015 女冒険者パーティー
巣に帰るのに困るだろうから、大きなスカーフを2枚使ってコウノトリバッグを作った。
「これに卵を入れて帰ってね?」
卵を温める母鳥に寄り添い毛繕いする父鳥。
他の2羽も身体を擦り付け合っている。
「仲良しね」
私の肩から降りてきた小鳥さんは、テーブルに戻った双子の近くへトコトコ歩いていく。
2人がソロソロと手を出して、2羽とも双子の指先近くまで行ってくれたと思ったら飛んでいき、それぞれ2人の頭に着地した。
双子は慎重に頭を動かさないように、お互いの頭上を見ているから笑ってしまった。
「うふふ」
そんな楽しい時間を過ごしていた時に小鳥さんが私の肩に飛んできて、双子が素早く立ち上がってマンゴーの木の方向をじっと見だした。
女冒険者1「ちょっと、全然いないじゃない」
女冒険者2「この辺りのポイントのうちのどこかにはいる可能性があるって言ってたわ」
段々と声が聞こえてきて女性冒険者4人がマンゴーの木の奥から出てきた。
女冒険者3「えっ!?あそこ!!」
女冒険者4「群れでいるわ!」
女冒険者1「子供もいるわよ!」
女冒険者2「ねぇ!ちょっと!その鳥捕まえて!」
ドンドンと近づいてくる女性達に向かって双子が近づき、相手の歩きを止める。
アイザック「これ以上来たら殺す」
アビゲイス「他の冒険者の対象物に関わるのはご法度だし、この鳥は捕獲禁止だぞ」
双子が聞いたことのない怖い声で威嚇すると、4人はピタリと動きを止めた。
女冒険者2「禁止はこの国の法律でしょ!買取主は帝国貴族だもの、関係ないわ」
女冒険者4「そんなに沢山いるんだから半分よこしなさいよ!」
「フェアッリ」「フェアッリ」と親鳥のうち1羽が私の近くに来て話しかけてきたと思ったら、青い羽根を1枚尾の方から抜いて渡してきた。
「くれるの?ありがとう。鳥さん達、巣に帰って。またいつか会おうね」
急いで卵をコウノトリバッグに入れて父鳥に渡すと、口でガッシリと挟んで持ち、鳥達は羽根をくれた1羽以外、大きく羽ばたき飛んでいく。
鳥達には小声で話しかけたけれど4人には聞こえていたみたいで怒鳴りだした。
女冒険者3「ちょっと!逃がすんじゃないわよ!そこの1羽よこしなさいよ!」
女冒険者4「しかも、卵なかった?そんな貴重なもの逃がすなんて!」
残っていた1羽がトテトテと4人の近くに歩いていったので、私も追いかけていく。
鳥「アァ~~~??」
フンッ!と馬鹿にしたような声で4人に向けて鳴き、尾羽根を私の足元でスリッとしてから羽ばたいていった。
4人はポカンとしていたけれど馬鹿にされたのを理解したのか、顔を般若のようにしはじめた。
女冒険者2「なに逃がしてんのよ!ブルーダイヤより高いのよ!」
女冒険者1「そうよ!1週間近く探してやっと見つけたのに!」
女冒険者4「せっかくのチャンスだったのに!ってまって、あなた達⋯⋯」
女冒険者3「えっ!氷の双剣!?」
鳥から目を離さないようにしていたのか、双子の顔を確認すると2人の事を知っている様子に変わった。
女冒険者4「きゃ~!幸運だわっ!この森に住んでるって聞いて2人の事も探していたのよ!」
女冒険者1「高ランク冒険者しか行けない奥地に住んでいて、行けても絶対に家が見つからないって聞いたけど本人に会えるなんて!」
キャーキャー黄色い声に変わる4人がふと私を見る。
女冒険者2「ところで、あんた!なんでこの2人といるのよっ!」
女冒険者3「冒険者じゃないわよね、魔の森になぜいるの?」
女冒険者4「この2人は大陸トップレベルの高ランク冒険者なのよっ!」
女冒険者1「足手まといになるような女は迷惑なのがわからないわけ?」
女冒険者2「Cランクパーティーの私達みたいな女が相応しいのよ!」
アイザック「黙れ。女だろうが、殺すぞ?」
アビゲイス「お前達がSランクだとしてもお断りだ」
さっきよりも低く怒りを込めた声の双子。
前にいるので顔は見えないけれど、背中だけでも怒っているのがわかる。
そこにパールが走ってきて、私達と女性4人の間に入ってきた。
女冒険者1「ぎゃ!なにこのウルフ!」
唸りながら飛びかかろうとする姿勢で4人を威嚇する。
女冒険者2「デカすぎでしょ!」
4人がパールと双子に気を取られているうちに、私は荷物をインベントリへ入れるためにテーブルの所へ戻ると、パールの獲物らしきダチョウのようなデカい鳥が落ちていた。
インベントリに荷物も全て収納してアイスとウインドの所へ行くと、双子も走り寄ってきて馬に素早く私を乗せて、森の中へ入っていく。
女冒険者3「ちょっと、待ってよっ!!」
女冒険者4「せっかく会えたのに!」
3人がある程度遠くに行っただろうと、パールも4人に一声吠えると駆け出して森へ入っていく。
取り残された4人はしばらく動けなかった。
女冒険者1「なんなのよ、あのウルフ」
女冒険者2「まさか従魔?」
女冒険者3「あの双子に従魔がいるなんて聞いた事ないわ」
女冒険者4「じゃあ、まさかあの女の?」
女冒険者1「あんなSランク並みのウルフを従魔に出来そうには見えなかったわよ。それにあの黒髪、黒目、何?見たことないわ、あんなの」
女冒険者2「庶民には見えなかったから違う国の金持ちかなんかで、双子を護衛に雇ったんじゃない?それにしても久しぶりに見たけど、更に良い男になってたわね。この辺りに住んでいるはずだから探してみる?困ったから助けてって言えば一晩くらい泊めてくれるかも」
女冒険者3「食料のストックが残り少ないのと報告もあるから、そろそろ街へ帰らないと」
女冒険者4「それに、あの目、本気で殺されるかと思った。泊めてくれる感じでは無いわ」
女冒険者1「そうね⋯⋯」
街の方へ歩き出す4人。
美月達は行きで渡った川に到着し、橋を作り渡ってパールを待っていた。
5分程でパールが走ってきて川を余裕で飛び越えてきた。
「ふふふ。パールに橋はいらないわよね」
橋を土に戻し、家へ帰り夕飯を済ませソファーでお茶をしてやっと落ち着けた気がした。




