対に1度も開花しない場合もある。


小ぶりの花と葉を持つ小型品種は姫月下美人エピフィルム・プミラム


花言葉は「はかない美」「はかない恋」「ただ一度だけ会いたくて」


挿絵(By みてみん)



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