123 白い砂丘
アイス、ウインドをフェリーの中の預かり場でお願いして部屋へ行くと、ベッドルームにはキングサイズベッド、隣の部屋にソファとダイニングテーブルセットと高級な宿より面積は狭いけれど、船の中では贅沢な空間になっていた。
レストランは街の食堂と変わらないみたいなので、双子からのリクエストもあり、インベントリのもので済ませることにした。
レンゾイズには5日間の船旅で、昼も夜も1度は甲板に出て綺麗な景色を見る。
視界全部が海だけなので双子は楽しくないと思うのに、私に付き合ってくれて嬉しい。
オレンジから紫色に変わって沈む夕日は何度見ても飽きない。
アイクに革でベルトを作ってもらう。
紐状か普通の太さのベルトは売っているがお揃いで使える物がほしい。
2人は普通の2倍くらいの太さのサッシュベルト、私のは同じ生地で3倍くらいの太さで。
お腹側から巻く真ん中が一番太く、背中でクロスさせて前に持って結ぶから端の方に向けて少し細めにしてもらい3種類の革で作ってもらう。
シャツをお揃いにすると更にペアルックみたい。
あとはスゴロクをしたり、沢山撮った写真を印刷してあったのでアルバムを作ったり。
旅を思い出しながら作るのは楽しく、2人の撮る写真は日に日にプロのような上手さになっている。
天候も崩れず、無事フラシル王国の港町レンゾイズに到着した。
エメラルドグリーンの海のとても綺麗な浜辺で観光客も沢山いる。
アイス、ウインドを引き取り船を降り、白い砂丘はわりと近いようなので乗馬で向かうと純白な砂が広がる砂丘があった。
数え切れないくらいの窪みがあり、水たまりサイズから小さな湖の大きさになっているところもある。
深さによって水面の色が微妙に違うので、飽きることなくいつまでも見ていたくなる景色。
サラサラとした真っ白な砂を手に取ってよく見てみると、透明がかっていて砂粒の大きさの水晶にみえる。
遠くの川から水晶を含んだ砂が海を渡って来て、風で打ち上げられた水晶の粒で出来た砂丘だと言う。
多くの観光客が所々の湖で泳いでいるので、私達も泳ぐことに。
服の下は水着になっているので服をサッと脱いで、さぁ、どの湖にしよう?となったのに、2人が私をギュウギュウに挟んで動かないので移動できない。
アビー「ミツキの水着は服のようなのに、目立ってないか?」
温泉用に使っていた水着だから、他の女性達の水着のように面積が小さく露出面積が多くはないのに2人が嫌がる。
2人こそ柄もなく普通の黒ハーフパンツなのに、誰よりも格好良く目立っている。
アイク「どいつもこいつもミツキを見ているな」
アビー「もしかして周りの水着と違って微妙に面積が多いからこそ見たくなるのか?ミツキの肌は綺麗だから隅々まで見たくなる」
視線は感じるがフラシルでは有名な2人だし、長身でアスリートのような筋肉美は男性でも目がいってしまうと思うから、見られているのは双子だと思う。
周りの視線が気にならないまで奥の方へと移動するけれど、砂漠のように居場所がわからなくなると困るので砂丘と森陸地との境界線沿いに奥の方へ進み、泳ぎだすと2匹と2頭は浅い水溜りで涼みだす。
パチャパチャと浮き輪やボディボードで遊んで楽しい。
パールとコハクは泳ぐのに飽きると森の中へ探検に出かけてしまった。
遊び終わってテーブルセットを出し、早めの夕飯を食べながら休んでいるとパールとコハクも戻って来た。
頭から足先まで鮮やかな赤い鳥が沢山飛んできて、陸地側の木々にとまった。
木の緑に真っ赤なコントラストが綺麗で、真っ赤な果実が実ったかのような景色を見ていると、風が出てきて水面や砂に風紋が浮かび、砂のさざ波と呼ばれる縞模様は風と砂が作り出す自然のアート作品で砂丘全体で表現されている。
夕陽になっていくにつれて純白の砂が黄金色に輝き、水平線向こうに夕陽が沈みだすと、その斜光は風紋を更に濃く浮き立たせる。
夕陽が沈むにつれ光が橙、赤、濃ピンク、紫のグラデーションの色使いになり白と青色のみだった昼とは全く違う景色になる。
「凄く綺麗ね⋯⋯」
「「綺麗だ」」
双子は白い世界の中で夕陽に照らされている美月が何より綺麗だと思った。
☆☆☆☆☆☆☆
『レンソイス・マラニャンセス国立公園』
ブラジル、北東部マラニャン州
「レンソイス」はポルトガル語で「シーツ」
砂漠ではなく砂はほぼ100%石英という白い鉱物(水晶)でできており、太陽光を反射して白く輝き波打っている砂丘で世界遺産(2024年)
砂丘から海岸線100キロ程離れたところにパルナイーバ川河口があり、その川上流から河口まで運ばれる土や泥に石英が含まれていて、それらが海岸近くまで波に研磨されながら小さな砂になり流れてきて河口に積み上がり砂丘を作っている。
この河口の砂丘ではまだ茶色い砂で、この砂がレンソイス方面の海流にのり、沿岸にたどり着くまでに硬度が高く風化に強い白い石英だけになっている。
石英が海から吹き付ける強風によって内陸に運ばれ数万年以上かけて積もり、海岸線約70kmに広がり高さ10~30m、東京23区の2倍以上の広さほどの砂丘になっていった。
元々湿地帯だった土地に石英が積もったので約3ヶ月間だけの雨季になると湿地帯の地下水も上昇して砂丘の至るところにエメラルドグリーンの湖が大小約3万個現れ、いくつかの湖では魚も現れるが、この魚たちがどのように現れ、乾季の時期にどのように姿を消しているのかはいまだに解明されていない。
『ショウジョウトキ』
ペリカン目トキ科に分類、体長約60cm
南アメリカ北部の沿岸部、特にベネズエラからブラジル南部にかけての海岸や川岸、マングローブ林などに生息し集団で営巣している。
体色が鮮やかな赤色なのは甲殻類(カニ、エビ、貝類)や魚など、食物に含まれるカロチノイドなどの赤い色素が羽や皮膚に沈着する為。
幼鳥の体色は黒っぽい色をしていて、成長してエサから色素を取り込むようになると、次第に美しい赤色に変化していき、嘴の基部から眼先にかけての皮膚の裸出部も赤い。
エサの色素が不足すると「ピンクトキ」と呼ばれるような薄いピンク色になることがある。




