020 ダイヤモンドの街
フラシル王国、ディアマンテ。
大陸中の川の総水量の約20%を占めるアマソン川の支流近くに位置し、街のすぐ傍にはダイヤモンドの鉱山が数多くあり、栄えていながらも森も広く魔の森に繋がっている。
石畳と沢山のカラフルな色のお店や住宅が多いのに、パステルカラーの優しい色ばかりなのでレトロで、どこか懐かしさを感じるような街並み。
布の街としても有名で羊牧場が街を囲むように何軒も営んでいる。
冒険者ギルドは、どこの街でも入り口の門から近くに建てられている。
緊急時にすぐ防衛する為に動きやすいようにと、森などで仕事を終え街に入ってくる冒険者が素材の持ち込みをしやすいから。
私も素材などを売るために冒険者登録をするので冒険者ギルドへ。
営業している厩舎は多くあるけれど、双子がいつも預けている厩舎にアイスとウインドを預ける。
馬の高級宿のような感じで預かる馬の数を少なくして預かり金額を高くしている分、過ごすスペースや庭が広く使え、アイス達にはお気に入りの厩舎らしい。
ふと気になる建物が目についた。
「あの灰色のドアの建物⋯⋯」
アビゲイス「冒険者ギルドだが、よくわかったな?」
ギルドといえば大きい建物のイメージだったから、パッと見、周りの建物と作りや大きさもそこまで変わらないので確かに初めてなら分からないはず。
私もギルドだと思った訳では無い。
「ううん。ギルドだとはわからなかったけれど、あのタペストリーが私の知ってる物に似ていたから」
建物に付けられているタペストリーが、遠目に見ると故郷の国旗、日の丸に見えたのだ。
近くで確認すれば、月桂樹の葉で丸く囲んだ中が赤く、そこにギルドらしく剣や金貨などが描かれていて。
タペストリー自体の白い布の中に赤い丸があるから日の丸に見えたみたい。
アイザック「国が違っても、どのギルドにも同じ物がかけられているが、故郷にもギルドがあったのか?」
「ううん。ギルドは無かったし、こんなに複雑な絵柄ではなくて、白色の中心に赤い丸が描かれただけだから近くで見ると全然違う物だけれど、遠くから見たら少し似てるな、と思っただけ」
早い時間なので依頼を求めて人が多いのか、ドアの外にもガヤガヤと音が漏れていたのに私達が入ると近くの人達がシーンと静かになった。
私達に気がついていない、奥にいる人達は賑やかに話していたけれど、近くを通った私達に気がつくと静かになって視線を向けてくる。
ガラの悪い冒険者に絡まれる、という異世界物語的セオリーが起こるかドキドキしていたけれど、そんなイベントは起きなかったし、イメージしていたギルド内酒場は食事も充実しているのかフードコートの様な感じ。
外から見るとそこまで大きな建物には思えなかったけれど、T字型の建物だったらしく掲示板などを過ぎて奥に行くと左右に広くなって奥行きもあり、左手に受付カウンターがある。
高ランクで有名な双子だが森にいる事が多く見かける事も稀なのに、今回は見たこともないくらいデカいシルバーウルフもいるから、絡むどころか動けなくなるギルド内の人達を気にするでもない双子はスタスタと歩き、窓口へつくとアイザックさんがギルドカードを出す。
受付嬢「お久しぶりですね♡少々お待ち下さい」
綺麗な人でベテランらしき女性がすぐ2階へ行って、すぐに戻ってきた。
受付嬢「マスターは面会可能でしたのでご案内します」
2階へ案内する時になって私がいる事に気がついたようで動きが止まり、眉間にシワが寄り睨まれたけれど、数秒後には案内が再開された。
受付嬢「あの、街にはいつまで滞在されるのですか?先月オープンした人気のレストラン【ゴージャス】をご存知ですか?私の叔母が経営していて予約がなかなか取れないのですが、私の誕生日の祝いで明後日夜に貸切パーティーをするのでよろしければいかがですか?席は残り2つなのでアイザック様とアビゲイス様に是非来て頂きたいです。私の友達もきっと喜こ」
アイザック「名前も知らない奴と食事をするつもりはない。いつもの部屋だろ、案内はここまででいい」
女性が言い終わらないうちに食い気味に話し出すアイザックさんの顔を見て、その後私を睨む女性。
受付嬢「サリーと申します。王都の受付嬢や冒険者の友人も多く来るので楽しい食事になると思うのです。それに王都から希少な食材も仕入れているんですよ。あっ!Bランクのいとこが氷の双剣に憧れていて、パーティーで会えたらすごく喜ぶはずです。いつもお忙しそうでしたからお話する機会を頂けたら私も嬉しいですし。あと、お茶をお出しする為にもご案」
アビゲイス「俺達は3人で行動しているから席が2つしかないなら知人だとしても行かないし、そもそも話したこともない相手を祝う会に行く時間は無い。茶出しも含めて案内は必要ないから戻ってくれ」
受付嬢「⋯⋯かしこまりました」
食い気味に言うアビゲイスさんを見てから私をすごく睨む女性。
私を背に隠すようにして双子が受付の女性に向き合うと、視線を私から双子に向けた女性は顔を真っ青にして慌てて階段を降りる時にこけそうになってよろけてしまい、壁にベタッとぶつかる様に抱きついた後、おでこを赤くさせながら1階受付へ戻っていった。
「顔が壁にぶつかった様に見えたけど大丈夫かな?」
アイザック「問題ない」
アビゲイス「ああ、まったく問題ないから行こう」
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『ディアマンティーナ』
ブラジル、ミナスジェライス州の都市
人口は約4万7000人
18世紀にポルトガルの侵略を受けて植民地となると、ヨーロッパ文化が入り混じった独特で珍しい景観になり、バロック建築の建物が多くカピストラナスの石畳とパステルカラーのお店や住宅が広がっていてカラフルなのにレトロ、どこか懐かしさを感じるような街並みが綺麗な状態で残っている。
【ディアマンティーナ歴史地区】として世界遺産に登録(1999年)
かつては世界で最も重要なダイヤモンド産出地の一つとして栄華を極め、ダイヤモンドの採掘で繁栄した街。
名前の「ディアマンティーナ」はポルトガル語で「ダイヤモンド」の意味。




