032 街7日目、文房具、食器
面倒事に巻き込まれるのはゴメンだ、と見ないようにして、何事も無かったかのようにダンスを開始したり談笑しだす人々。
男冒険者「あの双子、婚約してたのか?まぁ、他人を寄せ付けなかったあの2人が張り付くように一緒にいたから、普通の関係ではないと思ったが」
冒険者妻「そんな事よりファンデーションはどこの店のかしら?腕とかも艶が素敵だったわ、何塗ってるのかしら」
貴族男性「火竜討伐で素晴らしい活躍をした美しい魔法使いと聞いて、我が領地に取り込みたいと来たが、あの双子冒険者と婚約したなんて⋯⋯一歩遅かったか」
貴族子息「父上、私の妻として迎える事はできませんか?」
貴族男性「あの冒険者の婚約者なら手を出せない。貴族の娘達があの冒険者を求め、中には無理矢理、既成事実を作ろうとした伯爵令嬢が護衛達に拘束するよう命令したが、腕を掴む事も出来ず、返り討ちに遭った。しかも外務大臣のボニード侯爵と血縁関係があるらしく抗議文が送られてきて、伯爵は娘を急いで除籍して商人に嫁がせたらしい。Sランク1人でも無理なのにもう片割れはAランクだ。あきらめろ」
既婚女性の一部奥様達は奥のスペースに集まり会議中。
奥様1「あの肌、何をしたらあんなふうになるの」
奥様2 「目元が青かったわね。私ピンクばかり使っていたけれど試してみたいわ。どこの店の新色?」
奥様3 「目の縁に黒いラインも引いていたわ。ああやると目元が際立つわね」
奥様4「口紅もピンクのような?抑えた赤?何より艶感が素敵だった」
奥様5 「食事後も色落ちしてなかったわよね?」
奥様6「爪もツヤツヤでパールみたいだったわよ」
奥様7「ロウソクを塗ったのかしら?」
奥さま軍団が次の日、化粧品店に駆け込み、探しても該当するような商品はなく、店長を捕まえ話をすると美月の事を知っていた。(崇拝していた)
そして、領主娘とのトラブルを聞いて顔を真っ青にさせる店長。
トラブル後のイチャイチャタイム、高ランク冒険者だし、気にも留めてない様子を聞けると、少しホッとした。
そう遠くない未来に商品が発売されると知った奥様達は、これ以上美月に嫌な思いをさせることの無いように奥様ネットワークで、いかに美月という人物が女性にとって必要不可欠な人物で、双子にいかに愛されているかの噂を流し、双子に思慕を寄せている娘達や知り合いに、断念させる活動を幅広くしていった。
今回の事が商人、貴族、冒険者、侍女達ネットワークで王都まで話が流れるのには時間はかからなかった。
前の世界でスケートの為に数種類のダンスは経験していたので、こちらの社交ダンスの基本ステップは練習の一度で覚えた。
楽しみにしていたのにホールでは踊れなかったので、ホテルに帰り家具をインベントリに入れて広いリビングでダンスをするミツキ達。
2人の間を楽しそうにクルクル回って行ったり来たりしながら踊る美月は美しく可愛い。
会場の中で誰よりも輝くような美しさだった美月、さらに目を惹かれるだろう舞う姿を誰にも見せなくて済んで機嫌が良い双子。
美月達と別れ庭で寝転んでいたパールは予想より早い帰宅を不思議に思い、ホテルの部屋で踊っているのも謎に思うが、美月が楽しそうなので、まぁ、いいか、とお気に入りクッションで骨ジャーキーをかじりながらゴロゴロする。
久しぶりにダンスをして疲れたのか、次の日は昼近くに目が覚めた。
病気になる前はフィギュアスケートの為にバレエやジャズ、フラメンコを習っていたけれど、その時よりも身体が動く感覚があった。
女神様、元の体より運動神経だけではなく、リズム感も良くしてくれたのかな?
ご飯を食べた後は買い物で、文房具などの店では日本製の方が良さそうだけれど、アンティークみたいでかわいいので何点かと、地図に良さそうな紙があったので購入。
食器類は店が多く、すぐには買わずに何軒かチェックしてから購入。カトラリー専門の店も何軒かあり、好みの物も多く沢山購入してしまった。
アイザック「そんなに買ってレストランやテイクアウトの店の仕事をまた考えているのか?」
「えっ?違う、違う。個人的に買っただけ。気分によって器やカトラリーを変えるのが好きだし。店とかなら統一感が欲しいから種類は多くしないよ」
アビゲイス「確かに、いつも皿の種類を変えてるよな」
アイザック「そういえば同じサンドイッチでも、全く違う料理に感じた事があるな」
歩いている時にふと気になる露店があった。
木で彫った竜が大小たくさんあって子供達が真剣に選んでいる。
薄い本、本というより10枚くらいの冊子で表に水竜の絵が描かれているものと、見開き3ページくらいの用紙に風竜が描かれているもの。
大きくないけれど額縁に入った地竜や火竜、リヴァイアサンの絵画。
偽物とわかるけれど鱗も。
今回の討伐で竜の話題が盛り上がっているから、竜にちなんだ商品を便乗して売ろうとしているみたいだ。
「本屋さんは無いのかな?」
アビゲイス「この街に本屋はあるが、子供向けの絵本、魔獣や植物の本等は多少あるが情報が古いものばかりだ。どんな本が欲しいんだ?」
「この国の事は勿論、他の国の事が知れる本と地図がほしくて」
アイザック「大まかな地図は俺達が持っているが、それぞれの国の詳しい地図は王都にならあるかもしれないな」
質の悪い紙で作られたものは多少流通しているけれど、専門的な本は紙の質が良く高価で学者や貴族くらいしか読まないので王都にしか大きな本屋は無いという。
薬草や動物、魔物図鑑、絵本は割と多く出されていて、リサイクルもされるので古本だと雑貨屋さんでも取り扱っているようだ。
印刷は転写できる魔道具があるのだけれど、文字だけでも魔力消費が大きくサイズは変えられない。
転写という固有魔法を持っている人は割といるらしく、サイズなども変えたり、カラーをモノクロにしたり、とアレンジが可能なので、転写の魔法持ちは印刷業界で高給取りになれるようだ。




