022 街1日目、武器屋、服屋
冒険者ギルドの近くには冒険者に向けた店や宿屋、食堂などが集まっているので武器屋へ行くと、双子は剣のメンテナンスを頼み預けていた。
使用後は寝る前に自分でもするけれど、定期的に本職にも頼むことが大事という。
私は今まで2人の若い頃の剣を借りていたけれど、それでも重く全く使いこなせていないのと、戦う剣ではなく護身用に向いている剣にしたい。
短剣は種類も多く、飾りも綺麗な物が多い。
ふと目に入ったのは短剣より少し長く、飾り気のないシンプルな剣。
持ってみると短剣より少し重いけれど手に馴染む。
「これがいいな」
アイザック「短剣よりリーチが長く取れるし、刃も悪くない」
弓矢もあったので欲しかったけれど、引いてキープする時の腕の力が弱く、上手く扱える物がない。
クロスボウなら私でも扱えそうだけれど、日本では所持に免許か何か必要だったので、ネットショップで扱っているかは不明だけれど武器類なので持ち込みはせずに、こちらの世界で再現できそうなら私もクロスボウにチャレンジしよう。
紙に書いた簡単な絵だけれど親方らしき親父さんに見せ説明する。
親方「⋯⋯なるほど。これだと弓ほどの飛距離は出せないが成人したばかりの者でも扱えるし、風魔法を上手く纏わせれば飛距離を伸ばせるかもしれんな。作るのは可能だが、本体を軽くするなら空洞にするんだが素材を選ぶから値が張る。手軽なものでよければ20万G、軽くするなら50万Gといったところだが、どうする?」
「軽くでお願いします」
親方「急いでいるのか?」
「いいえ、急いではいないです」
アイザック「街には1週間くらい滞在すると思うが、間に合わなくても2ヶ月後にはまた来るからそれまで置いておいてほしい。前払いなら可能か?」
親方「ああ、大丈夫だ。素材はあるから3日くらいで出来るはずだ。それと、これは特許を申請した方がいい」
「弓矢とそんなに変わらないのにですか?」
親方「まぁ、小さな弓矢を横にして固定具を付けただけなような物だが、このトリガー部分に弦を固定してしまえば引く力は安定してキープしたまま、狙いを定められるし、何より、弓矢に比べたら威力が劣っても扱える人間が何倍も多くなる。対象が飛んでいるものには特に役に立つだろう。俺の工房でも販売をしたいからな」
アイザック「わかった。近い内に商業ギルドへ行くから登録しておく」
食堂に入り肉料理を注文。
魚料理は無い。
海はあるけど遠くて海岸線沿いは大きな山が連なっており険しい崖のような海壁。
ちなみに王都側の海は山もなく比較的魚も獲れるそうだ。
川魚は獲れるけれど、上流に比べこの近辺は美味しくない種類の魚ばかりのようで、無いと聞くと余計に魚が恋しくなる。
注文したお勧め料理は豚肉のような肉だけど、あえて何の肉なのかは聞かなかった。
パールは従魔なので店に入って足元でなら食べられる。パールだけで5人前頼んだら女将さんに喜ばれた。
冒険者用の服を販売している店へ入ってみる。
女性冒険者で多いのは魔法職、次に斥候、剣士は割合的に少ない。
どのタイプもやはり露出箇所が多く、ギルドや道で見た女性冒険者は胸の谷間と太ももはガッツリと見えている人が多く、寒い時はその上にローブ、ジャケットやコートなどを着ているらしい。
魔法職は暑くても基本的にローブを羽織っている。
羽織っても羽織らなくても魔法に影響するわけではないけれど。
店には色々な生地や色のローブがあるのにどれも長い丈で膝より上の丈は2割も無い。
そういえばギルドや道で見かけた魔法職達は、ほぼ長いローブだけだった。
丈が短いのはローブではなくケープといったファッションアイテム寄りになるからかな?
王や高位貴族、教皇や枢機卿などは権力や富の象徴といわれる長いローブを正装として着用しているから、高貴なイメージが強い長いローブを羽織りたい魔法職の人が多いのかもしれない。
私は日焼け対策や雨合羽、森の中で腕を枝などで擦りむかないようにする為に羽織るから腰丈まであれば充分だし、動きやすさや見た目も長いのより短めの方が好きだ。
綺麗な青色の1枚と赤色でフード付の良い質感のと2枚気に入ったので、これを買って腰丈にリメイクして余った布で小物入れを作ろう。
服は水色ホルターネックノースリーブでチュニック丈のを購入。これに合わせるベルトも。スキニータイプのパンツにも合いそうなので防刃布で探してみよう。
双子はいつもシンプルなデザインのを着ていて、格好良さが逆にハッキリわかるというか。
でもチュニック丈で太ベルトを使った服も似合いそうだと思ってしまったので防刃布で作ってみようかな。
色はグレーが良さそう。
あとレザーパンツもかっこいいはず。
レザーなら白やベージュでも汚れにくいのもいい。
布屋さんに行く前にネットショップでもチェックしておこう。
アビゲイス「楽しそうだな?」
「うん!2人に似合いそうな服が思い浮かんだの!今度作ってみてもいい?」
アイザック「⋯⋯ああ、嬉しいな、それは」
アビゲイス「楽しみにしてる」
自分を着飾る事に夢中な女達しか見たことが無かった双子は、俺達の事を思ってそんなに楽しそうにしていたのかと、かわいい笑顔で言うミツキを抱きしめたくなった。
そろそろミツキへの想いを隠せなくなりそうなくらい、強い想いになってきてしまっている。




