031 街6日目、討伐祝賀パーティー
ドアを開けて入るとそこは、本や映像でしか見たことが無かった大きなシャンデリア、光り輝く大理石の床、壁や柱の装飾には金が沢山使われている豪華なホールでキラキラと輝いていた。
自分がドレスを着て、その場に立った想像をして夢見ていた幼い自分に教えてあげたい。
いつかその夢が叶うよ、と。
一斉に視線が集まるのを感じ、緊張してエスコートしてくれる2人の腕を握る手に力が入ってしまった。
大丈夫だ、と2人が耳元で囁き頭や目尻へキスをする。
婚約したのを知らないためザワザワと騒がしくなる大勢の人達。
2人は高ランク冒険者でSランクともう一人はAランクだが、高ランク魔道具師でもあり、なにより2人はかなりの美丈夫であり双子。
女神様と同じである双子は女神の愛子と言われている。
街はもちろん、王都にもファンはいる。
でも森の家は遠く場所もわからない、魔獣も現れる地域なので会いに行けないし、街や王都へフラっと不定期に来てもすぐ帰ってしまう。
そんな2人と最近一緒にいる1人の女性。
冒険者に見えないが大きなシルバーウルフを従え、数日前の火竜との戦闘では雷、水、植物と見たことのない魔法で活躍したとの噂。
それを聞いた領内の貴族たちやヒエラルキーが高い者達がたくさん来ている。
魔道具師として有名でもあるアビゲイスを知るギルドや商人関係も来ているので、今日見たこと聞いた事は、あっという間に王都へも届くだろう。
異国風の顔立ちで美女というより可憐な美人、というイメージを受ける。
白く陶器のような艶のある肌には女でも目を惹かれ、驚くくらい細いウエストとスカートの下から見える細い足首。
なにより見たことがない黒髪、黒目。
独身はもちろん、夫婦で参加している男たちもミツキから目が離せない。
女たちは男たちの視線に気がついてイライラしだし、更にミツキに対する双子の視線や甘い態度に信じられない思いだ。
あんな態度をする2人を見たことや聞いたことがない。
いつも美女に追いかけられているが、完全無視。
ブルーのドレスと宝石は2人の独占欲の強さを表し、婚約の証だろうネックレスが相当な値段の物だと遠目でも一目でわかる。
しかもネックレスに負けない存在感を放つ、ブルーダイヤモンドリング。
1人でも贅沢な相手なのに2人ともなんて!!と、殺してやろうという目でミツキを睨む女性が何人も。
男たちはミツキに暫く見惚れていたが落ち着いてくると、あの高ランク2人と婚約しているなんて手が出せない、と気が付き、悔しい思いが顔に出る。
美月たちが食べ物が置いてあるテーブルの方へ歩いていると、驚きに固まっていた領主の娘が再起動し、ヒール音を響かせながら3人の前まできた。
娘「ちょっと!あんた何なの!?アイザックさんは私と結婚する予定なのに!」
「「⋯⋯」」
娘「私は領主の娘なんだから、Sランクくらいじゃないと相手にならないの!!この領地から出ていきなさい!!アイザックさんもこんな女より私の方が良いでしょ?私も、この領も自分の物になるのよ。はい、これでも飲んであっちで少し座って話しましょう?」
言いながらアビゲイスさんにワイングラスを渡し見つめる娘さん。
双子はわざと雰囲気や表情を変えたりして、相手が間違えるのを誘導している感じがする。
アビゲイス「俺はアビゲイスだけど、アイクはこの領と君なんて欲しくないと思うよ。アイク、このワイン飲む?」
娘「!!!!」
アビゲイスさんがワイングラスをアイザックさんに渡すと、間違いに口をパクパクさせて言葉が出てこない娘さん。
アイザック「領地は勿論、お前はもっと必要ない。領地から出ていけだと?それは領主一族としての公式な発言か?いいか、ミツキに何かしようとしたら俺たち2人が全て滅ぼすからな。それにこのワイン、変なものを入れているな?」
ワイングラスを傾け零すと床に着く寸前でクリーンをして娘さんを睨み、後ろにいる父親っぽい人、周りにいる者たちにも視線を向け、殺気を飛ばす。
娘さん、父親、近くにいた人たちは腰を抜かし座ってしまった。
アイザック「顔も出したし帰ろう」
2人にエスコートされるけれど、テーブルにある美味しそうな料理やデザートが沢山あるのが目に入り、食べられないと思うと悲しい。
アビゲイス「少し食べて行こうか?」
美月の視線の先に気がついた2人、アイザックさんがテーブルに案内してくれ、アビゲイスさんが料理を取りに行って戻ってくる。
アイザック「ほら、これ好きそうだぞ」
アビゲイス「これも、美味そうだ」
左右から交互に給餌される。
アビゲイス「ソースがついてる」
唇の端についたソースを口で取るアビゲイスさん。
少し唇が重なった!
アイザックさんはわざと私の唇の端にソースをつけ、自分の舌でソースを舐め取る。
アイザック「このソース美味いな」
アビゲイス「じゃ、帰るか」
3人が帰っても、殺気からイチャイチャへの流れにホールの人達はポカーンとしたまま暫く動かなかったが、娘が再起動した。
娘「お父様!!何とかして!!私が絶対に結婚するの!!森にばっかりいて女の心配が無かったのに!作戦をいろいろ考えていて、今回のパーティーで婚約飛ばして結婚出来るようにナイトエンジェルを手に入れていたのよ!何なのよ!?あの女!!きいぃぃー!!」
父「ミリー、諦めなさい。Sランクは王でさえ、何も強制できない。それより、ナイトエンジェルって媚薬の?⋯⋯確か小瓶1つで200万Gだぞっ!そんな金どこから用意したんだ!?しかもあれ程の高ランカーは最高ランクの解毒ポーションなんて何本も持ってるわいっ!ああぁぁ⋯⋯さっき零れ落ちたワインに200万Gがぁ⋯⋯。あんなの飲ませてたら結婚どころか命が無くなってたぞ」
娘「お母様のヘソクリから買ったわ。だって!学友は殆ど結婚して残っている男は変なのばかり。自慢できる結婚がしたかったのよぉぉ~~!」
大泣きしている娘と、ヘソクリを盗まれた事を聞いて気絶した母親を執事や侍女らしき人達が抱えてホールを出ていった。




