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異世界の歩き方  作者: ❀雪月風花❀


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003 女神様と狐さんとフェンリル

溺れたはずなのにユラユラと心地よい感覚があり、不思議に思い目を開けてみると上下左右、星空の空間の中に浮いているかのような感覚で、ふと自分の足元を見た時に体が透けて見えた。


「えっ!?どういう事?」


「びっくりさせてごめんね」と声がした方を見ると白銀狐がいて、話しかけてくるのでパニックになる私。


「あっちでは動けないし話せないからこっちに魂を呼んじゃった♪」と狐は楽しそう。


「ここはどこですか?帰れるんですか?」


「?帰りたいの?」


「⋯⋯」


「こっちの世界なら僕が助けてあげられるから住んでみない?」


「こっちの世界?」


「君たちの世界でいう異世界、創造神様がつくった世界で管理者は月の女神様。魔素がない地球では僕は祠の近くでしか力が使えないんだ。長い間ずっと誰も気にしてくれなかったけど美月がキレイにしてくれて、お供えもしてくれて嬉しかったのと、昔もよくお供えしてくれてたよね?覚えているよ。子供を助けて自分が死にそうなのに子供の心も守ろうとした美月の魂をこっちに呼び寄せたんだ」


「私の名前⋯⋯知ってるの?」


「名前だけじゃなく、今までの事もお祈りしてくれた時に少し見たんだ。辛かったね。新しい世界では魔法を使えるようになるし、楽しい事もきっと起こるはず」


「魔法!?」

 

「こっちではみんな魔法が使えるよ。使える種類や魔力の差はあるけど。美月にはこっちの世界で幸せになって欲しい。愛し、愛される人も見つかると思うよ」


私に愛する人が出来るのかな。

愛して信じていた人に裏切られるのはもう嫌だ。


「愛よりも、素敵な景色を見たり美味しい料理に出会いたい。今まで体が弱くてベッドで過ごすことが多かったから旅することが夢だったの」


「そう?まぁ、幸せの種類はなんでもいいか。新しい世界へ送り出すときに健康な体にしてあげるよ。願いはそれだけでいいの?大魔法使いとか聖女とか賢者、できる範囲で叶えるよ」


「そんな凄いことじゃなくて、健康になれるのなら今まで出来なかった事、いろいろな所に旅が出来るだけでいいの」


ベッドで見る旅行本は好きだった。綺麗な景色やその土地ならではの食材もあって。


小さい頃は本に出てきた魔法のある世界の聖女に憧れた事もあったけれど、普通の女の子が楽しむ事を出来るだけで充分。


「あっ、でももし願えるなら助けた男の子が私のことを気にしないようにする事はできないですか?」


「美月は優しいね。わかった。あの子は自然と助かった事にしとくよ。美月は電車を降りたあと行方不明という事になるけど」


「ありがとう。それでお願いします。そして何も分からない世界だから不安はあるけれど、よろしくお願いします。あっ!荷物とかどうしよう」


「⋯⋯なるほど、荷物はアレね。こっちの世界に持ち込めるようにしてあげるよ」


「ありがとう!両親や祖母との思い出の品と大切にしていた本が沢山あったから嬉しい」


「この世界はセレーネルーナといい、地球との大きな違いは魔法があることで、使える種類も魔力量も人によって違う。美月の体を造る際に、こちらの世界仕様にさせてもらうね。この世界には、はるか昔は沢山の種族がいたのに愚かな一部の人族のせいで滅んでしまった。 女神は愚かな行為を忘れない様に、と人族の魂に刻みつける事にした。かつて自分達の祖先が滅ぼした種族がどれだけ素晴らしい種族だったのかを。誰もがルーツになる種族があり、特徴や特性、能力など薄いながらも影響を受けている。種族は沢山あって美月に馴染みがあるもので言うと、獣人、ドワーフ、妖精、エルフとか、かな?獣人といっても竜系、鳥系、両生系、水系、他にも数え切れないくらい種類が豊富だ。美月は女神様の愛し子みたいなものだし魔力量も多くなるからルーツを妖精にすると馴染みやすそうだね、うん。妖精をルーツに持つ人は殆ど存在しない。いても過去に女神様の愛し子を祖先に持つ子孫達で血も薄くなっている。系統で似ているエルフをルーツに持つ人は割と多くいるし、あくまでもルーツであって希少種だからって特に危険な事になるとかではない。特徴、性格、相性、魔法属性などには多少左右されるだけって認識で平気。僕は一緒には行けないけど、女神様の従属を遣わせるね。すごく強いから守ってくれるよ」


大きな白銀の狼が目の前に現れた。


「この子がフェンリルだよ」


フェンリルって確か幻獣?神獣?とか言われていたような。 


「この子は強いけど、まだ100歳くらいだから赤ちゃんみたいなものなんだ。かわいがってあげてね」


まだ100歳って私よりかなり年上だけれど。

神界?とかでは子供のような年齢なのかな。


「この子に名前をつけてあげて。繋がりができるから」


「う~ん⋯⋯白、雪、雲、銀色にも見えるからシルバー?⋯⋯真珠⋯⋯白いのも銀色っぽいのもある真珠がしっくりくる。パールはどう?真珠は持ち主を守ってくれる宝石って聞いた事があるし」


尻尾を振っているから名前を気に入ってくれたようだ。

ふわっと体が温かくなった。


「これで魂の繋がりができたよ」


「パール、よろしくね」


「主、よろしく」


「家族だと思ってほしいな。美月って呼んでね」


ナデナデ。フワッフワな毛が気持ちいい。




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