028 街4日目、パーティーのドレス
勢い良く解体しだしたものの、やはり皮膚や鱗の硬さがネックで数十個の塊に分けたところで解体員が力尽きてしまった。
冷凍室に入れるにも全てを入れられるスペースが無いのと、大きな塊では表面近くと内部で冷凍される時間差が大きく、品質が落ちてしまう。
ギルドには何個かマジックバッグがあるけれど、時間停止のものは3個しかなく容量もそこまで大きくないので、もう一段階切り分けるまではまた私が預かった。
今後、何百年と現れないだろう火竜なので、切り分けた部位全てをこっそりとコピーしておく。
マスター「助かった。悪いがまた明日来てくれるか?それと、領主から預かった」
領主様からの手紙をアイザックさんが破る勢いで封を開けて、アビゲイスさんも一緒に読むと眉間にシワが刻まれた。
マスター「昨日の今日で討伐祝いのパーティーを開催すると張り切っててな。何せ何百年ぶりの火竜だ。ぶりと言っても前回現れたのは他国だったから、報酬を受け取る冒険者はみな参加してくれとのお達しだ」
数日後、火竜討伐祝いのパーティーをすると知った2人がすごく嫌そうな顔をする。
アイザック「冒険者だけでも50人近くはいるだろう?数人出ないくらい問題ないから俺達は遠慮する」
マスター「いや、いや、他の冒険者には言付けだけで封書は無いんだ。高級な紙をそんな風に握りしめるなよ⋯⋯お前たちは街へ来てもフラッと消える事で有名だから、急いで封書をわざわざお前達にだけよこしたんだ」
双子「「⋯⋯」」
マスター「威圧するなって。最上位貢献者、今回の主役でもあるからな、お前達は」
異世界のパーティーは美味しい豪華な料理に、綺麗な色とりどりのドレスが舞い踊る舞踏会、絵本の世界を想像して期待した目で私が見ると、しぶしぶ参加を承諾してくれた。
絶対に2人から離れない事を何度も言われたけれど。
少し遅めのランチをする為ギルドを出ると、火竜討伐のお祝いで街の人達はお祭り騒ぎで、露店も多く出店されていた。
目についた店をみていると露店に楽器が並んでいて、打楽器が多く笛は大きくて音も大きく響く。
プロじゃなくても趣味で楽器を嗜む人は多く、パーティーや地域の収穫祭などでは必ず音楽が流れているらしい。
「あれ綺麗、見てもいい?」
ガラス越しから見えた雑貨屋にガラス細工があったので、花の形をしたガラスを手に取る。
ペーパーウエイトやインテリアとして売られていたけれど、これを使ってウインドチャームを作ろう。
風鈴も好きだけれど、ウインドチャームは綺麗なガラスをたくさん吊るしているから奏でる音が変わっていくのがいい。
色々な色の花、雫デザインのも購入。
食堂ではなく数軒の露店でテイクアウトをして広場にあるテーブルで食べる事にした。
アイザック「俺達もミツキも求婚をたくさんされるだろうから、3人で婚約した事にしよう」
アビゲイス「本当の婚約にしたいけど、急かしたくはない。仮の婚約としてでいいから」
アイザック「これを機に本当の婚約にしても良いか考えてくれるとうれしい」
「でも男性2人で女性1人と婚約するのって大丈夫なの?」
アビゲイス「一夫多妻は多く、それよりは少ないが一妻多夫もいる。金と力、権力、魅力のある者には多くの伴侶がいるのが普通だ」
アイザック「ミツキは魅力がありすぎるから不思議じゃない」
「2人の方が魅力的だよ」
私には勿体ないくらいの2人、格好良くて優しく心配性。
結婚は⋯⋯こわいけれど、ちゃんと考えよう。
2人はパーティー用の服はあるので、問題は私。
ドレスショップに買いに行こうとご飯を食べてから向かった。
沢山のドレスがあるけれど、そもそも魅惑ボディな女性達が多く、体型が違いすぎて直すのが大変そう。
派手なもの、飾り付けも多く重そうなドレスばかり。
端にある綺麗な青のカクテルドレスに目が止まり見せてもらうとデビュタントを迎えた16歳頃の子たち用のドレスだった。
すごくシンプルだけれど、レースが綺麗でスカートのボリュームも大きくなくサイズも問題ない。
中学生くらいの年齢の子達と同じサイズなのは少し複雑だけれど、これにしよう。
眠るとき、抱きしめられた。
アイザック「ミツキ、婚約したから頬にキスしたい」
「え!?⋯⋯いいよ?」仮の婚約だけれど頬は既に何度もキスされていたし。
でも改めて聞かれると照れてしまう。
アビゲイス「赤くなって可愛いな。本当の婚約にしたら口にキスしたい」
結婚⋯⋯こわかったけれど、ずっと一緒に過ごしたいと思う気持ちが日々大きくなっているから、2人となら幸せになれるかもしれない。
両側から頬にキスされ、私も2人にお返ししてお布団の中に頭まで潜って赤い顔を隠す。
すぐに元の位置に戻され、おでこにキスされ眠りにつくけれど、ドキドキして眠れず、なんて事はなく、いつも通りすぐ眠ってしまい2人と口でキスをしている夢を見てしまった!
願望なのかな?
その日以降、時々2人の唇をジッと見てしまって、はっ!と我に返り、怪しい動きをして2人に不思議がられた。




