027 街4日目、ギルドで解体
2人が支えてくれる中、ドシドシと足音が聞こえた。
マスター「すげえな!2人は流石だが、お嬢さんも雷、光、水、植物魔法を使うなんて!しかも他の魔法使いとは違う水魔法の使い方だったな。しかし、このシルバーウルフ、すげえジャンプして体大きくなってなかったか?」
え!!私は気が付かなかったけど、とパールを見る。
『少しだけだ。完全にフェンリルになれれば尻尾じゃなく喉を噛み切ってやったのに』
念話で語りかけてきたパールに抱きついた。
『ありがとう。私が困らないようにフェンリルになるの我慢してくれたんだね。でもすごいジャンプで竜を叩き落とすパール、格好良かったよ』
モフモフしながら言うと、無言だけれど尻尾はブンブン振られていて、かわいい。
火竜をギルドへ持っていきたいが、大き過ぎるから数人のインベントリに入れる為に切り分けるのだけれど、貴重な血が流れ出てしまうのは勿体ないし鱗が硬いので何か所も切り分けるには時間がかかる、ということで氷魔法で止血しながら手と足の付け根、首を急いで切断しようとマスターが言うので、丸々私が運びますよ、と申し出るとマスターはポカンと口を開けた。
マスター「これが丸々入るのか!?すげぇな。完璧な準備をして解体できそうだからありがたい。それならこれは討伐とは別で運搬費も支払おう」
夕方近くの時間だし急いで解体をする必要が無くなったのでこの場で解散になり、ゾロゾロと帰っていく冒険者たちの中で、あの美女は悔しそうな顔で私を一睨みしてからギルド方面へ帰っていった。
マスター「報奨の割合はすぐには決められないから、少し時間がかかる。でも火竜討伐は二百年近く無いはずだ。期待しとけ!」
マスターはでかい体でスキップのようなかわいいステップでウキウキと嬉しそうにギルドへ戻っていった。
「お腹空いちゃったね。ご飯は宿で私の料理を食べてもいい?」
アイザック「ああ、帰ろう」
「ごめんね、2人もお腹空いてるのに」
疲れたからか外食より和食のものが食べたくて。
アビゲイス「食堂や宿よりミツキの飯の方が美味いから気にするな」
歩き出すとお姫様抱っこされてしまった。
ポーションを飲んだし恥ずかしいから歩くと言ったのに、さっき倒れかけたからダメだ、昼飯も食べ損ねたし、と降ろしてくれない。
そして途中でアイザックさんからアビゲイスさんに抱っこ交代。
双子も戦闘して疲れてるだろうし、昼食を食べられなかったのは一緒なのに。
2人とも抱っこしながら歩いても、スタスタと普段より速いくらいのスピードで周囲の人達を抜く速さで歩くので、沢山の視線を何度も感じた。
精神的に疲れながら宿に着き和食中心に、パールと双子用にガッツリした肉物もインベントリから取り出し、ご飯を部屋で食べ始めたらなぜか、あーん、と給餌された。
疲れただろうから、と左右から交互に口の前に持ってきては食べさせてくれるけれど、精神的には余計疲れる気も⋯⋯蕩けるような甘い表情で嬉しそうに食べさせてくるので、たくさん食べたけどね。
パールは呆れたような表情で私達を見ていた。
食事後は早めにベッドへ入る。
アイザック「ミツキは初めての大きな戦闘で疲れただろ。でもよくやった」
アビゲイス「すごかったな。あんな雷と消火の仕方、見たことない」
「ありがとう。でも2人が私を信じてくれたから頑張れたの。それに2人も凄い格好良かった」
「「ミツキ⋯⋯」」と私を抱き締めてくれる。
疲れと2人に抱きしめられて安心したのか、いつもより熟睡してしまい起きたのは9時を過ぎていた。
双子は朝早く起きて室内で出来る筋トレやストレッチをして、コーヒーを飲んでいたみたい。
大きなお弁当を6種類出して私は軽めにおにぎり2個と卵焼き、ウインナーを取り出し、双子とパールは残りをパクパクと食べて冒険者ギルドへ向かう。
ギルドに到着し、受付へは行かずに直接解体場へ。
「おはようございます」
解体場リーダー「カウンターとかどかせるものは片付けたから真ん中辺りに置いてくれ」
こんなに凄い広かったんだ、と思えるくらいテーブルとかカウンター、棚とか無くなっている。
「土台を作ってもいいですか?」
リーダー「?かまわないが」
広い床に土魔法で低めの大きな台を作り水分を吸い込まないくらいガチガチに固めてみた。
マスター「おおっ!!凄えな。ん?でも何か少し傾いてないか?」
「漏れ出てしまう血を効率よくまとめる為に少し傾斜をつけました」
マスター「なるほど!これはいいな!よし!解体始めるぞ!」
インベントリからドン!と火竜を台に置くと解体場のマッチョたちが火竜を見て雄叫びを上げて喜ぶ。
火竜は何百年と現れていないようだから目にしたり解体するなんて人生で一度でも味わえるだけで幸運らしい。




